最初に運営方針を定めよ!「なぜSNS広告なのか」から考える(第1回)
いきなりSNSの広告運用やれって言われてもどうしたらいいの!?
突然、今までやっていなかったSNS広告運用を依頼されたら、どうしますか? 本連載は、未経験でSNS広告運用担当者になってしまった方に向けています。未経験でも代理店を使わず、内部の人間だけでSNS広告運用をスムーズに開始するまでを全6回で解説する記事です。
第1回は、SNS広告をなぜ行うのか、目的を明確にして運営方針を定める方法を解説していきます。そうすることで、たとえば、プロジェクトの会議で「そもそも何でSNS広告やるんだっけ?」といった、会議メンバーからのツッコミにもちゃんと回答できるようになりますし、運用担当者自らの目的を見失わずに運用を回していけるはずです。では早速、以下の内容を説明していきます。
- STEP 1 そもそもなぜSNS広告するんだっけ?――4つのポイントを使って説得する
- STEP 2 何のために(目的)、誰に(ターゲット)、どのSNS(手段)で広告出稿すべきか?――主要SNS キャラクター分類で考える
- STEP 3 どうSNS運用をしていくか?――スマホで変わった「広告のフォーマット」
- STEP 4 SNS広告は誰がやるのか?――あなたです!
STEP 1 そもそもなぜSNS広告するんだっけ?――4つのポイントを使って説得する
今までSNS広告に出稿したことがない企業の場合、「SNS広告運用をする」と決まったとしても、たいてい会議で突っ込まれる心無い発言「そもそも何でSNS広告をするんだっけ?」。
このツッコミに、一言で答えると「当社のブランドを広告という形で訴求する場としてより適しているから」です。ですが、それでも納得してもらえないことも多いはず。そんなときは、次の4つのポイントを使って、まず説得するといいでしょう。
STEP 1-1 インターネットの発達により情報過多時代に、生活者の接する情報が増えて情報が届きにくくなった
インターネットの発達により生活者が受け取る情報が爆発的に増え、受け手側は情報過多になってしまいました。
そして、情報過多になった生活者は情報を取捨選択し始め、まず先に「広告ウザイ」と広告が切り捨てられるようになりました。そこで、広告を出す側は生活者にウザがられずに受け入れてもらう工夫が必要になっています。
STEP 1-2 情報過多だからこそSNSは「つながりのある」人に対して情報を発信/共有する場
インターネットの発達による情報過多にはSNS(Facebook、Instagram、Twitter、LINEなど)も含まれますが、なぜSNSはブレイクしていったのか。
それは、SNSが生活者に支持されているのは「つながりのある人」に対して情報を発信・共有する場だからです。これは、つながっている人からの情報はそうでないものと比べ、受け手側にとって価値が高いという背景があります。
STEP 1-3 もはやスマートフォンは生活に欠かせないアイテム
普及率から見てもわかるように、スマートフォンは現代の生活において不可欠なものとなりました。
そして、SNSはスマートフォンに最適化された機能が充実しています。「タイムライン形式(上から順に新しい情報が掲載される形式)」や、カメラなどのアプリと連動したサービスが用意されており、いつ、どこでも豊かな表現力で情報の共有ができるのです。
こうした背景により、スマートフォンの普及とともに、SNSも普及率を上げています。
STEP 1-4 受け入れられやすさがSNS広告の利点
スマートフォンとSNSが生活に根付き、普及率が上がっていくなか、SNS広告は他の広告と比べて閲覧者に受け入れられやすいという特性があります。
STEP 2 何のために(目的)、誰に(ターゲット)、どのSNS(手段)で広告出稿すべきか?――主要SNS キャラクター分類で考える
では、次に直面する課題としては「どうSNS広告を活用していくのか?」という点です。
当然ですが、相応の広告費を投じているので、投資した広告費に見合った、もしくはそれを上回る成果を上げなければいけません。社内で運用する場合は、運用する担当者の人件費も無視できません。
そのため、まず誰に、何のために、広告出稿をするのか定める必要があります。それが無ければ、最適な広告出稿先を見つけることはできません。たとえば、次のようなことをプロジェクトで明確にしておくといいでしょう。
- 商品/ブランドで、(生活者の)誰がハッピーになるのか?
