ユーザー視点のウェブデザインガイド

ユーザーが予想どおりに情報を収集するとは限らない

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ユーザーが予想どおりに情報を収集するとは限らない

ここで、ちょっとした設問を挙げてみよう。たとえば「あるマンション物件のプロモーション・販売サイトを設計する場合」を、思い浮かべてみてほしい。

当然、ユーザーは自分が住む地域のことを気にするので、地図情報を提供する必要がある(ここでは東京都港区)。この際、次のような3枚の地図を、どのような順番で見せるべきだろうか?

  1. 地域全体の広域地図
  2. 物件近辺や最寄り駅を含めた周辺地図
  3. 物件そばの詳細地図

さて、この場合、まずユーザーの行動として、もっとも理にかなっていそうなのが「広域から、徐々に詳細地図へと絞り込む」という動きだろう。あるいは逆に、「物件付近の拡大地図から、徐々に広域地図に広げていく」という動きだろう。

このどちらかを予想された方が多かったのではないだろうか?

ところが、実際にこのマンションを購入するターゲットとなるユーザーを呼んできて、ユーザビリティテストを実施した結果は、2→3→1というものであった(図3)。

図3 ユーザビリティテストの結果、実際にユーザーが表示させた順序は、「周辺地図」→「詳細地図」→「広域地図」だった。

ユーザーは、まず2で、物件や最寄り駅の周辺情報をとにかく見たいと考え、必要に応じて3の詳細地図を参照し、1の広域地図はあとで確認する程度にしか見ないのである。

さらに、この行動についてユーザーにインタビューを行った結果、「ユーザーが個別の物件サイトを見ている時点で、すでに地域の絞り込みは済んでおり、いまさらその情報からマンションを絞り込んだり、確認を行う必要性は薄い」ということがわかった。

このように、ユーザーがどんな状況で何を求めてサイトを訪問しているかを把握せず、一般的な行動のパターン、あるいはサイト内のコンテンツの関係性だけによって情報を整理すると、「一見正しいが、実は訪問者にとっては満足のいかない情報提供サイト」になってしまうことも多い。

本当にビジネスに貢献するサイトを設計するには、流入→情報収集を経て、“最後の目的”(資料請求、購入など)へ至るユーザー行動のプロセスを、インターネット利用開始時、場合によってはさらにその前にまで遡って把握することが不可欠だ。さらに、その行動の中でサイトがどのような役割を担うべきなのかを十分に理解しなければならないのである。

ユーザー心理の“モード変化”を把握しよう

住宅情報サイトや宿泊予約サイトのように情報量が多いサイトで、ユーザーが目的のマンションや宿を探そうとする際、サイト訪問中のユーザー行動は、大きく2つの心理モードに分けて捉えることができる。

  • 範囲を絞り込むモード
  • 内容を理解するモード

サイトの設計、特に上位階層の設計においては、このモードの変化を適切に把握することが重要である(図4)。ユーザー心理を理解し、その流れを踏まえたコンテンツ配置を行わなければ、いくら良い情報を提供しても、空振りに終わってしまう。

図4 ユーザーの心理と行動は、「絞り込みモード」「理解モード」で切り替わる。

「分譲マンションの購入を検討しているユーザーが住宅情報サイトを訪問する場合」を考えてみよう。この場合、都道府県→市区町村→最寄駅と、数あるエリアの中から自分の状況に合わせて、まず地域を絞り込んでいくことになる(図5)。

「まずは情報を絞り込みたい」という状況にあるユーザーに、「PR」や「おすすめ」をいくら見せても、ほとんどまったく相手にされない。ほんの0.5秒も経たないうちに、ユーザーは「地域一覧」や「条件検索」から、自分の欲しい物件を探し始めるだろう。

図5 住宅情報サイトのトップページの例。絞り込みモードにあるユーザーにとっては、PRバナーやおすすめ物件は閲覧の対象とならない。

このときユーザーは、サイト上の膨大な量の物件情報の中から物件を探すことに注力しており、「絞り込みモード」の真っ最中である。絞り込みモードにいるユーザーは、絞り込みに集中しているため、「お役立ちコンテンツ」「新着情報」などにはまったくといっていいほど興味を示してくれないことが多い。

一方、ある程度自分が探している物件のエリアまで絞り込めると、今度は絞り込んだ内容について理解しようと、物件詳細のリンクをクリックし、間取りや交通案内などのページを次々と閲覧をし始めるという「理解モード」にユーザー心理が切り替わる。

この段階になると、ユーザーはその物件に関する内容はもちろん、気に入った物件を登録しておく機能や、物件価格に対する住宅ローンの計算機能など、自分に関連のあるさまざまな機能や情報に興味を示すようになる。

よく、トップページあるいは第2階層(カテゴリートップページ)に山ほど情報を掲載しているサイトを見かけるが、ユーザビリティテストを行ってみると、ユーザーにまったくアピールできていないケースも多い。もちろん、トップページやカテゴリートップページにはさまざまな役割があり、必要な情報も一概に規定することはできない。しかし、「見せたい、見せたい、見てほしい」という想いが先走ってしまうあまり、ユーザーの行動にそぐわない情報提供を行っていないか、今一度チェックしてみてほしい。

最後に、ユーザーの行動モデルを踏まえた情報提供の好例として、宿泊予約サイト「じゃらん」のサイトを紹介する(図6)。

図6 ユーザーの行動内容に沿った情報提供がなされている。トップページではユーザーの絞り込みニーズに的確に応える地図とフォーム、テーマ別のリンクをわかりやすく配置し、個別のページではクチコミ情報や写真を充実させることで、ユーザーがそのときそのときに必要な情報をスムーズに手に入れられる構造になっている。
ユーザー中心のサイト設計を実践する際のコツ
  • ユーザーの行動を把握し、そのシナリオに沿って柔軟に情報提供を行う。
  • ユーザーの行動の中で、サイトがどのような役割を担うべきなのか、十分理解する。
  • 2つの心理モード、「絞り込みモード」と「理解モード」を意識する。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウvol.4』 掲載の記事です。

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