GoogleアナリティクスPremiumとは? 有料版GAの特徴・機能・対象を解説!
- 第1回 GoogleアナリティクスPremiumとは? 有料版GAの特徴・機能・対象を解説!
 - 第2回 GoogleアナリティクスPremiumの魅力「アトリビューションレポート」機能はここがスゴい!
 - 第3回 GoogleアナリティクスPremiumに関する6つの疑問とその答
 
GoogleアナリティクスPremiumに関する情報を、全3回の短期集中連載としてお届けします。
第1回は、GoogleアナリティクスPremiumとはどんなものかを通常版やSiteCatalystとの機能比較で紹介し、どんな状況で導入を検討すべきかを解説します。

GoogleアナリティクスPremiumとは?
GoogleアナリティクスPremiumとは、Google社が提供している有料アクセス解析ツールです。
Google社が提供している無料アクセス解析ツール「Googleアナリティクス」をベースに作成されたアクセス解析ツールで、見た目や操作性などはGoogle アナリティクスとほぼ同じです。
GoogleアナリティクスPremium 10の特徴
おさえておきたいポイントは以下の10の内容になります。
現時点では米国・カナダ・英国のみの提供。日本の提供時期は未定(初夏ごろには開始されるのではないかと期待されている)
レポートの違いは少なく、現時点ではアトリビューションモデルのレポートのみが追加されています
多くの「件数制限」が緩和されています
ログデータのオーナー(所有権)が利用企業側にあることを契約上明記している(無料のGoogleアナリティクスの規約では、だれのものなのかは明記されていません)。
利用料は約100万円/月(米国の場合、1ドル80円で計算)。PVが増えても利用料が変わらないのが特徴
GoogleアナリティクスからGoogleアナリティクスPremiumへの移行には計測記述の変更は必要なし
画面のインターフェイスに大きな変化はなし
返金にも対応したSLAの締結が可能
レポートデータはサンプリングされずにダウンロードできる
料金には導入ガイド・教育トレーニング・サポートが含まれます。販売は、直接販売(日本は未定)または認定リセラー経由(「認定リセラー」とは、「認定パートナー:GACP」とはまた別の資格をもった企業)。
※Web担編注 この次に機能比較表を掲載していますが、実際のところ、GoogleアナリティクスPremiumを機能面だけで判断するのは適切ではないと考えられます。というのも、通常版のGoogleアナリティクスはすでに高機能アクセス解析ツールとしての機能を備えているからです。
ここで示した10の特徴とGoogleアナリティクス通常版の機能強化状況などを見ると、GoogleアナリティクスPremiumは、機能から見るよりも、技術的な支援や情報提供といった面での「サポート」や「契約」という、企業ユース(特に大企業)で問題となる点を解決することをまず主眼に置いているサービスだと考えるほうが自然でしょう。
機能比較表
GoogleアナリティクスPremiumについての各種情報を、通常版のGoogleアナリティクスと、有料アクセス解析ツールの代表格でもあるSiteCatalystとの比較表として用意しました。
- 2012年5月26日時点の情報です。
 - 正確性については万全を期しておりますが、不正確な記載や誤記などを含む可能性があります。内容の正確性、有用性、道徳性、安全性などについては、いかなる保証を行うものでもありません。
 - その他の内容に関しては備考をご確認ください。
 - Googleアナリティクスに関する情報は、Googleの公式サイトの情報を利用しておりますが、一部情報に関しては認定代理店の情報を利用しています。
 