- その人に、商品/ブランド/(実施するキャンペーンが既に決まっていれば)キャンペーンの情報をいつ、どこで(シチュエーション)、どう伝えればその人がワクワクするのか
SNS広告運用を社内で1人でやる場合も、複数名でプロジェクトとして進める場合も、上記のような事柄を決めてから、SNS広告をどう実行していくか考えていきましょう。運用を進めていくと、広告出稿をすることが目的になってしまうことがあります。広告運用はあくまでも目的を達成するための手段ですので、ちゃんと決めておきましょう。
SNS広告の特長として、利用者がSNSを利用するにあたり、氏名、年齢、性別などの利用者のプロフィール情報を提供して、アカウント(SNS用の個別ID)を取得します。取得する情報は、SNS各社によって異なります。
そのプロフィール情報や、利用者が見た/いいね! したお気に入りページから推測される利用者の興味・関心などを元に、上記の「その人」に近い属性の利用者に対象者を限定して広告(ターゲティング広告)を露出することができます。
また、主要なSNSサービスの特徴を整理してみると「その人」がSNSを利用しているシチュエーション=「どのSNSを」「どのような気分で」「どのような情報を楽しんでいるか」が判別できるので、あなたのプロジェクトで訴求したい内容や性質に合わせて、最適なSNSを選択できます。
たとえば、次のようなことを決めておくと、大筋の方向性を判断できるわけです。
- 「当社の商品は40歳代女性向けの基礎化粧品でわが社の通販サイトで購入する商品だから、配信する対象を年齢と性別とできっちり限定できるFacebookがより適しているな」
- 「当社の高級バックブランドは、とにかくリッチなビジュアルで訴求するのが一番効果があるのでInstagramだな。加えて他の動画広告も検討してみよう」
- 「ウチのプロジェクトで実施する来月のキャンペーンは短期で話題をかっさらうインパクト重視のものなのでまずはTwitterを中心に考えよう」
STEP 3 どうSNS運用をしていくか?――スマホで変わった「広告のフォーマット」
どのSNSで広告を打つか合意が取れたら、次はどうやるかです。どんなカタチで広告を打っていくのか検討していきましょう。
STEP 1で前述した、情報が取捨選択されていることを思い出してください。まず、生活者は基本「広告はウザイ」ものだと、思っていると考えましょう。
だからと言って、SNS広告の効果がないわけではありません。広告の特性上、反応する人、しない人(ターゲットの差異)は一定数いますが、STEP 1、2を通じて、どんな広告を、どのSNSで出稿するべきか検討を重ねたはずです。ですから、あなたが打ち出そうとしている広告は、閲覧者向けの広告になっているはずです。
広告を届けたい人の目の留まり、ウザイと思わず受け容れてもらえれば「つかみはOK」です。
あとは読み進めたり、映像を見たりと、訴求内容がその人のフィーリングや志向性に合致すれば「気になる」状態にステップアップし、さらにもっと知りたいので「クリックする」段階までその人をするチャンスが生まれます。
それにはまず「つかみはOK」でなければなりません。
つまり、プロジェクトに「ぜひコンタクトしたい閲覧者」にとって、「目に付きやすい」「受け容れてもらえる」見え方のするものが望ましいということになります。
それは、広告を提供するSNS事業社も考えは同じです。企業に広告をよりたくさん打ってもらい、収益を上げていくため、効果の高い広告形式(広告フォーマット)を日々研究しています。
そこで見えてきた法則は、閲覧者に受け入れられている「投稿」に体裁が近いということです。
下の図に示すように、SNS事業者は、SNSに投稿されたコンテンツとまったく同じ体裁にする広告フォーマットを各社提供しており、それがスタンダードになっています。
また、スマートフォンの特徴の1つである、人差し指でスワイプして多様なコンテンツを見ることができる機能を活用した広告フォーマット(カルーセル広告)なども出現し、より閲覧者が便利に広告を楽しむことができるような工夫も見られます。
あとは、すでに用意されたフォーマットから、コンテンツの見せ方を選ぶだけです。見せ方には、静止画や動画を縦長で見せるのか、横長で見せるのか、または映像のバリーエーションなどがあります。
見せ方を選ぶときには、広告の目的やプロジェクトで打ち出す訴求内容を十分振り返って最適なフォーマットを選択しましょう。
STEP 4 SNS広告は誰がやるのか?――あなたです!
どのSNSで、どの広告フォーマットで実施するか見当がついたら、いざ実施に向けて準備開始です。
あなたの上司はもしかしたら「あとはそのSNSに発注して広告載せてもらえばいいんでしょ」などと考えていらっしゃるかもしれませんが、残念ながらそうではありません。
このコーナーで登場するSNSが提供する広告のほとんどは「運用」型広告と呼ばれ、広告を掲載するまでの一連の作業をSNS事業社ではなく広告を掲載したい企業が行います。
つまり『あなたがやる』のです。実際どうやるのか? 不安で仕方ないと思いますが、このコーナーの次回以降で詳しく解説しますのでぜひお読みください。
なにやら取っ付きにくいように見える運用型広告ですが、広告枠をあらかじめ期日指定で購入し、掲載する作業までまるっと広告媒体事業社に任せる方式(予約型広告といいます)の従来型と比べると自由度は高いです。
購入する価格も固定ではなく、自分が望む効果の数量、単価だけ購入することができたり、広告を掲載する期間も自由に決められたりといったことができます。確かに運用する作業は大変ですが、あなたの上司含めて後でじわじわメリットを実感してくるはずです。
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