B2Bサイトが提供する「サービス資料請求」「ホワイトペーパーDL」、売上への貢献に企業差【WACUL調べ】

受注率3割未満/3割以上の企業で、資料請求の件数には差がないが、その後のアクションで違いが生じる。

WACUL(ワカル)は、研究レポート「サービス資料vsホワイトペーパー。売上につながるのはどちらか?B2BサイトにおけるCVポイントのベストプラクティス研究」を発表した。

リードジェネレーションのためなどに提供される「サービス資料の請求」「ホワイトペーパー(ノウハウや導入事例をまとめた資料)のダウンロード」といったCVポイントについて、成果につながっているのか、成果につながっている企業はどのような営業アプローチを行っているのかなどを分析している。なお本調査の有効回答数は47社で、調査母数が少ない点に留意してほしい。

「資料請求」を巡る現状、受注率で資料請求の件数に差はないが……

まず「資料請求」について、「自社のWebサイトから資料請求ができるか?」「資料請求経由のリードのうち受注につながったリードは年間で約何割か?」「資料請求は毎月何件あるか?」「資料請求経由のリードのうち、電話をかけたリード・商談につながったリードは年間で約何割か?」などを聞くと、以下の回答が得られた。

  • 自社のWebサイトから資料請求ができるか?
     「はい」70.2%ながら、残り3割ほど、資料請求できないサイトが存在した。

  • 資料請求経由のリードのうち受注につながったリードは年間で約何割か?
     「明確に受注につながっている」と回答したのは、資料請求できるサイト33社のうち75.7%。平均約2割、最大7割だった。

  • 資料請求は毎月何件あるか?
     中央値は90件。3割以上で受注の有無に差はなかった。

  • 資料請求経由のリードのうち、電話をかけたリード・商談につながったリードは年間で約何割か?
     受注率3割未満/3割以上でわけると、資料請求の件数では差がないが、成果につながっている企業には電話をかけているなど、差が見られた。

資料請求後の営業方法、「全社にすぐ営業をかける」のがカギ?

さらに、リード獲得後のアプローチについて、「資料請求が発生した直後に、営業をかけているか否か?」「営業をかける企業はどういう基準で絞り込んでいるのか?」「お客様のニーズはどのように確認しているのか?」の3点を聞いた結果、以下の回答が得られた。

  • 資料請求が発生した直後に、営業をかけているか否か?
     資料請求発生直後のアクションでは、受注率3割以上の企業は10社中6社(60.0%)が「全社にすぐ営業をかける」と回答し主流だったが、受注率3割未満の企業だと23社中13社(56.5%)が「一部の企業に営業をかける」との回答が多かった。

  • 営業をかける企業はどういう基準で絞り込んでいるのか?
     受注率3割以上の企業は「絞り込んでいない」が多いが、受注率3割未満の企業は「業種や企業規模、部署など将来顧客となるポテンシャルがあるか」を判断しているという回答が相対的に多かった。

  • お客様のニーズはどのように確認しているのか?
     商品サービスに対するお客様の興味が顕在化しているかどうかを、どう確認しているかについては、受注率3割以上の企業は「フォームでお客様自身に入力してもらう」「MAでサイト訪問数を確認する」が相対的に多く、受注率3割未満の企業は「直接電話して確認する」「メルマガを送って待つ」という回答が多かった。

「ホワイトペーパーDL」を巡る現状、資料請求より低い実施率

引き続き「ホワイトペーパー」のダウンロード(DL)についても、現状を確認した。「ホワイトペーパーを自社サイトから入手できるか?」「ホワイトペーパーからの受注率は約何割か?」「ホワイトペーパーは毎月何件ダウンロードされているか?」「ホワイトペーパー経由のリードのうち、電話をかけたリード・商談につながったリードは年間で約何割か?」

  • ホワイトペーパーを自社サイトから入手できるか?
     ホワイトペーパーDLの動線を設けていない企業は過半数の57.4%。資料請求より実施率が低い。

  • ホワイトペーパーからの受注率は約何割か?
     ホワイトペーパーのダウンロードができる20社のうち12社(60%)が「受注につながっているのは1割程度」と回答。資料請求と比べると受注につながる割合は低い。

  • ホワイトペーパーは毎月何件ダウンロードされているか?
     1割以上受注につながっている企業による回答は、0~50件から501件以上と幅広いが、中央値で毎月200件台、最頻値では毎月300件台を獲得している。

  • ホワイトペーパー経由のリードのうち、電話をかけたリード・商談につながったリードは年間で約何割か?
     電話をかけるケースは0割・1割と10割で完全に分かれており、全体では年間44%程度しか電話をかけられていなかった。さらに商談につながったケースだと3割以下に留まる。

ホワイトペーパーDL後の営業状況、メルマガ配信やMAでのアクション待ちが主流

さらに資料請求同様に、ホワイトペーパーDL後のアプローチについて、「ホワイトペーパーDLが発生した直後に、営業をかけているか否か?」「営業をかける企業はどういう基準で絞り込んでいるのか?」「お客様のニーズはどのように確認しているのか?」の3点を聞いた結果、以下の回答が得られた。

  • ホワイトペーパーDLが発生した直後に、営業をかけているか否か?
     1割以上受注につながっている企業とつながっていない企業間で特に差はない。営業をかけないことも多い。

  • 営業をかける企業はどういう基準で絞り込んでいるのか?
     資料請求とは異なり、1割以上受注につながっている企業でも、興味の顕在化やポテンシャルを加味して絞り込みを行っていた。

  • お客様のニーズはどのように確認しているのか?
     メルマガ配信やMAでのアクション待ちが主流。営業をかけていないため、全体的に“待ちの姿勢”が色濃い。

まとめ:やはり迅速な営業アクションは重要

ニーズ潜在層は、「お問い合わせ」をいきなり使わず、まずはサイトで「資料請求」や「ホワイトペーパーDL」を行う。しかし3割ほどの企業サイトは、資料請求さえ用意していなかった。これはCVR改善の第一歩といえる。また獲得したリードを受注につなげるには、直後に営業をかけられるかどうかが重要だろう。

才流代表取締役社長の栗原康太氏は、「海外でもInsideSales.comが『リードに5分以内に架電すると10分以内に架電した場合の4倍も見込み案件につながりやすい』という調査を発表しているが、リードへの営業対応の質はその後の成否を大きく分ける。(中略)『素早く、抜けもれなくリードに対応する』という凡事を徹底できているか。改めて、自社の営業活動を見直す価値はあるだろう」とのコメントを寄せている。

また、WACUL取締役CIOの垣内勇威氏は、「当然、ホワイトペーパーをダウンロードした全ユーザとじっくり商談する必要はない。まずインサイドセールスが、ターゲット条件を満たすか、ニーズは顕在化しているか、などを確認する方法は一般的だ。デジタル活用が浸透すればするほど、顕在顧客を奪い合う競争は激化するため、その先で魅力的なホワイトペーパーを作れる企業と、インサイドセールス等で顧客データを管理できる企業が生き残るだろう」とのコメントを寄せている。

調査概要

  • 【調査対象】B2B企業(法人を営業対象とした企業)
  • 【調査期間】2020年7月15日~28日
  • 【対象数】47社
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