中小企業経営者、7割以上がハンコを廃止したいが「撤廃は難しい」の声【アドビ調べ】
アドビ システムズは、経営者を対象とした「ハンコの利用実態調査」の結果を発表した。従業員300名以下の企業に勤める全国の経営者・役員が対象で、500名が回答している。
契約手法はハンコが8割、電子契約は2割に届かず
まず「直近1年間の契約手法」を聞くと、「ハンコを使った契約」83.0%が最多で、2位「手書きサインを使った契約」22.8%を大きく引き離した。以下「口頭での契約」21.4%、「電子サインなどハンコを使わない電子契約」17.8%が続く。まだまだハンコ文化が強いことがわかる一方、「ハンコ(捺印)文化が仕事の生産性にどのような影響を与えていると思うか」を聞くと、「生産性をとても下げていると思う」16.6%、「生産性を下げていると思う」56.0%で、生産性には寄与していないと多くが思っていた。
そこで、「仕事でハンコを使用したことがある」と回答した462人に、「生産性向上のためにハンコの慣習を無くしたほうが良いと思うか」を聞くと、「無くすべきだと思う」22.3%、「どちらかというと、無くしたほうが良いと思う」52.4%との声が多数派だ。しかし、「過去1年の契約取引などでハンコを使った」と回答した449人に、「自身の会社でハンコ(捺印)の慣習を撤廃することは容易と思うか」と聞くと、「どちらかというと難しいと思う」39.9%、「とても難しいと思う」10.2%、「どちらかというと簡単と思う」34.5%、「とても簡単だと思う」15.4%で、撤廃困難派と撤廃簡単派で真っ二つに分かれた。
そもそもそこまでしてハンコを使う理由はなんなのか、「ハンコ撤廃へのハードルと感じる要因」を複数回答可で具体的に聞いてみると、「取引先の契約方法に従う必要がある」51.4%、「法的に有効かどうか心配」30.7%、「セキュリティ上の不安がある」30.1%が上位となった。導入コストや手間の負担を不安視する意見も多い。「ハンコを文化として残したい」12%という意見もあった。
アフターコロナの業務形態では、書類処理の多くが急速にデジタルに移行すると予測されている。しかし中小企業の場合、“取引先との関係”や“慣習”などがネックになっていると思われる。大手企業や行政がデジタル化を進めれば、自然と中小も連動していくだろう。
調査概要
- 【調査対象】従業員数300名以下の企業の経営者・役員
- 【調査方法】インターネット調査
- 【調査期間】2020年5月22日~26日
- 【有効回答数】500人
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