ネットで存在を認識されるために必要な「継続」 | マキコミの技術 #2
今回は、第2章 “コツコツ「継続」がソーシャルメディア上の土台” のなかから、“ネットで存在を認識されるために必要な「継続」” の内容をお届けします。
猛スピードで流れて消えるウェブコンテンツ
皆さんは、ブログの記事やニュースサイトなど、ウェブの一ページをどのぐらいの時間閲覧していますか? まず、数分以下でしょう。長文は読み飛ばしてしまい、平均でも一分程度しか見ないという人も多いのではないでしょうか。
ユーストリームやニコニコ生放送といったライブ中継を行なう動画サイトを除けば、ウェブの一ページ(一コンテンツ)あたりのユーザー滞在時間は、長くても十分またはそれ以下です。ほぼテキストしかないブログであれば、その時間はさらに短くなります。
最近のソーシャルメディアでは、コンテンツのサイズはさらに小さくなります。書こうと思えばいくらでも長文が書けるブログに対して、ツイッターでは一四〇文字しか書けません。だからツイッターにおいて、一つのツイートのユーザー滞在時間は、もはや秒単位の世界です。そして、この一四〇文字のコンテンツは日々タイムライン上で流れていき、見なければ勝手に消えてしまいます。
コンテンツ(ログ)の蓄積がネット上での自分を形成する
そうなると、一つのコンテンツの影響力はどんどん弱まり、どんなに優れたコンテンツでも、その一つだけで誰かを動かしたり、誰かの記憶に残るということは、困難になります。ひいては、一つのコンテンツだけではソーシャルメディア上において存在を認識されない、他者にとっては存在していないのと同じだという状態が、ごく当たり前のことになります。
もっとも、最初からネットにしっかり「存在」している人なんていません。スタートラインは誰でもゼロで、同じです。差が付くのはそこから、コツコツと活動を継続できるか否かです。
ブログ、ツイッター、各種の写真共有サイトや動画共有サイトなど、ソーシャルメディアには若干トレンドの変化があるものの、どのような種類のコンテンツでも、基本的には自分がなにかをすれば、それが蓄積されていきます。だから、コツコツと継続する意味があるのです。
自分への評判も同時に蓄積される
また蓄積されるのは、自分が発信するコンテンツだけではありません。他の人からの紹介、感想、ツイッターならリツイートなど、自分への「評判」も蓄積していきます。
ネットでは、たまに一コンテンツでいきなりヒットを飛ばし、注目を集める人もいます。これはなぜかというと、さまざまなところで紹介されて露出が増えたからです。
ソーシャルメディアでの活動の成果は「自分が作成したコンテンツ×自分を紹介するコンテンツ(評判)」という形で大きくなっていきます。このうち、前者は自分の継続によって蓄積され、後者は、本人の意思とは無関係にどんどん広まり、蓄積されていきます。
企業のマーケティングでも、評判の流通と蓄積が重要
このように、今のネット上の一つのコンテンツは、一つのコンテンツだけに留まろうとせず、さまざまな評判を生み出し、流通・蓄積していきます。それは、最初のコンテンツを作成したユーザーになにか狙いがあるとかないとかとは無関係な、ソーシャルメディアの仕組みの問題なのです。
この仕組みはネットで活動する人たちに、個人にも企業にも等しく適用されます。だから、日々コツコツと活動を継続していないと、存在が埋もれ、忘れ去られていくのです。一方で、継続によって蓄積されたものは、ネットにおけるコミュニケーションの土台となります。
ネットには従来の商用(非ソーシャル)メディアや検索エンジンなども存在しますが、第一章でも解説したとおり、現在のネットにおいてはソーシャルメディアの影響力が相対的に増しています。ユーザーに興味を持たれたコンテンツの評判は爆発的に広がり、トラフィックを集めますが、そうでないコンテンツは、トラフィックを集めることができません。短期間に注目を集めようとしてネットでお金をかけたキャンペーンやマーケティングを行なっても、他のメディアとは違い、かけた金額に比例した効果が必ずしも得られるとは限らないのは、この仕組みが原因です。
企業がソーシャルメディアを利用する際にお金(または手数)をかけるべきなのは、こうした仕組みを理解した上で、ポジティブな評判が速く強く広まるようにする部分です。
それはコンテンツである場合もあれば、ユーザーとのつながり作りである場合もあります。マスメディアではしばしば、キャンペーンの大きさやイメージキャラクターになったタレントなど、本筋とは異なる部分が注目を集めることもあります。ソーシャルメディアではそうしたものの評判が流通しても、マーケティングとして成功とは言えません。商品やサービスそのものが注目され、評判になることを目指すべきです。[いしたにまさき]
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この記事は、書籍『マキコミの技術』の内容の一部を、Web担の読者向けにオンラインで特別に公開しているものです。
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