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マーケッターはメディアの変化よりも消費者の情報行動に目を向けるべき ― HubSpot Day in Tokyo

企業が自らのマーケティング資産を活用し、見込み客を引きつけるインバウンドマーケティングとは

インバウンドマーケティング支援ツール「HubSpot」を提供する、米国HubSpot社のパートナー企業であるマーケティングエンジン主催のイベント「HubSpot Day in Tokyo」が6月7日に東京で開催された。

マーケティングのキーワードとして聞かれるようになった“インバウンドマーケティング”とは何か。現代におけるマーケティングの潮流とともに、従来の狩猟型から農耕型のマーケティングへシフトしなければならないと、マーケティングエンジンの高広伯彦氏は講演で語る。

マーケッターはメディアの変化よりも顧客に目を向けるべき

株式会社マーケティングエンジン
代表取締役社長CEO/共同創業者
高広 伯彦氏

今、世の中の情報量と、1人が消費できる情報量が乖離している。これだけ情報量が増えてくると、消費者が耳をふさぐ機会が増え、邪魔な情報を増やしてもなかなか見てもらない状況。情報選択の時代であり、マーケッターは選択の中にどうやって入っていくかを考えなくてはならない。

新しいメディアに対してマーケティングを変えていくのではなく、消費者の情報行動の変化に合わせる必要がある。他人の力(メディアや広告)を借りるマーケティング、PRではなく、自分たちでマーケティング資産を作って消費者を集めていこうというのが、インバウンドマーケティングの流れ。

オープニングでは、マーケティングエンジン 代表取締役社長CEO/共同創業者である高広伯彦氏が、インバウンドマーケティングの潮流について語った。80年代は広告が企業の情報を広める役割を担い、広告主自身の手でメッセージをコントロールして広めてきた。しかし、今はネットやソーシャルメディアの普及によって、ユーザーが波及の役割を担うようになってきている。

マーケッターはソーシャルメディアなどの新しいメディアを活用しようと考えがちだが、本来は消費者の情報行動の変化に合わせるべきだと高広氏は語る。従来は企業が売りたいタイミングで広告を投げてきたが、消費者が欲しいと思ったときに求めている情報を提供できているかが重要になる。インバウンドマーケティングに必要なのは、新しいメディアやテクノロジーとは限らない。それはブログ、動画、SEO、メールなど、従来の施策と大きな違いはない。違うのはアプローチの考え方だ。

インバウンドマーケティングのアプローチ

従来からの広告などのアウトバウンド(外向き)施策に対し、企業が自ら有益な情報を発信し、見込み客を呼び込むものとして登場してきたのが、インバウンドマーケティングのアプローチだ。その言葉は、HubSpotの共同創業者の2人が学生時代を過ごしたボストンで、上り電車をインバウンド、下り電車をアウトバウンドと呼ぶことに由来する。

企業が自らマーケティング資産を作り、見込み客とつながるインバウンドマーケティングで重要なポイントは3つ。

  1. ユーザー視点のコンテンツ
  2. 情報拡散の主導権はマーケッターではなく、ユーザーにある
  3. マーケッター自身がマーケティング資産を作る時代

ここでキーとなるのはコンテンツだ。つまり、マーケッターは、ユーザー視点のコンテンツという種をまき、そのコンテンツを中心に見込み客とつながることを考える。インバウンドマーケティングは、特にBtoBに効果があるとされているが、これはBtoBの複雑な購買プロセスに適した情報を提供できるメディアが少なかったためだと高広氏は話す。しかし、自社の資産を使えば、購買プロセスを描いたうえで、ユーザー視点のコンテンツを提供することも可能だ。

みなさんは狩猟型と農耕型、どちらのマーケッターの生き方を選ぶのか。

これからは人の集まる場所を狙い、雑誌の記事(コンテンツ)と記事の間に広告を挟むような狩猟型の時代から、読み手にとって役に立つコンテンツを配信し、自ら育てていく農耕型の時代になる。そのためのコンテンツ管理、SEO、効果測定などが統合ツールの「HubSpot」には揃っていると話す高広氏は、講演の最後、現代においてどのようなマーケッターの道を選択するのか会場へと語りかけた。

