29歳の自分に伝えたいこと

エクスペリエンス代表 橘守氏、29歳当時は悩みと克服の日々~営業ほど素敵な商売はない!~

エクスペリエンス社の代表取締役 橘 守氏に、29歳のご自分を振り返って、そのときに悩み、克服したことが、現在の自分にどのようにつながっているかを記していただいた
橘 守(エクスペリエンス) 6/18 8:00 |

30歳前後になると、職場での異動や昇進、プライベートでの結婚や子どもの誕生など、分岐点となる出来事がいろいろやってきませんか? 自分もそうだし、同期もそう。キャリアパスを真剣に考えるのもこの頃かもしれません。

現在、多くの実績を出されている先輩の方々は、この時期をどんなふうに悩み、克服して、キャリアを積んでいかれたのでしょう?

連載「29歳の自分に伝えたいこと」の第1回は、デジタルマーケティングのコンサルティング、データ解析などを行うエクスペリエンス社の代表取締役 橘守氏に筆をとっていただきました。29歳のご自分を振り返って、そのときに悩み、克服したことが、現在の自分にどのようにつながっているかを、赤裸々に記してくださいました。(編集部)

tachibanasan

29歳のとき リクルート入社5年目の営業マン

29歳……それは今から34年前のことです。記憶はあいまいですけど、このお題をいただいて以降、いろんな資料にあたり思い出してきました。当時、私はリクルートに入社して5年目(大学を2年留年しているので24歳での入社でした)。リクルートには結局入社以降18年在籍しましたが、その間の異動は3回。4つの事業部門を経験しました(新卒採用、企業内教育、不動産関係、中古車事業)。その間ほぼすべての時期を「営業」として過ごしています。

今風に付け加えるとすべて「BtoB営業」としてのキャリアでした。なので、本稿のテーマは「営業マンとしての悩みとその克服」になるかなあと思います。とはいえこの経験は、その後の社会人生活に多大な影響を与えているし、弊社エクスペリエンスが存続できているのも、この間の経験がなければ実現していないと思います。今のエクスペリエンスでの肩書は代表取締役ですが、実際の仕事内容、役割は「営業」。つまり代表取締役営業マンですね。

「営業」ほど素敵な商売はない!

世の中の「営業マン」のイメージっていうと、ノルマ、ノルマに追いまくられて、お客にはけんもほろろに扱われてつらい職種、というイメージを持つ人が多いに違いないけれど、それは大いに間違っています。たぶん営業をやったことがない人ほど、そんな風に思う傾向が強いのではないかと思います。

私は、今では、「世の中に、営業ほど素敵な商売はない」と本気で思っています。お客様のために提案し、その結果、お客様の役に立つ。この関係は信頼関係となり、長いお付き合いになることが多い。今どきのこの業界でよくみられるような、世の中をバズワードで煽っておいて、ツールを販売し、お客様が使いこなせているかどうかは全く関知しないみたいなアホな営業は論外ですけどね。

営業マンというのは狭義で言えば「売る人」なんだけれど、本来の意味で言えば売った商材でお客様の課題を解決する。場合によってはお客様の売上を上げる、利益を拡大する。そういうことまで含めて営業マンの職務範囲だと考えています。リクルートは、「そういう本質論で営業マンとしての役割を果たしているのか?(社内的には業績を上げているか? 社外的にはお客様の役に立っているのか?)」ということを、四六時中、問いかけられ続ける組織文化だったと思います。

さらに毎年売上目標が上がる中、常に目標を達成していくということも同時に求められていました。リクルートはそういう高いモチベーションを保ち続けるという意味において、たぐいまれな組織文化を持っていました。たとえば、大型受注目標達成を自分たちの課の天井に垂れ幕をたくさんつるす「垂れ幕文化」(*写真)、毎週全社員に配られる全社週報では各事業部門の「トップセールス一覧を表4(裏表紙)に掲載」、部内報には毎週顕著な「受注を挙げた人のケーススタディを満載」等々。たくさんありすぎて、「これ、書いてないじゃないか」と先達に叱られそうです。結果主義、業績達成主義が当たり前の組織ですが、それをサポートする仕組みがちゃんとありました。未熟な社会人でもそのおぜん立てに乗っかっていけば、自然と成長できる。そのような組織だったんだと思います。

垂れ幕文化
写真:リクルートでは垂れ幕文化があった

29歳で人事異動。高い業績を上げ続ける秘訣を知る

こういう組織文化の中、29歳、入社5年目に初めての人事異動を経験します。新卒採用のお手伝い部門から、企業内教育を担当する人事教育事業への異動です。売るものが変わりますから、まあ転職のようなものです。売れる営業マンの最低限の要素は「やる気」「知識」「スキル」の3つです。

売り物が変わる人事異動というのはこれまでの知識がゼロになるという意味になります。これまでの知識は何の役にも立たないのですから、結構焦ったわけです。とはいえ、リクルートの営業マンとして4年のキャリアがあるわけですから「営業スキル」はあるはず。「やる気」もあるぞと。足りないのは「知識」なんだから、いかに早く知識を吸収するかがカギになる。「異動当初の壁は、知識をとにもかくにも最大限早く吸収することで克服するしかない」というように考えました。

