UXデザイナーはAIの進化にどう対応すればいいか? 4つの視点から考える(後編)
この記事は、リクルートテクノロジーズの許諾を得て、転載した記事です。
こんにちは。サービスデザイナーの反中(たんなか)です。
前回のエントリーに引き続き、4月22日(土)に開催した「AI eats UX」というイベントの後半について紹介します。
前半では具体的なAIの活用事例中心でしたが、後半は少し抽象度を上げて、「AI(人工知能)が発展していく時代の中でUXデザイナーは何を考え、どう振る舞うべきか」に対する示唆に富むセッションが行われました。
UXデザインを語るなら、今すぐWatsonを触るべき!
まず、HCD-Net認定の人間中心設計家として活躍される羽山祥樹さんが、“Watsonが拓く新しいUXの地平”と題して、UXデザイナーとしてIBMのWatsonを使ってみた体験について語ってくれました。
その場でWatsonを用いた画像判定のデモなども見せていただき、「こんなに簡単に使えるのか」ということに会場も驚きに包まれていました。
羽山さんは「これまではシステムの都合に寄り添ってインタフェースの設計をするのがUXデザイナーの仕事だったが、WatsonをはじめとするAIにより、人間に寄り添ったシステムの設計がついに可能となる」という期待を語っていました。また、そうした革新を肌で感じるために、UXデザイナーは今すぐWatsonを触ってみるべき、というメッセージが印象的でした。
「人間にわかることを上手にやるAI」から「人間にわからないことがわかるAIへ」
続いては、ギルドワークスの佐々木将之さんが、「AIへの期待~わかること、わからないこと」と題して語ってくれました。佐々木さんは「ちゃちゃき」名義で様々な勉強会も開催している方です。
佐々木さんはまず、「機械学習」「AI」「UX」という概念が人によって指すものがバラバラになりがちなので、それぞれをわかりやすく概念整理した上で話を進めることの重要性を指摘しました。(非常にわかりやすい整理で参考になります)
その上で、「人間にわかる/わからない」と「AIにわかる/わからない」という2軸のマトリクスを提示し、
これまでのAIは「人間にわかることがAIにもわかるようになった」という部分での成果にすぎず、今後は「人間にわからないことがAIにわかるようになる」というところに向けて進んでいく
という青写真を提示してくれました。
(https://www.slideshare.net/chachaki/aiai-eats-ux より転載)
AIが生み出す“UIの仮想化”
続いて、『人工知能は私たちを滅ぼすのか』、『IoTは“三河屋さん"である ~IoTビジネスの教科書~』の著者である児玉哲彦さんから「マルチデバイスからバーチャルデバイスへ」というトークがなされました。
児玉さんは、クラウドの技術がサーバサイドの仮想化を実現したのと同じように、機械学習やAIによるスマートエージェントの技術が、「UIを仮想化」する、というコンセプトを提示し、「その先にどのようなUIを想像するか?」という問いかけを行いました。
非常に刺激的な話であり、想像力をかき立てられるセッションでした。
クロージング~「UXメカニクス」の構築へ
クロージングでは、共催の前田俊幸さん(UX Tokyo)から、改めて「AI eats UX」というタイトルに込めた思いと課題意識について共有がなされました。
特に、Uberドライバの問題など、人とAI/アルゴリズムの協働が進むことで生まれる弊害を指摘し、それを乗り越えるための新たなデザインテーマとして、「インタラクションデザイン」と「機械学習、ビッグデータ」「行動経済学」の3つの領域の交点を「UXメカニクス(UX Mecs)」と名付け、ここがこれからのフロンティアになるのではないかという提言は、非常に示唆に富むものでした。
(https://www.slideshare.net/tmaead/uiai-eats-uxより転載)
予定時間を超えて3時間以上に及ぶセッション終了後はピザとビール片手の懇親会となり、登壇者や参加者の間で活発な情報交換が行われました。
個人的な興味から始まって、なんとか無事にイベント開催できた、という中でしたが、懇親会の場で多くの参加者の方から「第二回以降も期待しています」という声を掛けられ、今後のシリーズ化を検討したいと考えています。
現場では引き続き実践していきつつ、こうした勉強会の場を持つことで、自分のやっている仕事を少し俯瞰して眺める機会を作ることは、非常に重要だと感じました。
第2回以降のシリーズ化に向けては、様々な実践を積んでいる登壇者を集めることが最も重要かつ難易度が高いので、このブログを読んでいる方で、ちょっとでも興味がある方がいらっしゃいましたら、ぜひともご連絡ください。
そしてもちろん、リクルートテクノロジーズとしても一緒に働ける仲間を募集しています。
この記事は、リクルートテクノロジーズの許諾を得て、転載した記事です。オリジナル記事はこちら:AIとUXについて考えるイベント「AI eats UX」を開催しました(後編)
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