WebSig1日学校2011 ~未来のあなたとWebを変える1日~ Web担当者向けクラスレポート
WebSig24/7(ウェブシグ・トゥウェンティーフォー・セブン、通称ウェブシグ)代表の和田です。
今年も「WebSig1日学校」が2011年9月10日に開催されました。今回は、WebSig1日学校2011の中から、今年から新設されたWeb担当者クラスの様子を中心にレポートします。
WebSig1日学校とは
Webサイトに関連するマーケットの健全な発展を促し、人々の生活を豊かにすることを目的とした任意団体「WebSig24/7」が主催するイベントで、今年が第2回目の開催となります。
学校という名のとおり、東京都八王子市にある旧三本松小学校をまるごと借り切り、サーバーサイドエンジニア、フロントエンドエンジニア、デザイナー、ディレクター/プロデューサーそしてWeb担当者と、関係者が総勢180名以上集まり、近視眼的なTipsやHow Toではなく、モノの見方や考え方を丸一日かけて学ぶ一風変わったイベントです。
今年のキーワードは「考えぬく」です。考えるではなく、あえて考えぬくにしたのは、私の持論ですが、「悩む」「考える」「考えぬく」ではそれぞれ味合いが違っていると思っています。「悩む」のは無目的、「考える」には仮説や問いが必要。そして、「考えぬく」のは答えを出すこと。
私たちの仕事、キャリアといった身近な近未来を考える上でどんな視点や考え方があるのか。大きくは、次の時代へ何を捨て、何を引き継いで、どんな準備をしていくのか。そんなコンセプトを、1日学校らしい授業を通して考えぬこうというのが、今年のWebSig1日学校でした。
Web担当者クラスレポート
今年からWeb担当者クラスが新設されました。当日私を含めたスタッフは残念ながらほとんど授業を聞けないので、公式レポーターとして参加して頂いたsabatorashiroさんのレポートを中心にお知らせします。
Web担当者クラス1限目 算数(スキルアップを考えぬく)
算数の授業を担当したのは、アドビシステムズ株式会社の安西 敬介先生。
安西先生は、教室に入るとまず、生徒たちに周りの人と自己紹介をするように促しました。それぞれ緊張した面持ちで自己紹介を行いましたが、雰囲気が和み、そして授業が始まりました。
講師の安西先生はデザイナー、プログラマー、ディレクター、戦略構築/解析とWebのほとんどの職種の経験がある人物で、最初にそのパスの説明から始まり、生徒たちには「実際に自分がどういったパスを通ってきたのかということを自分で見直してほしい
」と問いかけました。
安西先生いわく、自分のこれまでのパスやスキルにつながったものとして、
- 社外の人とのつながりを持つこと
- アウトプットをすること
この2点を紹介しました。社外の人と直接話すことのメリットは表に出ている情報だけでなく、実際の担当者に裏側の話も聞けることだそうで「皆さんも今日のような場でつながりを作ってください」と熱いメッセージを残しました。また、アウトプットについては、新人に守秘義務にひっかからない程度で仕事についてブログを書くように言っており、人に伝えるために情報を再整理することは非常に大きいとのことです。
そして、学校らしく、ここで宿題が出されました。内容は今回の授業やWebSig1日学校についてブログなどにアウトプットをすることです。
この他、ジェネラリストとスペシャリストに関する話題など、Web担当者にとってどうあるべきか、ジェネラリストの中のスペシャリストとはどのようなことなのかという問題提起がなされました。そして「Web担当者は企業に触れる場所である」という言葉が紹介され、人事や経営企画は会社全体を見るジェネラリストであるのに対し 企業の外の対外活動を見ることができ、企業を俯瞰して見られるという意味ではWeb担当者はジェネラリストとも言えるとされました。
最後に、コミュニケーションツールとしてのWebの話題に移ります。安西先生の持論として「サイトについて分析するときには、導線だけのサイトマップ(ハイレベルサイトマップ)を使い、AISCEASなどのマーケティングのフレームワークで整理し、お客様がどういった行動に至るか、それには何が足りないかを考える」とのことです。そして、重要なのは情報をそぎ落として、本質を捉えて行っていくことと語られました。
最後に、改めて「宿題を忘れずに」との言葉を残し、算数の時間は終了となりました。
Web担当者クラス2限目 国語(キャリアパスを考えぬく)
「先生と言えばジャージ」ということでジャージ姿で現れた伊藤忠テクノソリューションズ 竹森賢司先生は、現役のWeb担当者。そして、もう1名の武藤由紀先生はその前任者。国語の時間はこのお二人によって行われました。
お二人の自己紹介の後、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下CTC)についての紹介がされました。業種はシステムインテグレーターで、取引は企業間取引が中心であるため一般の方にはあまりなじみがない企業であり、システムという形のないものをどのようにPRするかが広報する上での課題となっているとの話がありました。その後、CTCのコーポレートサイトが現在に至るまでの経緯について説明がありました。
