クリックマップ分析の活用例を考えてみよう
どのようにこのクリックマップのデータを活用するのか、早稲田大学のWebサイトのトップページ(図11)を使って、仮想の例を紹介しよう。
大学のサイトを利用するのは様々な人たちだ。その様々な人たちを最初に振り分けるために、このサイトでは一番目立つ場所に「~の方へ」というリンク群(図11赤枠部分)を配置している。これはユーザーのタイプ別に誘導する典型的な方法だ。一方「在学生」と「教職員」という2つのリンク(図11青枠部分)は少し別の場所に配置している。
「クリックマップで表示するとどうなるか?」仮説を立ててみる
さて、このページをクリックマップで表示するとどうなるだろう。私は関係者ではないので、データを見たことはないが、以下のように予想してみた。
- 「~の方へ」というリンク群(図11赤枠部分)が最もクリックされている
- その次に「在学生」と「教職員」という2つのリンク(図11青枠部分)とグローバルナビゲーションのボタン(図11緑枠部分)が利用されている
- その下のニュースなどはあまりクリックされていない
こういう予想は往々にして外れるのだが、それはそれでいいのだ。その予想に反していれば、なぜそういう結果なのかをそこから紐解いていけば、よりよいサイトを作っていくヒントが得られるはずだからだ。
クリックマップ解析にもとづいて、どのように改善するか?
具体的なクリックマップの活用法だが、ページの左上が最もよいポジションであるという考えを前提にした場合、たとえばこのケースであれば、「~の方へ」というリンク群(図11赤枠部分)の4つの配置はクリック率の高い順に上から並び替えてみる。そして、グローバルナビゲーション部分についても、クリック率の高い順に左から並び替えてみる。
一方「在学生」と「教職員」という2つのリンク(図11青枠部分)はほとんど使われていないかもしれない。なぜなら彼らはその次のページをブックマークして利用している方が多いと考えられるからだ。では、このボタンは不要かと言えば、削除してはいけないボタンだと思うので、このように別の位置にさりげなく配置しているのは正解な気がする。
「データを見てみたら、クリックされていない。ボタンやリンクを設置しても無駄のようだから削除する」といった一律の考えをしてはいけない。本来の意図や意思を持ちながら、データはその補完やより良い方向への修正に役立てるのがよいだろう。
実際のデータもなく、勝手に解析してみたわけだが、どんなページであれ、何らかの意図があって各ページを作っているはずなので、このように問題意識をもってデータを見てほしい。
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この記事の筆者
衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)
1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社へ。調査部、インターネット視聴率センター長などを経て、2000年ネットレイティングスへ。視聴率サービスやアクセス解析サービスの立ち上げに尽力。2006年株式会社クロス・フュージョンを設立し代表取締役に。2023年活動停止。
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