多種多様なデジタルタッチポイントにおいて一貫した顧客体験を実現する!「DXP」に必要な機能とは
デジタルマーケティングの潮流は目まぐるしく変化している。Webサイトのスマートフォン対応こそ一巡した感はあるが、動画の隆盛、新興SNSの台頭、コロナ禍における新しい接客スタイルの模索など、まだまだWeb担当者が向き合うべき課題は多い。だが、そうして施策が多様化する一方で、それを受け取る顧客側の体験は、果たして一貫性・統一性のあるものになっているだろうか?
「Web担当者Forumミーティング 2022 秋」に登壇したハートコアの間宮淳一氏は、さまざまなデジタルタッチポイントで一貫性をもった顧客体験を提供するための鍵として「DXP(Digital eXperience Platform)」を挙げ、その実像を解説した。
急速にデジタル化する顧客とのタッチポイント
今や、企業と顧客とのタッチポイントは、急速にデジタル化・多様化している。
電車の中ではスマートフォンを、会社ではPCを、あるいは運動しながらスマートウォッチを見る。習い事もオンラインで受け、ゲーム機で遊び、週末は車のカーナビを操作する。このように顧客は1日の中で、さまざまなタッチポイントを通じてデジタルな体験をしています。コロナ禍の影響もあり、顧客と企業・ブランドの接点はリアルからオンライン、デジタルへのシフトが加速しています(間宮氏)
急激なシフトが起こっている以上、その周辺の環境も変わっていく。こうした状況の中でいくつかの課題が生まれている。
課題 ① 分散から集中へ、配信基盤の効果的な統合
マーケティングのために制作したコンテンツの配信先は、いまやWebだけではない。SNSに投稿するにしても、そのSNSの種類やトレンドは変動している。だが、コンテンツ配信のための管理システムは、それぞれのプラットフォームに分散しており、管理効率やコストの面で不利が出ている。よって「情報を集約し柔軟な配信コントロールが可能な配信基盤」が必要になってくる。
課題 ② 一貫性を持った顧客体験
顧客が製品を知り、情報を調べ、クチコミを確認し、そして実際に購入に至るまでにはさまざまなプロセスを経る。企業は各プロセスに人員を割いている訳だが、すべてが連動している状況とはなっていない。一貫性があり、摩擦が起きない顧客体験を提供することが重要となる。
課題 ③ ストレスがない顧客体験
デジタルマーケティングの世界では、顧客の趣味嗜好、シチュエーションなどの情報を収集したうえで、最適なコンテンツを届けることができる。顧客を惹きつけ、信頼を築き、満足させるサイクルを回し、より洗練させることで、ストレスがない顧客体験を提供する。
3つの課題を解決できる「DXP」
前述した3つの課題を解消できるのが、講演のテーマとなっている「DXP(Digital eXperience Platform)」だと間宮氏は述べる。その概念を最初に提唱したのは大手調査会社のガートナーであるという。同社による具体的な定義は、以下のようなものだ。
共通のプラットフォーム上で統合されたテクノロジー群であり、多くのオーディエンスに対して『一貫性を持ちセキュアでパーソナライズされた情報』『様々なデジタルタッチポイントのアプリケーションへのアクセス』を提供するもの
そして、間宮氏は、DXPに必要なキーワードとして、3つのカテゴリを挙げた。
- DXP配信基盤
- おもてなし機能
- 顧客アプローチ機能
DXPの基盤としての「CMS」
DXPに必要なキーワードの1つ目は「DXP配信基盤」である。情報を集約し柔軟な配信コントロールが可能な配信基盤と、一貫性を保った顧客体験を実現するには、オムニチャネルに配信可能なCMS(Contents Management System)を導入するというアプローチが手っ取り早い。Webサイトの構築・運用ツールとしてCMSはすでにお馴染みだが、近年のCMSはさらに進化し、コンテンツのマルチチャネル展開においても有用な機能を備えたものが増えている。
「WebサイトやECサイトの開設」「自社アプリの配信」「複数のSNS公式アカウント管理」「デジタルサイネージ利用」などに際し、それぞれ個別にツールを導入している企業は多い。導入・立ち上げまでのスピード感の観点ではそれも有効かもしれないが、実際はその後の運用の方が重要なのは言うまでもない。各ツールを統一的に管理するソリューションにも目を向けるべきで、そこで効果を発揮するのがCMSというわけだ。