そして、2つのワークショップが行われました。
1つ目は「商品」とは何かを1分間で考えるというもの。その後3名の生徒が前に出て発表しました。三者三様の答えがあり、商品1つとしても、いろいろな意味付けがあるとの説明がありました。
2つ目は数人ずつのグループに分かれ、9つの料理名をグルーピングするというもの。グループごとにどのように分類したかを発表しました。グループの分け方が正しいかは誰の、何のための分類かが大事になるとの説明がありました。
ワークショップのまとめとして、たとえ同じ会社であってもメンバー間の意識・認識・理解はバラバラであるとの話があり、コミュニケーションを円滑にするために、Web担当者がメンバー間の共通理解を促すことがサイト運営において大切な仕事の1つであると語られました。
次に、Web担当者が関わる人々という話題になり、社内の多くの人と関わるということ、業務は非常に多岐にわたるということが話されました。社内にWebの重要性を理解してもらうためにアクセス解析などの実績を示すことや社内報の取材の際や営業時代の人脈を通じて味方を増やすように努めているそうです。
最後にお二人からメッセージがありました。竹森先生は今後のキャリアプランとして、Web部署の人数が増えてきたときに、Webに関する組織を統括する立場を目指しているそうです。また、元Web担当者として武藤先生から、後を託せる人を見つけておくことの必要性と広報の役割の広がりについて話がありました。以前の広報は報道対応のみでしたが、現在はマスメディア、自社メディア、ソーシャルネットワークが連携しており、Web担当者としての役割の変化が激しくなってきているため、広い視点を持ってほしいと語られました。
非Web担当者クラス3限目 選択授業(職種拡張を考えぬく)
非Web担当者クラスという名のとおり、当日は上記2つでご紹介したWeb担当者クラスを受講した方はこの授業は受講できない仕組みなのですが、Web担当者Forumではマンガ連載「Webマーケッター瞳」や書籍『マンガでわかるWebマーケティング -Webマーケッター瞳の挑戦!』でおなじみの村上佳代先生に担当して頂いたので特別にご紹介です。
冒頭で、世の中の全職種の求人とネット関連求人件数の比較表を見て、2010年の全職種の求人数に比べ、ネット関連の求人数が上昇していることが示されました。Web系の人材は人材流動性が高く、これまでの日本型経営、終身雇用スタイルに一石を投じているのではないかということが提示されました。
また、Web系の人材は、夢の実現へのこだわり、既成概念にとらわれない、キャリアを計画的に考えており、転職に抵抗がないという点において新しいタイプの人材である旨が説明されました。
一方で、アメリカでは、1994年の「ハーバードビジネスレビュー」にて、キャリアを自らマネージしていかねばならない旨の記事があるとして読み上げられました。次にキャリアケースとして、元部下と村上先生自身のキャリアについて紹介され、自分の過去のキャリアを振り返ったときに、そこで何故動いたのかということを自分の中で言語化していくことが大切だと話されました。Web職種のある業界について、次の4つの分類が提示され、自分が今どのタイプの企業にいるのかを、生徒自身に確認させました。
- メーカーや事業会社(リアル)
- ネット専業事業会社
- 広告代理店、コンサルティング会社
- ソリューション提供/制作会社
そして「今後どのタイプの会社に行きたいのか、または今いるタイプの会社にいたいのかを自分のキャリアを考える際にイメージをしてほしい。とくに移動を考えている人は自分のスキルの棚卸しをしてほしい
」と、自身の経験を踏まえてコメントしました。
その後、中途採用で成功する5つの条件として、開拓力、調整力と指導力(両方ないとだめ)、人間力、専門性、適応力と柔軟性が挙げられ、複数の能力がバランスよく備わってこそ成功できるのだという解説がなされました。
後半は、ワークショップが行われ、自分のキャリアの過去から未来についてと自分の仕事に必要な能力をワークシートに記入し、数人のグループごとに発表を行い、充実した授業が終了しました。
フォローアップページ、来年もやります
他クラス、先生の当日資料やコメントが掲載されているフォローアップページを用意しているので、ぜひあわせてご覧ください。
ここでご紹介したほかにも、学校らしい給食やさまざまな仕掛けがあるイベントでした。
1年に1度のイベントですが、来年も実施したいと思っているので、WebSig24/7の活動をウォッチ、公式サイトからメールマガジンの購読などしていただければうれしいです。
最後になりましたが、WebSig24/7は全員ボランタリーで動いている任意団体で、WebSig1日学校2011実行委員も全員ボランタリーです。WebSig24/7の活動に興味があるという方は、ぜひお気軽にコンタクトください。レギュラーイベントとして隔月~3か月に1度、参加型の勉強会「WebSig会議」を開催しています。
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