障害のある人に対する“心のバリアフリー”が前年より増加する一方、ステレオタイプの見方も増加【日本リサーチセンター調べ】
日本リサーチセンターは、「ユニバーサルデザイン社会の実現度 定点観測調査」最新版(2021年)の結果を発表した。ユニバーサルデザインとは、「障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず、多様な人々が利用しやすいようあらかじめ都市や生活環境をデザインする考え方」を示している。
同社では2017年より毎年、ユニバーサルデザインに関する定点観測調査を行っており、今回で5回目。この調査では、「社会のあり方」「心のバリアフリー」「障害者に対するステレオタイプ」「障害の捉え方」の4つの観点から、障害を巡る考え方を質問している。
「社会のあり方」「心のバリアフリー」「障害者に対するステレオタイプ」「障害の捉え方」から考察
2021年は東京オリンピック・パラリンピック大会の開催前後(6月、12月)で調査を行う予定で、今回は、2021年6月時点の調査結果をもとに、過去5年間の推移を分析している。
それによると、まず「社会のあり方」については、高水準ながら2018年をピークとしており「共生社会推進への賛同率」が微減する一方で、「ユニバーサルデザインのまちづくり推進への賛同率」が前年から大きく増加に復調した。
「心のバリアフリー」においては、「障害のある人が困っているときには、迷わず援助できる」76.0%、「障害のある人を自分たちの仲間に入れることに抵抗感はない」70.1%となり、ここ数年減少していたが、いずれも増加に転じている。
「障害者に対するステレオタイプ」については、「障害のあることはかわいそうだと思う」42.5%、「障害のある人は一方的に助けられるべき存在だと思う」39.0%と、これも前年までの減少から増加に転じている。
「障害の捉え方」について、医学モデル(障害は病気や外傷から生じる個人の問題)と社会モデル(障害は個人の心身機能の障害と、社会的障壁の双方で作られる問題)のいずれに賛同するかを聞くと、「社会モデルへの賛同」64.2%に対し「医学モデルへの賛同」は29.4%に留まった。
今回の調査では、調査項目におけるすべての数値が上昇傾向を見せた。障害を巡る課題に対する認知や注視があらためて高まっていることなどが理由として考えられる。
最後に「共生社会が実現しているか」を0点(まったく実現していない)~10点(完全に実現している)で評価してもらうと、2021年6月時点での評価平均値は4.0点。この値はここ数年4.0~4.2点ほどにとどまっており、共生社会の実現はまだまだと評価している人のほうが多いと考えられる。
調査概要
- 【調査対象】全国の15~79歳男女個人
- 【調査方法】NOS(日本リサーチセンター・オムニバス・サーベイ:定期的に実施する乗り合い形式の全国調査)の調査員による個別訪問留置
- 【調査期間】2021年5月30日~6月11日
- 【有効回答数】1,200人(全国から200地点を抽出、住宅地図データベースから世帯を抽出し、個人を割り当て。エリア・都市規模と性年代構成は、日本の人口構成比に合致するよう割付実施)
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