【レポート】アナリティクス サミット 2019

データ分析者を社内で増やすには? メルカリから学ぶ「ゆるふわBI」の取り組み

「意思決定者と比較してアナリストの数が少ない」という課題をデータ分析民主化で解決する

フリマサービスとして急成長を遂げたメルカリでは、データアナリストチームを組織化し、意思決定の支援している。「意思決定者と比較してアナリストの数が少ない」という課題に対し、メルカリがどのような活動を行い、分析組織の強化と分析民主化を行っていったのか。

アナリティクス アソシエーション(a2i)主催で4月9日に開催された「アナリティクス サミット 2019」に登壇したメルカリの松田氏は「メルカリで実施した“分析民主化”の知見について解説した。

保田昌彦氏
株式会社メルカリ Business Intelligence Team Manager 松田慎太郎氏

分析できる人を増やすためのコミュニティ“ゆるふわBI”

メルカリのデータアナリストは、アプリを作るプロダクト部門に所属している。プロダクトチームはマトリクス型組織になっており、「売上を上げる」「使いやすいアプリにする」「リテンションレートを上げる」など個別のプロジェクトごとにアナリストが存在しているという。

プロジェクトの中にデータアナリストが存在する

データアナリストの役割は、分析のフレームを作ったり、考え方を提案したり、ファクトを通じて意思決定を支援することだ。データアナリストのなかには、「自分でゼロから考えて提案し、組織を動かそうと考えている“武闘派”が多い」と松田氏は言う。

メルカリは非常に成長している企業だが、既存の顧客を大事にしながら、今までリーチできていない顧客にアプローチしなければならない。計画的に施策を行うためには現状を把握する必要がある。そのため、データアナリストは、意思決定のサポートを行い、意思決定者であるプロダクトマネージャとのやり取りを行うことが多い。

しかしそこには、意思決定者と比較してアナリストの数が少ないという課題があった。そこで、メルカリは、社内で分析できる人の数を増やし、組織化することでアナリストの負担を減らす分析民主化の取り組みをスタートし、その取り組みを「ゆるふわBI」と名付けた。

ゆるふわBIは、分析スキルを持っている人や分析に興味がある人をオーガナイズするために発足、課外活動として自発的にできたコミュニティなのだという。2018年1月にデータ分析関連の人が集まって話し合い、その会合を定期化するとともに、ビジネスチャット「Slack」上にチャンネルを開設。ゆるく始まり、Slackのチャンネルでも「ゆるく何でも聞いて」というスタンスで、現在では200名以上が参加しているという。

データ分析と聞くと堅いとか、怖いといったイメージがあるので、とにかくゆるく始めたかった。Slackのチャンネルでは、本職のアナリストだけでなく、プロダクトマネージャなども積極的に会話に参加してくれる(松田氏)

「Slackのチャンネルなら、あいまいな質問でも聞きやすいため、まずゆるふわBIチャンネルで質問するという流れができ、アナリストとして仕事がしやすくなった」と松田氏は言う。

本職のアナリストではない人も質問に答えてくれるケースが多い

振り返りに使用する「KPT」フレームワーク

ゆるふわBIでは、Slackチャンネルを活用する一方で、定例会を開き、分析で得た知見に対する意見交換会を行っている。PDCAサイクルを重視し、四半期ごとに反省点を洗い出し、次の四半期にどうするかを決めていったという。

四半期の振り返りには、「KPT」(Keep、Problem、Try)というフレームワークを使用し、定例の参加者に意見を募った。

  • Keep:来四半期にも続けたいこと
  • Problem:今四半期に問題だと感じたこと
  • Try:来四半期に挑戦したいこと
KPTフレームワーク

定例会では、分析に関する議論を行うとともに、他部署の状況や人を知ることができたが、人数が増えるにつれて運営の労力やコストが上がってしまったため、中止することになったと松田氏は説明する。

分析/SQLスキルを教える「SQLライザップ」

メルカリでは、分析やSQLのスキルを得たい人に対して、マンツーマンで教える「SQLライザップ」という企画も開催している。アナリストのリソース不足を解消する目的で始められ、アナリストをアサインできなかったマーケティングチームやファイナンスチームを対象に実施した。

SQLライザップを行った結果、1人で分析をできるようになったり、サービス改善の企画を提案できるようになったりしたメンバーも出てきたという。

伸びる人がいると教えるほうは楽しいし、1人でもアナリストとして育てられればアナリストチームも楽になる。他部署に仲間も増え、知見の共有もしやすくなった(松田氏)

ただし、教える側のコストはかかる。教えるにあたり、下記3点が重要ポイントだったという。

  • ゴール設定
  • モチベーション管理
  • 自社のテーブル理解
「SQLライザップ」3つの重要ポイント

SQLを学ぶにあたり「分析できるようになりたい」というだけでは習得は難しく、「自分のキャリアに幅を持たせるために分析を覚えたい」という人のほうが伸びるため、ちょうどよいゴール設定が必要だったという。

モチベーション管理については、「接触頻度を上げる」ことが有効であった。また、「SQLだけではなく自社のテーブル構造もセットで教える」ことも、地味だが重要なポイントだという。

よりスケールすることを目指した役割分担

メルカリは、2018年10月からゆるふわBIの運営の組織化を行ってきたが、オーガナイザーは松田氏だけだった。そこで、2019年に入り、組織化でよりスケールすることを目指し、「情報流通」と「能力開発」それぞれにタスクを切って担当を付けるようにしたという。

「情報流通」「能力開発」それぞれにタスクを切って役割分担

役割分担によって、1人では出なかったアイデアも出るようになった。勉強会などを開催している人は、運営委員会などを作ると、自分の負担も減るしメリットも多いと思う(松田氏)

分析民主化の前提条件と学んだ知見

松田氏がゆるふわBIの活動を通じて学んだ分析民主化のための前提条件はハード面とソフト面に分かれる

ハード面に関しては「データに誰でもアクセスができる環境」が重要で、根底として社員を信じるという性善説があり、これらをクリアできることが前提条件となる。

分析民主化を活かすためのハード面の前提条件

ソフト面は、「分析が意思決定に使われる文化があること」が前提条件となる。メルカリはもともとデータドリブンな社風で、どの部署においても施策をやる・やらないの判断にデータが用いられるという下地があった。

このハードとソフトの2つの前提条件が備わることで、分析民主化が意味を持つのだ。

ここまで述べてきたように、メルカリは、人が集まる場を作り、コミュニティの力で分析民主化の課題を解決することができた。よいコミュニティを作るために必要なこととして、松田氏は以下の5つをあげて講演を締めくくった。

  1. 自分が楽しむ
  2. 継続は力なり
  3. 振り返り重視
  4. 他部署に仲間を作る
  5. 権限委譲
よいコミュニティを作るためのポイント
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