| 項目 | Googleアナリティクス Premium  | Googleアナリティクス 通常版  | SiteCatalyst (参考)※1  | 
|---|---|---|---|
| 開発元 | Adobe Systems | ||
| 値段 | $150,000(約1,200万円) 10億ヒットまで※2  | 無料 | 非公開 | 
| サポートチーム | ○ | × | ○ | 
| アカウントマネジメント | ○ | × | ○ | 
| 導入スペシャリスト | ○ | × | ○ (別料金)  | 
| トレーニング | ○ | × | ○ (別料金)  | 
| ヘルプセンター フォーラム  | × | ○ | ○ | 
| パートナー(代理店) サポート  | ? (代理店に依存)  | ○ | ○ | 
| 月間分析ヒット数※2 | 10億 | 1,000万 | 10億以上の実績あり。 上限は不明  | 
| レポートでの表示行数 | 200万 | 5万 | 50万※3 | 
| サンプリング | あり/なし | あり | なし | 
| サンプリング 開始訪問数  | 5000万 | 50万 | なし | 
| データ反映時間 | 4時間 (98%以上)  | 24時間以上 (早く反映される場合も)  | 数分~1日 (レポートの種類で変わる)  | 
| マルチチャネル分析 | ○ | ○ | △ | 
| アトリビューション モデリング  | ○ | × | × | 
| キャンペーン測定 | ○ | ○ | ○ | 
| アドワーズ自動連携 | ○ | ○ | × | 
| カスタム変数 | 50 | 5 | 75×2※4 | 
| 目標設定数 | 20 | 20 | 100 | 
| アドバンスセグメント | ○ | ○ | ○ | 
| リアルタイムデータ | ○ | ○ | × | 
| サーバーでの 事前集計・変換処理  | × | × | ○ (別料金)  | 
| ユーザー管理機能 | ○ | △ | ○ | 
| ローデータ取得 | × | × | ○ (別料金)  | 
| Cookie | 1st Party | 1st Party | 1st/3rd Party | 
| データ収集保障 | 99.90% | × | 不明 | 
| レポート正常表示保障 | 99% | × | 不明 | 
| データ保存期間 | 不明 | 25か月保障 | 3年保障 | 
- ※1 Ver 15に準拠。
 - ※2 ヒットとはイメージリクエストが送られた回数。ページのアクセス以外にも、イベントやeコマースでの送信も含みます。
 - ※3 月単位で取得できる変数(例:キーワード)が50万件まで。
 - ※4 利用方法が違う2種類の変数がそれぞれ75個ずつ用意されています。
 
GoogleアナリティクスPremiumを利用するのはどんな場合?
米国の月額100万円程度のコストを考えると、利用できる企業は限られてくるのではないでしょうか。GoogleアナリティクスPremiumを利用するケースは大きく分けて2つあるかと思います。次のいずれかです。
- すでにGoogleアナリティクス(通常版)を利用している人がPremiumに移行する
 - 別の有料アクセス解析ツールを利用している人がPremiumにスイッチする
 
では、この2つのケースそれぞれでPremiumを検討するべき状況を、以下に示します(「どういう場合にGoogleアナリティクスPremiumを利用するのがいいのか」については、第3回で詳しく解説します)。
- 月間1,000万PV以上の大規模サイト
 - 実装サポート・問い合わせ・トレーニングのサポートが必要
 - サンプリングや上限設定など、どうしても解決したい「制限」がPremiumで解決できる場合
 
- 機能面でGoogleアナリティクスより劣っているツールを利用している
 - 実装サポート・問い合わせ・トレーニングに対する不満がある
 - コスト的に現在利用している有料ツールよりGoogleアナリティクスのほうが安い
 
どちらのケースが多くなるのかは、正直わかりません。
有料アクセス解析ツールには、
- 月間数万~数百万PVまで対応している中規模サイト向けツール
 - 月間数千万~数十億PVまで対応している大規模サイト向けツール
 
があります。Premiumは後者に属するツールであり、同様のツールとしては「SiteCatalyst(アドビ)」「Coremetrics(IBM)」「Visionalist(デジタルフォレスト)」などがあります。
私はこれらのツールをすべて利用した経験がありますが、レポート面・機能面共に大きな差はありません(データの取得方法は基本一緒であるため)。
そうすると、これらのツールの差別化要因は次の通りとなります。
サポート(トレーニング・実装・問い合わせ)の質 ―― 「質」とは、スピード・人員数・人員のスキルなどを指します。
レポートのレスポンスやUXなどの使いやすさ ―― ナビゲーションのしやすさ・カスタマイズの有無、1か月分のキーワードレポートを表示するのにかかる時間など。
その中でもツールによって発生する機能差 ―― ローデータのダウンロード・マスターデータのインポート・権限管理の豊富さ(レポート単位・IP制限)・iPhone/Androidアプリの有無など。
これらの差別化ポイントは、場合によっては追加の費用がかかります。
そのため、こうした有料ツールの利用を検討する際には必ず、
- 本当に必要な要件の洗い出し
 - トータルコストの算出(ツール利用料だけではなく、サポート・運用・入れ替えコストなど)
 - ツール利用者の確保
 
などを考慮するようにしましょう。
次回はPremiumにしかないレポート「アトリビューション分析レポート」についてその詳細や活用シーンを紹介していきます。
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