企業ホームページ運営の心得

貴様、名を名乗れでございます

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の七十四

電話美人の話芸もコピペ

商売用ホームページを手伝っていると、クライアントが必ず当たる「壁」があります。「顧客対応」です。口頭の電話ならともかく「メール」となると何をどう書いて良いかわからないといいます。

昔の勤務先に「電話美人」と呼ばれる人がいました。ある日、電話に出た新人の応対の悪さから客は怒ってしまいました。そこで、隣で話を聞いていた彼女が電話を替わると、すぐに落ち着き、ことなきを得ました。丁寧で適切、媚びずに、愛嬌を感じさせる「話芸」によるものです。取引先からも評判がよく、「声からして相当きれいな人だろう」という噂話が1人歩きしたことを思い出します。

電話は「声」だけです。鼻をほじっていてもわかりません。

メールならばカップラーメンをすすりながらでも、誠意溢れる回答を「コピペ」することができます。実は電子メールは誰でも「美人」に返信できる「顧客対応ツール」です。

実録! NTTの対応

たらい回しは腹の立つものですが、対応の仕方でフォローができるという例です。

ある日、NTTの料金窓口に電話すると、Tと名乗る女性がでました。丁寧に事情を聞いた上で、こちらの窓口ではわからないと詫びた上で、別の電話番号にかけるように促されました。そこに電話すると「こちらでは……」と、先ほどの電話番号を案内されました。「たらい回し」です。

怒りを抑えて電話をかけ直し、再び最初から事情を話します。こちらにかけるのは2回目だと付け加えて。しばしのやり取りの後「少しお待ちいただけますか」といわれると、間をおかずに最初に応対したTさんに変わりました。「たらい回し」となったことを詫び、調査次第連絡をすると約束し、それは実行されました。

先方の不手際への怒りは消え、NTT……いやこのTさんに感謝したものです。その理由は次の事例から見えてきます。

実録! お役所仕事

とある生活インフラを扱う役所に、病床の友人代理で問い合わせをしました。友人の住所を尋ねられましたが、私の発言が彼の不利となっては迷惑をかけるかもしれないと、回答は「一般論」で結構だという条件付きで「匿名希望」として質問しました。

きわどい質問には「答えられない」と繰り返すのは、一般論としては仕方がありません。「言質」を取られないようにするためです。それではと話を終わらせる「段取り」として、お名前を尋ねると事態が一変します。

「個人情報だから答えられない」

回答拒否です。「そちらが名前か住所、電話番号をいわない限り名前をいう必要はない」といいます。「問い合わせ先」と印刷された電話番号での対応です。

民間企業で「お名前を頂く(相手の名前を尋ねること)」のは「いった、いわない」を防ぐための常識です。そこで名前を聞き出そうと食い下がると「(そちらから)名乗れ」と繰り返し、私のかけた電話を通話状態のまま「放置プレイ」にして席を離れていきました。

名を名乗らぬ非礼

その後、別の経路からこの生活インフラを扱う東京都の局に話しを訊いてみると「名乗らない」のは言語道断で、個人の判断で申し訳なかったという見解です。「個人情報保護法」は「公」の世界では、「公共の利益」を損なうほどの勝手な解釈がまかりとおっています。

民間企業で電話にでた人間が、「貴様から名乗れ」と客にいうことはあり得ません。

ビジネス話芸の基本は「名乗る」ことです。NTTのTさんはまず名乗りました。そして、たらい回し後という客が怒っているであろう状況下に、わざわざ名乗り電話口にでてきました。たった1回の会話でも「知っている人」という存在が怒りを抑制したのです。匿名ではこうなりません。

問い合わせの返信メールや、ブログの書き込みへの返答は、所属と名前を明らかにし相手を安心させるところが始まりです。

問い合わせへの基本提案

メールでの問い合わせは、「メールアドレス」という個人情報を晒すリスクを客は背負い、不安を抱えています。悪用されはしないか、取り扱いに不備はないか、妄想系ともなると「メールアドレスから住所を探して尋ねてこないか」というリスクです。不安解消の第一歩が「名前」を示すことなのです。

個人情報を盾に名前すら出したくないと担当者が言うのなら、人選から見直してください。名乗るというビジネスマナーを踏襲できない「窓口」では企業の品位を疑われてしまいます。

続いて「ありがとう」。問い合わせでも質問でもクレームでも「ありがとう」と添えます。

お礼を言われて嫌な気はしませんし、企業側への不信や不安も和らぎます。言いがかりや、揚げ足取りに近いクレームにも「ありがとう」と。「あ」で単語登録しておけば0.5秒で感謝を捧げることができます。はらわたが煮えくりかえる「言いがかりメール」にも。

メール話芸はマニュアル化できる

毎回返答したメールを「管理者(Web担当者でも上司でも)」あてに「BCC」、または「転送」して文例集を作ります。コピペして使いますので、問い合わせやクレームといった「大分類」だけわかれば、文面を編集する必要はありません。注意点は「添削厳禁」ということ。誤字や脱字は正す必要がありますが、添削を組み込んでしまうと「社内批評家」によってマニュアル化にブレーキがかかってしまいます。

名を名乗り、ありがとうといい、コピペ。メール美人の誕生は目前です。

接客や応対は「心」だと、マニュアルを否定する論調もあります。それには私も賛成です。しかし、マニュアルを「作法」と読み替えれば賛否は揺れます。心があり作法が生まれ、作法によって心が磨かれるのですから。

「名を名乗れ」のこぼれ話を。

別経路から聞いたところでは、匿名で「●●さんいますか」と電話がかかってきて、取り次ぐと消費者金融からだということが多いといいます。それを警戒して名乗らなかったのではと可能性に触れていました。しかし、生活インフラを預かる役所として、そちらの方が「いかがかなぁ」という不安を覚えます。

♪今回のポイント

接客は心。マニュアルは作法。

誠心誠意を伝えやすくするには事前準備が大切。

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