この異動で、もう1つ最大の悩みでもあり、壁だったのは「どうやって連続で目標を達成する優秀な営業マンになるか」でした。それまでの私は優秀な営業マンとはとても言えない五分五分の営業マンだったと思います。目標を達成したりしなかったりで、全社週報の表4を毎週飾る優秀な営業マンではなかったんです(今もそうでないかもしれませんが)。

当事者意識、結果主義、業績達成意識がハンパないリクルートでやっていくためには何が必要なのか? つまり連続して高い業績を上げ続けるには何が必要なのか? いま思うとそれを教えてくれたのがこの人事異動とその後の1年でした。人事異動のカオスっていいもんだと今では思いますね。

異動先のチームで毎日ミーティング! 勝ち癖がついた

このときのチームがとてもおもしろい構成で、1人は社歴6年目の人事から移動してきたA氏、営業経験ゼロ。人事教育事業営業担当4年目のB氏、この事業に最も詳しい。それと営業経験4年で人事異動してきた私、最後に新人。計4名。まさに寄せ集めのチームです。チームそのものも新規に発足した営業所でした。

営業経験のないA氏は営業そのものをB氏とか私に教えてほしい状態だし、私は新しい事業部の商品周りの知識を早く吸収したいのでB氏に聞く、事業部門歴が長いB氏は営業スキルについて私から学びたい。新人は一から全部吸収したいという、お互い同士で高めあわない限りこのチームの目標達成はおぼつかない状態が、今思い出すと最高の環境だったように思います。なにしろ、このチームは結果的に四半期3回連続で事業部門トップの業績を残すことになるんです。

やったことは単純です。個人、チームの目標達成までいくら足りないのか、足りない額を満たすためにどのような戦略戦術で営業するのか、それらを確認し合うミーティングを、なんと毎日!! とことんやったわけです。お互いが教育し合わないとにっちもさっちもいかないチームでしたから、こういうことが自然にできました。最初の四半期の最終日なんかは、スタッフに「受注するまで帰ってくんな」なんて言われながら(パワハラではなくみんな仲が良かったんですよ)、最終日まで緊張感の強い状態を保ち続けたことが最終日の奇跡を生み、部門トップで終了することができました。

第一四半期で事業部トップの業績を出した後にチームで考えたことが、勝ち続けるために「勝つ癖をつけよう」でした。「勝ち癖」ってあるんです。言い方を変えると「勝つのが当然」と思うことなんですが、意外に思われるかもしれませんが、こういう心理の中では「負けることへの恐怖感」が非常に強くなります。負けるのが嫌だからやるべきことを日時単位で個人、チームで常に明確にしておく。この緊張感(恐怖感)が持続できる組織はいつでも強い。つまり勝ち癖のついたチームになります。当然ながら個人もそういうことを体で覚える。そういうことができた1年だったと思います。

「成果を売る」考えが、Web改善のコンサルにつながる

勝ち癖と同時に必要なのが「お客様への貢献」です。数字が上がっても「お客様への貢献」が実現しないとbusinessは長続きしないのです。この問題について、いつも先輩から言われ続けた言葉は「取引の総額はお客様の信頼の量」。

1社からの受注額もそうですし、個人の年間の売上高もそう。チームの総売上高もそうです。一番売上高の高いチームが顧客から「一番高い信頼を得ている」という意味なんですが、営業マンは数字を追いかけると同時に、このことを理解していないと、「売りっぱなし」「顧客の不満がたまる」なんてことになります。まさに「成果を売る」というスタンスなんです。こういう経験が積み重なって、「お客様への貢献」が自然に業績を生むということが体でわかってくるのです。

この「取引の総額はお客様の信頼の量」「成果を売る」「勝ち癖をつける」というスタンスは、結果的に、いまの弊社のコンサルティングチームとしての事業を継続していく原動力になっていると思います。特に「成果を売る」ということに関して最大の強いこだわりを持つようにしています。

企業のWebサイトって、その企業の内部コンフリクトをまさに表現していて、中途半端な表現や、残念な機能満載です。たとえばコンプライアンス部門が強い企業の「問い合わせフォーム」の使いづらさ、記入の難しさなどはそれを象徴していますね。つまり、それによってKPIが阻害されていると理解していても、社内事情が理由で解決できないという状態が多いのではないかと思います。さてこういう顧客に直面したときに、どういう風に「成果を売る」のか。中途半端なままでは成果が出ないに決まっています。

多くの場合当該事業部門がコンフリクトを起こしている部門への説得力が足りないという場面を多く拝見します。そういう場面では「べき論」「リスク回避」が幅を利かせていて、「事業にとっての損失」が数字で議論されていないことが多いように思います。リスクテイクできない最大の原因が、「べき論」でのみ議論がなされていて数字のエビデンスがなかったりしていることにあります。あるいは数字そのものを理解していなかったりするのです。そのあたりの課題に「数字」でサポートするということが「最大の成果」につながると考えています。

29歳の自分へ、そして29歳の皆さんへ

29歳の自分へというお題をいただき、いろいろ思い起こす時間が持てましたが、改めて思うのは29歳あたりは、自分の仕事へのスタンスをどうにか確立していく非常に重要な時期なんだろうなということです。その頃の人事異動、営業マンとしての悩みとその克服が、現在の仕事への取り組み方を育ててくれたのだと思います。読者の皆さんの参考になれば幸いです。

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