社内データを活用して業績向上に貢献! CDP導入でKPIが1.3倍アップの成功事例
勘や経験だけに頼らず、顧客データをもとに売上アップ策を考える「データマーケティング」。近年はWebやアプリを通じて顧客行動を把握しやすくなっており、各社が力を入れるのも当然の流れと言えるだろう。
とはいえ、現実に目を向けてみると、「SFA」「基幹システム」「Webサイト」「セミナーのアンケート回答」など、貴重なデータが社内各所に散逸してしまっている企業は珍しくない。「顧客データとキャンペーン応募者データを掛け合わせてメールを配信したいが、システム的にできない」といった悩みもよく聞く。そんな困った状況を解決すると言われているのが「CDP(Customer Data Platform)」だ。
CDPを導入すれば何が変わるのだろうか。「デジタルマーケターズサミット 2024 Winter」に登壇したデータXの江波戸 水紀氏は、とある人材サービス会社でCDPを本格運用したことで、同社のKPIである「面談参加率」を1.3倍まで押し上げた成功事例をもとに、CDP導入のメリットについて解説した。
CDPがなぜ必要なのか?
「CDP(Customer Data Platform)」とは、企業内に点在する顧客の情報を収集し、管理・分析するプラットフォームのことだ。通常、企業は広告などを通じて新規顧客を集め、購買や契約につながる情報をタイミングよく提供して売り上げを最大化させていく。しかし、単純な顧客情報だけでなく、その顧客はどのような手法で集めた顧客なのか、これまでにどんな施策を展開したのかなど、顧客に関する情報を統合的に管理しておかなければ、何が売り上げにつながったのかがわからず、効率的なマーケティング施策につなげることもできない。
顧客ひとりひとりに最適な「One to Oneマーケティング」を実現する根底となるデータ基盤がCDPである。
今回、江波戸氏が紹介したある人材サービス企業は、CDPをベースに幅広い機能を備えたオールインワン型マーケティングツール「b→dash(ビーダッシュ)」を導入し、業務で使われるさまざまなデータ(データベース)を連携させることで、同社のKPIとなる面談参加率を大きく伸長させた。
江波戸氏によれば、企業がCDPを導入するメリットは2つに絞られるという。
メリット その① あらゆるデータを横断した施策を実施できる
たとえば、Salesforceに代表される「SFA(営業支援システム)」で顧客情報を管理する一方で、正式な契約を管理するための「基幹システム」、新規顧客獲得において重要な「Webサイト運用データ」など、データがバラバラで管理されているケースが少なくない。さらに、現場レベルでWebアンケートを行ったものの、回答結果がどの社内システムともつなげられず、担当者のスプレッドシートに保存されているだけという事態に覚えがあるマーケターもいるのではないだろうか。
もちろん、データが分断された状態でも、各システム単位で施策を打つことはできる。しかし、たとえば、「SFAで管理している顧客から20代のユーザーだけを抽出し、Webサイトに登録されているお気に入り情報をもとにコンテンツを配信したい」とシステムを横断した施策をしようとすると、とたんに話は難しくなる。データベース間のユーザー紐付けができていないと、絞り込み自体が行えない。
そんな時に、分断されたデータベースを関連付けるのがCDPの役割だ。人材サービス業において、「顧客のWebサイトの閲覧履歴と、SFAで管理している就業希望エリアを関連付け、メールを配信する」といった複雑な施策も、CDPがあれば実現できる。
メリット その② システムに存在しないカラムを使った、独自の施策を実施できる
たとえば、「面談が急遽キャンセルになってしまった顧客(ここでは就業希望者)に対し、“再予約促進メール”をキャンセルの3日後に送りたい」とする。比較的簡単に思いつく施策だと思われるが、これを実現するのは意外に難しい。基幹システムで「面談キャンセル日」を管理していても、「面談キャンセルからの経過日数」というデータ項目は存在しないケースが大半だからだ。かといって、基幹システムに新しいカラム(項目)を追加するのは大変な作業になる。
そんな時もCDPがあれば、基幹システムを参照・データ加工して、「面談キャンセルからの経過日数」という新たなカラムを設け、管理できるようになる。
この2つのメリットにより、顧客ひとりひとり、そして自社サービス双方に沿った「One to Oneマーケティング」を実現できるようになります。単純なメール配信ではなく、社内に散在したデータを、自分たちが送りたい顧客、タイミング、セグメントに届けるための有用なデータに作り直せるのがCDPです(江波戸氏)
CDP導入で面談参加率が1.3倍に
b→dashを実際に利用している人材サービス企業A社の成功事例を詳しく紹介しよう。A社は人材派遣を主力としており、新規利用登録者の面談参加率の目標を40%に設定していた。しかし実際は33%止まりで、登録者は伸びていても、面談に辿り着く割合が低いというのが実態だった。面談参加率を上げるべく、仮登録者に一斉メール配信を行っても、大きな改善はみられなかった。
そこでA社はCDPの活用を本格化し、以下の2つの分析を行った。
広告媒体別CPA分析:効果のある広告出稿先を可視化
