企業が持つ「8つの広報力」、今年はすべて過去最高を記録。「危機管理力」が大きく伸長【電通PR調べ】
電通PR(企業広報戦略研究所)は、上場企業を対象とした「第4回 企業広報力調査」の結果を発表した。調査期間は2020年5月~8月で、上場企業3,679社の広報担当責任者を対象とし、474社から回答を得ている。これらの回答を、独自指標である「広報オクトパスモデル」で分析した。2014年から隔年で実施し今回で4回目。
8つの「広報力」はすべて過去最高を記録、「危機管理力」が大きく伸びる
「広報オクトパスモデル」は、「広報力」を以下の8つに分類し、広報活動に関する80設問で各広報力を算出した指標だ。
【8つの広報力】
- 情報収集力
- 情報発信力
- 情報分析力
- 関係構築力
- 戦略構築力
- 危機管理力
- 情報創造力
- 広報組織力
それによると、今回の調査で回答を得た企業において、8つの広報力すべてが最高ポイントを記録した。特に「危機管理力」が、前回調査(2018年)から9.5ポイント増と大きく伸長した。
業界別で見ると、第1回(2014年)、第2回(2016年)で1位、前回第3回(2018年)で2位だった「電力・ガス」が、経営課題・広報課題に対する「情報分析力」と「情報発信力」が大きく伸長し、今回は1位となった。「繊維・化学・医薬」は、自社・業界・ステークホルダーの動性を把握する「情報収集力」や「危機管理力」が伸長し、前回7位から今回4位とランクアップ。一方、「情報発信力」「関係構築力」「危機管理力」が低下した「運輸・倉庫」は、4位から11位と大幅にランクダウンした。
緊急事態宣言で、8つの広報力すべてが平常時を下回る
また今回調査では、コロナ禍での調査となったことから、「平常時(2020年1月末まで、コロナウイルス感染拡大前)」と「緊急事態宣言時(緊急事態宣言発出から解除まで)」での比較も行った。
その結果、緊急事態宣言時においては、8つの広報力すべてが平常時を下回っていた。特に「関係構築力」が11ポイント低下。企業トップと従業員、企業トップと報道機関とで関係構築を図れなかったことが大きく影響したと見られている。外部との接触機会が制限されたことで「情報発信力」も同様に大きく低下している。
「緊急事態宣言解除後に、重視したい広報活動」については、「情報創造力」「戦略構築力」といった企画・戦略フェーズ、「情報発信力」といった情報発信フェーズが、「危機管理力」を上回ってトップ3になった。具体的な方策では「広報戦略と経営戦略とのリンク」「広報戦略に沿ったPRメッセージ・ストーリーの策定」「ニュースリリースの継続発信」が上位だった。
調査概要
- 【調査対象】「会社四季報2020年」掲載時点で、東証一部・二部、東証マザーズ、ジャスダック、札証、 名証、福証に株式上場している企業3,679社
- 【調査方法】郵送・インターネット調査
- 【調査期間】2020年5月22日~8月7日
- 【有効回答数】474社
- 【「広報オクトパスモデル」算出方法】広報活動に関する設問(80項目)を8つの広報力に分類し、各広報力を構成する10項目の基礎点を各6.4点、当研究所の専門家パネル(研究者、メディア、広報実務家12人)の各メンバーが、戦略的重要性が特に高いと評価した3項目に1.0点/票を付与(1.0点×12人×3票=+36点)し、基礎点6.4点×10項目+付与点36点の総計100点で各広報力を算出。
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