PR 2.0の現場から

情報発信とフィードバックで社内を巻き込む

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情報発信とフィードバックで社内を巻き込む

言い出して、実行できなかったことは、1つもないんですよね」と言う寺西さん。ブログやリリース、そして勝手広告と、次から次に新しいネット施策を展開してきたZ会ですが、そういった取り組みを実現するにあたってのご苦労はなかったのでしょうか?

取材風景

今までにはない価値観をウェブのほうからもってきて、提示するようにしています。ウェブでの施策というのは、個々の施策で見るのではなく、トータルで見ないと方向を見失い、価値を作り出していけません。施策単独で見ればリスティング広告だけを推進すればよいと判断しがちですけれども、それだけだと話題性がなく大きなムーブメントを引き起こせませんよね。活動を1つずつ見てそれぞれ判断するのではなく、各月のウェブ施策トータルの成果を過去の実績の積み重ねから産み出しつつ、短期で成果が期待できる施策と長期的にじわじわと聞いてくる施策を組み合わせて提案するようにしています。

これまでやってこられたのは、目先のことだけを示すのではなく、会社が進むべき方向について道筋を立てて、新しい方法論をたくさん示して、たくさん説明して、どんどん情報を出していって、社内に『大丈夫なんじゃないか』という雰囲気を作ってきたからじゃないかと思います」(寺西氏)

社内に対しては、2年半前から毎月の社内報にウェブに関する情報の連載をしているそうです。「リスティング広告ってなに?」「アフィリエイトってなに?」といった情報を少しずつ伝えていくことで、「共感者を徐々に増やしていった」という寺西さん。さらに、実際に参加して来た人たちに対して助言したり、何かを始めたあとに社内に情報をフィードバックしたりといった、社内での情報を流通させる努力を惜しみません。

たとえば、それまではニュースリリースを書かなかった部署が初めてリリースを書くときには、全力でフォローします。『あまり文章の書き方など気にせず、伝えたいことをそのまま書いて』と助言したうえで、万が一マズい表現があればこちらでコッソリと直したり(笑)。ウェブのプロジェクトで一緒に動いている人に関しても、それまでよりも活動のレベルが上がったら、徹底的にフォローします。上り坂を上ろうとしている人に対して補助輪になって助けるということが大事なんです。あ、でも、電動モーターになっちゃダメですよ。自ら動かなくなりますから(笑)」(寺西氏)

現場の人たちをどうウェブ上の活動に巻き込んで行くかに関しては、「環境を作り」「やらせてみる」そして、「やってみた人を徹底的に支援する」という3つのステップがあるといいます。前述の「ネタを見つけ」「形にして」「それを認知させる」というポイントと同様ですね。徹底してやりきることができるのも、寺西さんの「(成果につなげないと)もったいない」という発想によるものなのだと思います。

◇◇◇

社長がブログ推進派で、ボトムアップは僕」という寺西さん。実は、同社の社長ご自身も2005年から社内ブロガーとして、平日ほぼ毎日ブログを書いているそうです。トップ自らもブログや情報発信がどういうことかわかっているという点では、ネット戦略を推進しやすい企業の土壌があったといえます。

それにしてもたくさんの社内ブロガーを抱え、そこで繰り広げられるさまざまな話題。「話題を見つけるのに苦労しないのですか」という質問に、「花鳥風月、森羅万象は時々刻々と変化しますので、365日、1日たりとも同じ日なんてないですよね。自然や環境を愛する気持ちがあれば、自ずと周囲にアンテナが立ち、話題が入り込んできますよ」と答える寺西さん。仕事にも、日々の生活にも、多くの愛情を注いでいる方だと思いました。

ブログでの膨大な情報発信の裏には、多くの学生が信頼してきたZ会のコンテンツ制作のパワーとクオリティがあるのではないでしょうか。「Z会」というブランドが、「Z会の中の人」1人ひとりによって成長していく様子を、今後も見て行きたいと思います。

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