日本マーケティング学会、「日本マーケティング本 大賞2018」を発表 準大賞に奥谷孝司氏、嶋浩一郎氏
日本マーケティング学会は「日本マーケティング本 大賞」を創設し、第1回の受賞書籍を発表した。この賞はマーケティング理論や実践の普及を目的として、1年間に日本で出版されたマーケティング書籍(翻訳本を除く)を対象に、日本マーケティング学会会員の投票により選出するもの。
第1回「日本マーケティング本 大賞2018」の受賞書籍とその受賞理由は以下のとおり。実務家からは、奥谷孝司氏(オイシックス・ラ・大地 執行役員)および嶋浩一郎氏(博報堂ケトル 代表取締役社長・共同CEO)の著作がそれぞれ準大賞を受賞している。
大賞:『ブランド戦略論』(田中洋、有斐閣、2017年12月)
推薦理由:「ブランドに関する広範な知識を現代的な視点から体系化した大著」
“マーケティングにおいて重要なコンセプトであるブランドに関する広範な情報や議論を網羅し、現代的な視点から体系化することによって、実務家・研究者の双方がブランド戦略を俯瞰的かつ深く理解できる良書である。
ブランドに関する議論を「理論」「戦略」「実践」「事例」の4つの観点から整理しており、幅広い読者が自らの関心領域を入口にブランド戦略を多元的に考察できる内容になっている。特に30もの事例集は圧巻であり、読む者を飽きさせない。さらに、どの時代にも通底する社会や人々の生活を起点としたブランド戦略の本質が語られており、ビジネスのあるべき姿が描かれている点も評価に値する。”
準大賞:『世界最先端のマーケティング:顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略』(奥谷孝司・岩井琢磨、日経BP社、2018年2月)
推薦理由:「理論と実践の双方からオムニチャネルの本質に迫った意欲作」
“流通・小売業において喫緊の課題であるチャネル環境の変化や、オフラインとオンラインを融合するオムニチャネルについて、その最新動向や狙いを理論的かつ分かりやすく解説した良書である。
オムニチャネルという変化の速い領域を対象にしているが、最新の事例が豊富で情報の鮮度が高く、チャネルシフトなどの分かりやすい理論フレームを用いて事例を分析することで、理論と実践の双方からオムニチャネルの本質に迫っている。デジタル時代の顧客体験のつくり方について理解が深まるとともに、顧客とのつながりの重要性やこれからのマーケティングのあり方を考えることができるだろう。”
準大賞:『欲望する「ことば」:「社会記号」とマーケティング』(嶋浩一郎・松井剛、集英社、2017年12月)
推薦理由:「『ことば』が市場を生み出すプロセスを明らかにした刺激作」
“「ことば」という捉えにくくもマーケティングに強い影響力を持つ要因について、それがどのように人々の思考や生活様式を変え新市場を生み出すかという価値創造のプロセス を論じるとともに、実践的な示唆も得られる良書である。
欲望を捉えた「ことば」が社会に定着した「社会記号」になるプロセスを、広告業界とマーケティング研究の第一人者が実務家と研究者の双方の視点から明らかにしている。また、市場の意味について実証的に明らかにしようとしている点も興味深い。今後のAI技術の進歩などにより、さらに深い考察が行われる可能性のある分野に切り込んだ着眼点が秀逸であり、刺激的な面白さに満ちている。”
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