企業ホームページ運営の心得

金持ちは優遇するもの。学校では絶対に教えてくれない商売現場の真実

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の参十参

お金持ちを大切にしなさい

自分で商売を始めて驚いたのは「知らないこと」の多さです。

消費税の納税は「差額」でよいことや、「赤字」でも銀行からお金を借りられること、「ポイント」や「無料ビジネス」のカラクリも深くは知りませんでした。

「無知の知」を座右におき、知らないことは学べば良いと高をくくっていましたが、商売の世界では無知が死を招くこともあり油断できないのです。

そして、もっとも「知っているつもり」となっていたことが、「学校じゃない」ということです。

「お金持ちを大切にしなさい」と聞いて、カチンと来た方は注意ください。「学校の常識」が抜けていない可能性があります。商売の現場は学校じゃありません。商売用ホームページも金持ちから考えると、成功までの距離が縮まります。

素晴らしきガンダーラを語る先生

現代社会の授業で、株主、社長、社員と並べて「社員(労働者)が一番偉い」と持ち上げ、コルホーズ(旧ソ連の集団農場)を理想郷だと絶賛し、返す刀で株主や社長を「資本者(側)」で「悪」だと。これは私が実際に受けた公立学校での授業です。

「手をつないでゴールする徒競走」は「都市伝説」のようになっていますが、競争を排除した「平等」こそ大切だという主張は後を絶ちません。

社会に出れば否が応でも競争に呑み込まれますし、「受験」は競争そのものです。金持ちと貧乏人が席を同じくする公立学校では、先生の言う「平等」は遠く、どこかにある「ガンダーラ(≒ユートピア)」のように感じていました。

時は流れて自分で商売を始めても「ガンダーラ」はやっぱり見つかりませんでしたが、先生が「ガンダーラ」を語る理由だけは知ることができました。

一般的に「先生は学校以外の社会を知らない」のです。小学校から大学までは学校社会。インターンという「職業体験」の先も学校で、就職デビューは当然学校です。つまり、学校の中の常識しか知らずに生きてきた人たちが「先生」なのです。だから実存しない理想の世界でも語れます。

教育現場ではそれでもよいのですが、いかんせん社会は学校ではありません。

金持ち優遇こそ真の平等

人に上下なく職業に貴賎はありません。しかし、商売には大切なお客様が存在します。

100万円使うお客さんと1万円のお客さんなら、1も2もなく100万円です。商売の世界では「金持ち優遇」は当たり前のことです。

「金持ち=悪」は「資本家が諸悪の根源」いう旧ソ連を信奉するあの思想から派生した差別です。お金を持っているだけで悪人扱いは酷すぎます。

金持ちに倹約家が多いことは認めますが、イコール悪人ではありません。一方、貧乏人は必ずしも「清貧」ではありませんし、特売セールでの奪い合いはとても善人の所業とは呼べません。

思想信条を議論する場ではありませんが、人間性とお金のあるなしを同列に議論する方がおかしいということです。

ところが商売の現場でも「金持ち差別」をしている人は少なくありません。

学校が教えてくれたことで考える

学校で教わったことが、「商売」でまったく役立たないわけではありません。文章問題はロジックの初級編ですし、私の文章の出発点は高校時代の「反省文」です。

そこで教育に敬意を払って道徳の時間に教わった「相手の立場になって考えなさい」を採用して「金持ち優遇」の意味を考えてみます。

まずはお客の立場で。

あなたがコツコツと貯めた100万円を握り、商品を手にしてレジに向かうと行列ができていました。特価品の1万円のバックを手にした客がずらっと並んでいるのです。

仕方なくレジの最後尾に並び順番を待ちます。会計が終わる頃にはすっかりくたびれましたが、手に入れた嬉しさから隣の店を「ひやかし」てみることに。

同じ商品が同じく100万円で売っています。ところがこちらは「高額商品購入者専用ラウンジ」が設置され、100万円の商品ならラウンジの応接セットで会計をします。もちろん、列に並ぶ必要はありません。

清水の舞台からダイブした100万円を使うのに相応しいのはどちらのお店だったのでしょうか。

コストから見る。金持ち優遇の理由

今度は「商売人」です。

1万円の商品で100万円を売り上げるには、100人分の対応が必要です。

客からの質問、色柄・在庫の確認、そして包装や会計に1人平均5分かかったとすると、8時間以上(500分)の対応をすることになります。

一方、100万円の高額ラウンジでは1人に1時間の応対をしたとしてもかかるコストは8分1以下です。

単純な売上だけではなく、人的コストから見てもお金持ちの方が「お得」なのです。

但し、これは単純化しているので注意が必要です。

商売は塩梅という「それなりに」がある世界

学校では「単純化」が日常です。

国語のテストの「太郎君はどう思いましたか」も、本来は主観に左右され十人十色の議論百出となるものを「単純化」して答えを用意します。「多数決」という「手法」が多用されるのも賛否を単純化できるからです。

その為か、社会でも単純な結論を出したがる人が増えました。

100万円の話に「金持ちばかりを相手にするのか」や「1万円の客を捨てるのか」という「批判」があるとすれば、それはあまりにも単純すぎます。

商売人にとっては100万円の客も1万円の客もどちらも大切です。

言い訳や詭弁ではなくこういうことです。

「100万円のお客様は100万円なりに、1万円のお客様は1万円なりに」

商売の現場での真の平等とは、支払った価格以上の満足を提供することで、100万円と1万円に同じものを提供することではありません。昭和に一世風靡した富士カラーのCM「そうでない方はそれなりに」ということです。

無競争や悪平等に「単純化」。学校の常識は校門まで。「学校の呪縛」に捕らわれていると見逃すものが多すぎるのでご注意を。

♪今回のポイント

金持ち優遇は商売の常識。完全平等は校門の中のガンダーラ(理想郷)。

単純化思考は「それなりに」という商売の妙味を消す。

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