消滅する子どもの「読書」、読書時間1日あたり「ゼロ」が約半数の衝撃【ベネッセ教育総研調べ】

不読は悪影響? ニュースへの関心、自信、将来の目標などの肯定率が低い。

ベネッセ教育総合研究所は、「子どもの読書行動の実態」に関する調査結果を発表した。同研究所と東京大学社会科学研究所が共同で実施した「子どもの生活と学びに関する親子調査」「子どものICT利用に関する調査2023」の結果について、読書行動に焦点を当てて分析した内容だ。

子どもの読書時間の実態、学年・性・成績による違い、読み聞かせの影響、各メディアの利用時間、経年変化、紙版・電子版の利用差などについてまとめられている。調査対象は、小学4年生~高校3年生の子どもで9,182人が回答している。

読書時間は二極化、学年が上がるにつれて「0分」が増加

まず「平日(1日当たり)の読書時間」を聞くと、全体の49%が「読書はしない=0分」だった。次に多いのは「30分」で、二極化の状態が推察できる。なお、蔵書数が多い、親が読書を勧めているなどの家庭ほど、当然ながら子どもの読書時間は長かった。

また学年別では、学年が上がるにつれて「0分」が増加していることも明らかとなった。

平均の読書時間で見ると、小学1年生の読書時間は「14.5分」だが徐々に増加し、小学6年生の「19.2分」でピークを迎え、その後は減少が続き、高校3年生では「平均11.6分」まで減少している。

性別では男子の53.1%、女子の45.1%が「0分」と回答しているが、学年段階があがり高校生になると、ほぼその差はなくなっていた。

希望進路別では、「大学・大学院まで」を希望する子どもに読書時間が長い傾向が見られた。ただしこの傾向は小・中学生は顕著だが、高校生にはない。こうしたことから“本を多く読んでいた女子や大学・大学院希望者でも、高校生になると読書離れしてしまう”と言えそうだ。

「子どもが経験していること」と読書の関係性を見ると、本を読んでいる子どもほど「文化体験」「調べる活動」などを多く行っている。これも高校生になると差は縮むが、多読層(1時間以上)ほど「美術館や博物館に行く」「無理だと思うようなことに挑戦する」が不読層(0分)・中間層(5分~1時間)より高い。

一方で「ニュースへの関心」「自信」「将来なりたい職業」などの項目を見ると、不読層は小中高どの段階でもやや低い。高校生だとどの項目も中間層がもっとも高い。これらはあくまで相関のため直接的な因果関係は不明だが、興味深い結果と言える。

さらに「読書時間の経年変化」を見ると、読書時間は減少傾向があるが、もともと小学1年生時点で読書時間が長い子どもは、その後も継続して多く読書することがわかった。なおテレビ、パソコンやスマホの利用時間を見ると、電子メディアの時間が大きく増加しても、読書時間は微減にとどまると考えられる。

電子書籍については全体の2割、電子コミックは3割強が利用。学年が上がるとともに、電子書籍は緩やかに、電子コミックは大きく増加していた。

調査概要

  • 【調査対象】小学4年生から高校3年生までの子ども
  • 【調査方法】調査依頼は郵送で実施、回収はWeb
  • 【調査時期】2023年2~3月
  • 【調査数】発送数15,087、回収数9,182(回収率60.9%)
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