マーケッターはもっとコンテンツに頭を使うべき

続く講演では、米国HubSpot社のマネージングディレクター Jeetu Mahtani氏が、インバウンドマーケッターになるためには何が必要か、HubSpot社のマーケティング事例を交えて語った。

まずマハタニ氏は、インバウンドマーケティングで最も重要な要素はコンテンツだと話す。

HubSpot
Managing Director
Jeetu Mahtani氏

優れたマーケッターになるために、予算の大きさは重要ではない。インバウンドマーケッターに必要なのは、コンテンツを使って顧客をいかにWebに集めるか考えること。我々はスピーカーを使ってスパムメッセージを投げるような邪魔者ではなく、磁石のように引きつける存在になり、愛されるマーケティングをしなくてはならない。

マーケッターは邪魔なメッセージを出す存在と見られ、顧客は知らない番号からの電話を無視したり、CMをスキップしたりするようになったとマハタニ氏は語り、「嫌われているなら、愛されるマーケッターにならなければいけません」と説明する。同様の行動は日本にも当てはまるが、こうした行動の変化にマーケッターとして対応していくことが求められており、企業も課題を感じているという。

また、マーケッターはコンテンツを考えると同時に、自身がコンテンツオーナーになることを考えなくてはならない。広告のように借り入れた資産ではなく、自社のコンテンツとして蓄積していくことで、コスト面のメリットも生まれてくる。インバウンド施策によって、アウトバウンドよりもコスト削減できるとマハタニ氏は説明した。

愛されるマーケッターが考えるべきコンテンツとコンテキスト

コンテンツを考える際のポイントは、顧客1人ひとりの文脈(コンテキスト)に合わせることだとマハタニ氏は説明する。情報を求めている顧客を邪魔するのでなく、マーケッターが有益なコンテンツを作って届ける。コンテンツを担うマーケティングアセットとしては、次の5つが紹介された。

  • ブログ/eBook
  • ツール
  • 写真
  • ビデオ/ポッドキャスト
  • プレゼンテーション

たとえば、見込み客をブログで引き付け、無料のeBookやホワイトペーパー、体験ツールなどを提供することが考えられる。実際のマーケティング効果も気になるところだが、マハタニ氏はマーケティングブログによってROIを向上させた事例があることを語った。インバウンドマーケティングでは、ブログ、ソーシャルメディア、SEOなどの役割が増し、PPC広告などの旧来型施策の重要度は下がっていくという。

また、コンテキストの重要性を象徴するエピソードとしては、HubSpot社 CEO ブライアン・ハリガン氏がSUVを購入した際の体験が紹介された。

彼はバイヤーのサイトでSUVを探していましたが、マーケティングオートメーションツールが3日後に推奨してきたのはセダンでした。さらに5日後にもセダンが推奨されてきた。これではパーソナライゼーションがされているとはいえない。最終的にSUVを購入しましたが、結局このバイヤーからは購入しなかった。いかに顧客に合わせたパーソナル化を行うかが重要です。

やみくもにメッセージを送るのではなく、顧客のコンテキストに合わせたコンテンツを考える

講演ではこの他にも、顧客を理解するためにはペルソナが重要であり、HubSpot社でもいくつものペルソナを設けていることや、分析が重要であることが語られた。コンテキストに合わせたコンテンツを提供するには、顧客がどの情報ソースから訪問しホワイトペーパーをダウンロードしたのか、満足度はどうかなど、サイト全体ではなく人の単位で分析していくことがポイントになる。

講演の最後、愛されるマーケターになるには価値の高いコンテンツをインバウンドのアプローチで提供することが重要と語るマハタニ氏は、顧客に合わせたマーケッターになるためにすべきことは、「明日からブログを書くということではない。コミットメントすることです」と話す。

インバウンドマーケティングがもたらすバリューに対するコミットメントが必要です。ザッポスは、インバウンドによって他者がまねできないブランドをきづいた。ブランドが愛され、多少高くてもザッポスでしか買わないという顧客がいる。コンテンツによって、顧客のブランド価値がどのように増すのか考えてもらいたい。

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