A社では、新規登録者の獲得は主にデジタル広告で行っていた。しかし、広告が何回クリックされたかなどの「広告媒体データ」は広告系のシステムで管理されている一方で、流入した客がWebサイトを何ページ見たかなどの「アクセスログデータ」、実際に面談を予約したかという「面談予約データ」などは別のシステムで管理されていた。
A社ではb→dashを活用してこれら「広告媒体データ」「アクセスログデータ」「面談予約データ」を統合。どの媒体に出した広告がどれほど面談実施につながったか、広告ごとのCPAの変動を可視化した。
その結果、広告の成果として「クリック率」という広告系システムからの指標だけではなく、「広告別CPA」や、真に重要なKPIである「広告別面談単価」などの指標を導き出すことができた。その結果をもとにA社は広告出稿先の調整・再分配を行い、面談1件を獲得するための単価を約72%まで抑えることができたという。
月次企業ステータス推移状況分析
A社が次に取り組んだのは、月次企業ステータスの推移状況の分析である。月ごとの新規会員登録者数などの推移を可視化し、各指標が変動した要因を把握することで、効果的な施策の実施・検証を実現したいと考えたものだ。
その際、人材サービス業として把握しておきたいのはただの会員数だけではなく、“年代別”の新規登録者数である。新規登録者数を月次ベースで把握している企業は多いだろうが、それを年代で区切って把握している企業はどれぐらいいるだろうか。システムに各登録者の生年月日が登録されているならば、「19歳」「27歳」などの年齢は簡単に算出できるが、「10代」「20代」という区分を作って把握するには、生年月日に基づいた別カラムを構築しないと実現できない。しかし、システムによってはカラムの追加は大変なハードルだ。
しかし、A社はb→dash上に年代のカラムを新しく作ることでそれを可能にし、年代別の登録者数を把握することでより高度な施策分析を可能にした。CDPにより、オーソドックスな指標分析をさらに深掘りできるようになった例である。
A社ではこの他にも、b→dashを用いて、希望求人エリアに基づいた求人情報の配信や、面談予約のキャンセルを抑止するためのリマインドメールなど複数の施策を実施した。その結果、33%だった面談参加率を、その1.3倍、当初の目標を超える42%まで引き上げることができたという。
CDP導入を阻む2つの壁
実は、A社がCDPを導入するにあたっては2つの課題があった。
1つ目が「エンジニアスキルの不足」である。たとえば、前述の広告媒体別CPA分析を行うには、面談予約データとアクセスログデータの統合や新カラムの作成、データの都度集計といった作業が発生する。しかし、こうした加工/統合を行うためにはプログラミング言語「SQL」の知識が必要となるケースが多い。専門的な内容だけに、マーケティング部門の独力での実現が難しかった。
A社はSQL作業を社内エンジニアに依頼しようと考えたものの、エンジニアも多忙なため、着手できるのは2カ月後と言われてしまった。そこで、外部ベンダーに見積もりを取ったところ、作業料金が1回あたり200万円と予算を超えてしまった。そのため、過去に一度CDP導入を見送った経緯がある。
2つ目の課題が、適切な「施策/分析の立案」が求められるという点である。A社では社内にマーケティング担当が2人しかおらず、日々の業務に追われており、ナレッジもたまっていない中で、適切な施策を企画しなければならなかった。
これらの課題を解決できるCDPとしてA社が選んだのが、「b→dash」であった。
導入時の課題を解決できる「b→dash」
A社がb→dashを選んだ決め手は下記の通りだ。
① 「ノーコード」で誰でもデータマーケティングが可能
b→dashは、データの加工・統合でよく使われる内容を「テンプレート」として豊富に用意しているため、目的を選択し、案内に従って順番に操作するだけで一通りの作業を完了できる。プログラミング作業が不要のため、エンジニアや外部SIerなどへの依頼が必要なく、誰でもデータマーケティングを行える。
② オンボーディングプログラムにより、初期構築を代行
b→dashは、ナレッジのない企業でも導入直後に素早く成果を創出するためのサポートとして、独自の「オンボーディングプログラム」を用意している。
b→dashはすでに600社以上で利用されており、30の業界/業態における最善の施策・手法が蓄積されている。もちろん、そこには「人材(派遣)」も含まれているため、A社は、「人材(派遣)」業で有効な37の施策シナリオ、16のWeb接客手法、39の分析形態から自社に合うものを選択して実施することができた。
また、b→dash活用のための大前提となるCDPのデータ準備作業はデータXの担当者が代行する。そのための追加費用は一切かからないのも大きな特徴だ。
江波戸氏は最後に、「データマーケティングの推進にあたっては、『どうやってデータを集めるか』『どうすればデータを増やせるか』がまずは重視されます。しかし、『集めたデータをどう使い倒せるか』も同様に重要なポイントであり、そのための基盤となりうるのがCDPです。売上アップという最終目標に対し、直接的に貢献できるCDPという存在に是非注目してください」と呼び掛け、講演を締めくくった。
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