クチコミマーケティングは仕掛け型と自然発生型の2種類
クチコミマーケティングは
仕掛け型と自然発生型の2種類
クチコミマーケティングには、大別すると「仕掛け型(Amplified/直訳は『拡声器を使った』)」と、「自然発生型(Organic/有機的な)」の2つのタイプがある。前者は何らかの話題提供や仕掛けを用意して、短期的にクチコミを最大化するもの。後者は、既存顧客を中心に中長期的にじわじわと広がるクチコミを指す。前者は「大きな点」で、後者は「線」のようなものとたとえられる(図2)。クチコミはきっかけがなければ発生さえしないという意味では「大きな点」作りは欠かせないし、発生したクチコミが瞬間で終わってしまっては、せっかく関心を持ったターゲットとの関係構築が十分ではないという意味で「線」を長く保つ工夫も重要となる。商品カテゴリやターゲット、目的や予算などに応じても変わってくるが、基本的にはこの「できるだけ大きな点」と「できるだけ長い線」をいかに組み合わせたプランニングができるかがポイントとなる。
事例から読み取る成功に導く3つの視点
手法のバリエーションについては、前述のWOMMAによると、日本でも聞きなれたバイラルマーケティングやバズマーケティング、インフルエンサーマーケティングなどをはじめ、現在11の手法が定義されている(図3)。しかし実際は、提唱するクチコミエージェンシーの専門領域や立場の相違などにより使う言葉が異なるといった側面もあり、意味的に重複する部分もかなりあるというのが実情だ。したがって、個々の手法の名前や定義にあまりこだわる必要はないというのが私見である。ここでは、細分化されているこれらの手法や要素を内容的に以下の3つに大別し、整理してみた。
バズマーケティング(Buzz Marketing)
ブランドの話題を喚起するために、注目度の高いエンターテイメントやニュースを利用する。バイラルマーケティング(Viral Marketing)
主にインターネットやメールにより、不特定多数にスピーディーに広められ得るおもしろい/参考になるメッセージやコンテンツを創る。コミュニティマーケティング(Community Marketing)
ブランドに対する関心を共有するコミュニティ(例:ユーザーグループ、ファンクラブ、チャットフォーラム)をオンライン/オフラインで創る、または支持する。コミュニティサポートのためのツール、コンテンツ、情報を提供する。草の根マーケティング(Grassroots Marketing)
個人や地域レベルで(メッセージを拡張する目的で)ボランティアを組織化し、活動動機を提供する。エバンジェリストマーケティング(Evangelist Marketing)
ブランドに代わり積極的にブランドメッセージを拡張してくれるエバンジェリスト(煽動者、ボランティア)を養成する。満足している顧客が対象。プロダクトシーディング(Product Seeding)
適切なTPOを考慮し、商品情報やサンプルを目的にあったアーリーアダプターやセレブなどに提供する。インフルエンサーマーケティング(Influencer Marketing)
商品に関して話題にしてくれそうな、他の生活者の意見に影響を与え得るコミュニティやオピニオンリーダーを探しターゲットとする。話題にする価値がある良い商品であることが前提。コーズマーケティング(Cause Marketing)
社会問題の緩和や解決にブランドが関与し好意度を高める。カンバゼーションクリエイション(Conversation Creation)
クチコミがアクティブに広がるようにデザインされた、おもしろい広告、Eメール、キャッチフレーズ、エンターテインメント、販促活動など。ブランドブログ(Brand Blogging)
ブランドがスポンサーするブログを作成し、オープンかつ透明なコミュニケーションというスピリットを持ちブログコミュニティに参加する。ブログコミュニティにとって有意義な情報や情報交換の場所を提供する。委託プログラム(Referral Programs)
ブランドや商品、マーケティングメッセージに好感を保つ顧客が、友人や知人をブランドに紹介・推奨するツールを提供する。
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