ハートコアの提供する「HeartCore CMS」は、顧客のニーズや時代の変化に対応しながら10年以上開発され続けている国産のCMSで、さまざまなコンテンツ発信を統一的に実施するための機能も充実している。「オムニチャネルの配信ハブとして、HeartCore CMSをご活用いただきたい」と間宮氏はアピールする。
SEO施策に役立つ分析ツールやヒートマップ機能
実際にHeartCore CMSのようなツールを導入したら、コンテンツの配信先としてまず最優先すべきは、スマートフォン向けWebサイトだ。LINEの調査によれば、PCを使わずにスマートフォンだけでインターネットにアクセスする層は57%にも上る。PC対応は必要だが、あくまでスマートフォンを前提にすべきだろう。
また間宮氏は、「SEO(検索エンジン最適化)についても考えを改めるべき」と指摘する。かつてのSEOはサイト構築時の設計、あるいはキーワード対策としての側面が強かったが、その後のGoogle側の仕様変更もあり、「ユーザーに価値のあるWebサイトかどうか」が検索上位表示の主因になってきている。そのため、SEOについても長期継続的な実施が求められる。
HeartCore CMSには、検索流入の改善に繋がる分析ツール、ヒートマップ機能なども組み込まれている。
Webサイトで“おもてなし”を提供する機能群
DXPに必要なキーワードの2つ目は「おもてなし機能」である。日本の生産年齢人口は減少傾向であり、働き手の減少はもちろん、市場規模も今後縮小していく。在留外国人、訪日外国人の存在感が高まっていくことは明らかで、そうした中でデジタルマーケティングの在り方もまた変わっていくだろうと間宮氏は展望する。
たとえば、Webサイトの多言語対応はその要件の1つである。HeartCore CMSは言語別のシステム開発が不要な翻訳オプションに加え、検索エンジンに外国語サイトとしてインデックスされるための仕様も盛り込んだ。ページに翻訳用スクリプトを埋め込む方式より大きな効果が得られる。
また、Webサイトからの問い合わせ対応を自動化するツールとして、多くのサイトでAIチャットボット機能の利用が広がっているが、これもHeartCore CMSで容易に実装できる。入力されたテキストは履歴として保存されるため、顧客ニーズの分析などにもつなげることができる。
おもてなし関連では「パーソナライズ」も忘れてはいけない。HeartCore CMSでは、サイト訪問者を性別・年齢・都道府県などの属性別、あるいはサイト上でどんなページを閲覧したかの行動履歴ごとにセグメント化し、各セグメントに対して表示メッセージ・画像などを出し分ける「CXMデジタルマーケティング」機能を提供している。
メールで顧客にアプローチできるMA機能も備える
DXPに必要な3つ目のキーワードは「顧客アプローチ機能」である。Webサイトに訪れたが、離脱した客を引き戻せるよう、メッセージを届けるためのなんらかの顧客アプローチ手段を確保しておく必要がある。
現状で最も有効なのはLINE公式アカウントです。月間アクティブユーザー数は9000万人を超え、国内で広く利用されており、ちょっとしたメッセージでも気軽に送れるLINE公式アカウントの活用は有効でしょう(間宮氏)
一方、ビジネス分野ではメールが頻繁に利用されており、BtoB企業は今なおメールでマーケティングを行う意義は十分にある。HeartCore CMSはMA(マーケティングオートメーション)機能を組み込んでおり、たとえば、メールマガジンを登録してくれた顧客にステップメールを配信するなどのアプローチが可能だ。
デジタルタッチポイントの多様化には、オムニチャネル対応CMSで備えよ
ここまで見てきたようにHeartCore CMSは、DXPにとって必要な機能の多くをすでに実装している。CMSというと、これまではWebサイトやブログを管理するためのシステムという意味合いがほとんどだったが、本当の意義は文字通り「コンテンツを管理する」ことである。コンテンツを自社サイト以外でも効率的に活用するための手段として、CMSの存在感はさらに高まっていくだろう。
間宮氏は講演最後のまとめとして、「オムニチャネルに配信可能なCMSへの統合」「おもてなし機能・顧客アプローチ機能による集客アップ」の実践こそが一貫した顧客体験のために重要だと改めて強調。HeartCore CMSに限らず、さまざまな方策にチャレンジしてほしいと呼び掛けた。
- ハートコア「HeartCore CMS」
ソーシャルもやってます!