紙の手帳vs.電子メモ!? 東大・NTTデータ経研らが実験し「紙の優位性」がデータで明らかに
東京大学(大学院総合文化研究科 酒井研究室)、日本能率協会マネジメントセンター、NTTデータ経営研究所は、スケジュールなどを書き留める際に使用するメディアが、「紙の手帳」か「スマートフォン」か「タブレット」かによって生じる違いを、共同調査した結果を発表した。
行動実験とfMRI(機能的磁気共鳴画像法)実験を実施し、記銘(記憶の定着)に要する時間、想起(記憶の再生)における成績や脳活動に、デジタル手法とアナログ手法で差があることがあきらかとなっている。
前頭葉・海馬・視覚を司る領域で、「手帳群」は活動上昇が観察される
この実験では、参加者を「手帳群」「タブレット群」「スマホ群」という3群に分け、これら3つのメディアを使って具体的なスケジュールを書き留める課題を行った。手帳とタブレットでは見開きの大きさを等しくし、またどちらもペンを用いて手書きするものとした。
MRI装置内でスケジュールについての質問を行ったところ、「手帳群」は他の群よりも記憶していた。また、一定の直接的な設問についての成績では、手帳群の方がタブレット群よりも高かった。ただし、課題の正答率には3群で差が見られなかった。このことから「手帳群は短時間で要領よく記銘できていた」と推察される。
また、fMRIで測定した脳活動でも、言語処理に関連した前頭葉や、記憶処理に関係する海馬、視覚を司る領域で、手帳群は活動上昇が観察された。これは、紙の教科書やノートを使って学習する際には、書かれた言葉の情報だけでなく、「紙上の場所」や「書き込みとの位置関係」といった視覚情報などが同時に関連付けられ、記憶していることを示している。
こうした結果から、紙の製品と電子機器を目的に応じて使い分けることによって、より効果的な利用につながることが期待される。
調査概要
- 【調査対象】18~29歳(東京大学学生および一般公募者)
- 【調査方法】手帳群・タブレット群・スマホ群という3群(各16人)に分けて、課題を実施
- 【参加者】48人
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