家具ブランド「LOWYA」のベガコーポレーション社長が語るOMO施策を強化する狙い | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム

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家具ブランド『ロウヤ』を運営するベガコーポレーションは直営店舗の出店を強化し、OMO施策を推進している。購入の後押しや認知拡大に寄与しているという。浮城社長に詳細を聞く

家具や日用品などのネット販売を手がけるベガコーポレーションでは直営店舗を通じ、リアルでの顧客とのコミュニケーション強化を図っている。各種インテリア商品をECで購入する顧客に対して、座り心地や色味、素材などを直接体感できる機会を提供。各地域でのブランド認知拡大にもつながっている。都市部を中心に店舗展開を進める同社のOMO施策について、浮城智和社長に聞いた。

ベガコーポレーション 浮城智和社長ベガコーポレーション 浮城智和社長
インフレの市況でも事業運営は順調 値上げ幅は10%

――現在の家具ECの市況は。

コロナ後の反動減が収まり、今は円安に伴うインフレが生じている。その中で、どうしても食品や化粧品、衣服、生活雑貨などが先に消費されている流れを考えると、インテリア業界にとってはあまり良い状況ではないのかもしれない。ただ、その中でも我々は順調に事業ができていることはありがたい。

一方で多少は値上げせざるを得なくなり、受け入れられた商品と客離れが生じた商品と販路によっても色々と起こっているのが全体感としてある。

――直近1~2年での値上げ幅は。

商品にもよるが10%は上がったのではないか。主には為替が原因で、これまで108円程度で決済していたものが150円台になると、仕入れ値は大きく影響を受ける。 今の製造拠点は中国と東南アジアで、日本も2割程度ある。人件費の高騰などもあって、中国の比率は少しずつ下がっているかもしれない。

――今は自社サイトの旗艦店を軸にEC事業を展開している。

とは言え旗艦店を一本足にするというとではなく、今は(モールなど)他にもたくさんの顧客がいるため、それはそれでやりつつ、ただ、今後は直営店の方に投資をしていきたい。

OMO戦略で「実物を見たい」ニーズに応える 認知度アップも狙いの1つ

――OMO戦略に舵を切った理由は。

色々目的はあるが、まずは実物を見たいと言われ続けていたことへの問題解決。最低限の数だが、商品を見られる場所を出してみようというところが一つあり、もう一つが、まだ我々を知らない人もいる中で、人口集積地に店を出すことが狙い

実店舗の1つ「LOWYAマークイズ静岡店」(画像はベガコーポレーションのニュースリリースから編集部がキャプチャ)実店舗の1つ「LOWYAマークイズ静岡店」(画像はベガコーポレーションのニュースリリースから編集部がキャプチャ)

――ECで全国に顧客を持っているが、それでも実店舗による認知拡大が必要だった。

たとえばモールの中でどれだけ販売しても、顧客はそのモールで買ったというイメージの方が強くなってしまう。『ロウヤ』で買ったという思いに至らない人も多いのでは。

あとは、SNSを通じて20~30代の女性の認知度が劇的に上がった一方で、男性の認知度がまだまだ低い。おそらく、一日中働いていて、SNSを見る時間も限られているのだろう。そうした人たちにリーチする術がなかったので、そうしたところでの新しい顧客層の獲得という意味もある。今の顧客の男女比率としては、おおむね女性が65%、男性が35%でこれはずっと変わっていない。

購入前の安心感に役立つ

――実際に実店舗の開設で新しい客層を掴めているか。

実物を見たいと考えていた層には確実に受けが良い。ネットで見た10万円のソファーを一度も座り心地を確認せずに購入するのは勇気がいること。そうした中での安心感はよく聞いている。また、ネットでは『ロウヤ』を知っていたが、購買までに至っていなかった人達にとっても役立った打ち手だと思う。

顧客に実物を見られる安心感を与えられる(画像はベガコーポレーションのニュースリリースから編集部がキャプチャ)顧客に実物を見られる安心感を与えられる(画像はベガコーポレーションのニュースリリースから編集部がキャプチャ)

――SNSも含めた店舗への集客手段は。

今はまだ、店舗ごとのアカウントを作っているわけではなく、本社のアカウントで情報発信することがほとんど。ただ、まだ7店舗しかないため、近くの店舗をあまり案内することができないので、SNSで発信していくのはこれから

逆に今はロウヤを知らずに来店した人に対して、SNSのフォローを促したり、リアルからネットに少しずつ誘導しているようなフェーズだと思う。

ECを含めた売り上げを評価 店舗とECの相互誘導を踏まえて「個の勝利よりもチームの勝利」

――実店舗展開が進んだことで、接客方法や運営面で蓄積できたノウハウとは。

来店者は必ずしも店員に話しかけてほしくて来ていない場合もあり、かと言って一言二言の声かけが必要なケースもある。そうすると我々も人件費の構成をどうしていくべきか、正社員なのかアルバイトでいくべきか、そこのマニュアルをどうするのか、人事考課制度をどうするのか、といったさまざまな面で新しい仕組みを作っていく必要がある。

7店舗も運営しているとそうしたところの改善点が少しずつ見えてきた。また、中の従業員が商品を発注しやすいようにするなど、磨いていくところはまだまだある。

――人事考課について、ECが本業にあるため、実店舗での働きで考える評価は。

当社の場合、店で接客したからといっても少なくとも来店者の半分はネットで購入している。元々ネットから来ている顧客もいるため、あまり(評価面で)ギスギスした感じにはしたくない。

たとえば東京の二子玉店の場合、その店単体の売り上げがどうなったかではなく、東京と隣県の神奈川の(ECも含めた)売り上げがYOYでどう伸びたかなど、色々と評価の仕方はある。おそらく、何百、何千と店舗数があるとそうしたエリアでのYOYは見づらいが、我々は全国津々浦々に店舗を出すということではないので、見ることができる。

あとは、社風として個の勝利よりもチームの勝利を大事にしている店舗スタッフがECに誘導する場面などもあると思うので、そうしたところを点検しながら、マニュアルの再設計やオペレーションの設定など、ここからのタイミングでしっかりと見ていく。

出店計画の達成をめざす

――最終的にどれくらいの実店舗数を開設するのか。

ここが難しいところで、今の時点でゴールはまだわからないが、およそ数十店は必要。百まではいらないと思う。あとは場所と床面積。店内に置ける商品数も限られているので、東京はともかく、地方だと(小型店舗では)難しいのでそこのバランスも考えたい。

――そのほか、直近の課題や今後の中長期的な目標とは。

今はまず出店計画を達成させて、それぞれのエリアにいる顧客に対して実物の商品を見せられる場所を作ることが最重要テーマ。あとは実店舗のリアルでの心地良さの提供のためのオペレーションの磨き込みも同時並行で取り組んでいきたい。

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