2020年度上半期の広告、JAROへの相談が過去最多ペースで増加。コロナ禍の影響で苦情が大幅増【JARO調べ】

ネットでは「動画広告」への苦情が前年同期の4倍以上に、動画共有サイトで厳重警告も発生。

日本広告審査機構(JARO)は、2020年度上半期(2020年4月~9月)の審査状況を発表した。JAROが受け付けた広告・表示に対する相談について分析・集計した内容だが、今回は特に「新型コロナ関連」「動画広告・コンプレックス広告」「定期購入契約」の3つの分野への苦情を、トピックスとして採り上げている。

2020年度上半期に受けた相談7,969件のうち、「苦情」は6,147件

それによると、2020年4月~9月にJAROが受け付けた広告・表示に対する相談は、7,969件。2019年度通期の相談件数は12,489件だったため、それを上回り過去最多となることが、ほぼ確実な状況だ。消費者からの相談は、7,969件中6,697件だった。男性の割合は63.9%、女性は35.6%、不明0.4%で、例年より女性比が若干高くなった。

相談内容の内訳は「苦情」6,147件、「称賛」10件、「照会(広告制作・審査に関する相談)」1,241件、「JARO関連」77件、「広告以外(記事や番組などに関する相談)」494件だった。

以下、苦情について見ていくと、業種別では、コロナ禍の外出自粛で消費が伸びた分野、健康・美容分野に増加傾向が見える。前年同期1位の「デジタルコンテンツ等」は、379件から730件と倍増し、今期も1位だった。2位の「健康食品」も、316件から634件と倍増している。

なお具体的な内容において、「デジタルコンテンツ等」では、「ホラーや災害を内容とする映画・ドラマなどの映像配信サービス」「広告と内容が異なるというゲームアプリ」「ポイント還元の条件が誤認を与えるとするフリマアプリ」などに苦情が寄せられたという。「健康食品」については、「広告のような効果が得られない」「定期購入だと分かりにくい」などの声があった。

「動画広告」における「品質・取引条件の表示」に関する苦情が増加傾向

媒体別では、前期から引き続き「インターネット」「テレビ」「ラジオ」がトップ3だったが、「インターネット」前年同期比153.1%、「テレビ」同129.0%と大幅に増加した。それ以外では、インターネット接続サービスや飲食店のテイクアウトメニューなどの「チラシ」、マスクに関する「新聞」の広告や「ラベル・パッケージ等」への苦情が、件数を押し上げた。

「インターネット」(広告、ウェブサイトの表示なども含む)の内訳は「自社ウェブサイト」785件、「販売サイト」734件、「バナー」697件、SNS等の「インフィード」576件、「動画」549件、「アフィリエイト」169件(複数が該当するケースあり)となった。特に「動画広告」が4倍以上に増加しているが、JAROによると、虚偽・誇大、品質・取引条件などの「表示」に関する苦情が、暴力・性的、不快・好ましくないなどの「表現」より増加しており、問題のある広告が増えている可能性が指摘されている。

JAROでは4月から新審査基準を運用しており、新設された「厳重警告」を含む13件(前年同期21件)の「見解」を今期は発信している。「厳重警告」「警告」計12件のうち、アフィリエイトサイトが関わる事例は11件だが、残る1件は動画共有サイトで、健康商品のアフィリエイト動画広告などが厳重警告を受けている。この事例では、動画広告制作・運営事業者も警告を受けたという。

なお全体の内容別を見ても、表示の「品質・規格等」が前年同期比238.5%と急増。コロナの流行に引っ張られる形で「健康食品」284件(前年同期102件)、「医薬部外品」147件(同26件)、「化粧品」106件(同42件)などへの苦情が大幅に増加していた。

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