僕と彼女と著作権

「調査データ」は「人の思想・感情(考えや気持ち)を表現したもの」ではない

「調査データ」は「人の思想・感情(考えや気持ち)を表現したもの」ではない

著作物とされるためには、まず、(1)「人の思想・感情(考えや気持ち)を表現したもの」であることが必要よ。

たとえば「自然界にある物」なんかを題材に表現したものは著作物じゃないってことですか? 富士山とか。

違うわ。表現対象が「自然界にある物」でも、表現過程に「思想・感情」が入り込んで、それが表現の中に反映されていればいいの。たとえば「富士山」という「事実」を題材にした「絵画」なら、表現過程、つまりデッサンや彩色などに作者の創意工夫が入り込んでいて、出来上がった絵画の中に反映されてるわね? そうしたら「人の思想・感情を表現したもの」と言えるのよ。

なるほど、そういうふうに考えるんですね。

逆に、「富士山それ自体」は「事実」だから著作物ではないわ。「事実」「事件」「事象」なんかは、人の「思想・感情」が表現されたものでないから著作物じゃないの。たとえば、「今の日本の人口は約1億2000万人である」「1600年に関ヶ原の戦いが起こった」「C+O2→CO2」とかね。

「事実」「事件」「事象」は著作物ではない……。なんとなくわかってきました。

で、今回問題になっている「調査データ」。これは、各会社の広告手段とか、広告費のアンケート結果をまとめたものよね。こういうデータも、単なる「事実」であって、著作物ではないと考えられているの。

ちょっと待ってください。この調査データって、費用や労力を投入して調査されてますし、取材や調査、テーマ設定などに、調査会社の創意工夫が現れてると思いますけど?

データはあくまで「もともとこの世界に存在したものが発見されたもの」と考えるべきね。思想や感情に基づいてデータの収集行為が行われても、収集の結果判明したデータ自体は思想性を帯びないわ。珍しいところにある島が大冒険の果てに発見されても著作物にならないのと同じよ。

う~んなるほど、わかりました。

……ちなみに、「事実」が創作的に編集されて出来た「編集著作物」や、「データ」の集合物だけど、コンピュータで検索できるよう体系的に構成された「データベースの著作物」は著作物になるわ。今回は関係ないけど、混同しないでね。

「事実」は非著作物だけど、「事実」を編集してできたものは著作物になりうる。「富士山の絵」と同じイメージかな。

あの……、難しい……です……(涙目)

ふん、今日は、初心者には難しい話だったかもね。とりあえず、「調査データは事実だから著作物じゃない」ってことだけ覚えておけばいいわ!

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

ビッグワード
Googleなどのインターネット検索で、頻繁に検索される単語のこと。一般には“月 ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]