国土交通省は5月31日、再配達率削減を目的としたシステム改修費や置き配でのポイント付与の原資を補助する「再配達率削減緊急対策事業」を開始した。それぞれの経費を最大1/2を補助する。システム改修は最大1億5000万円、ポイント付与は1配送あたり最大5円までとしている。
再配達率削減緊急対策事業のスキーム図(画像は編集部が公表資料をキャプチャ)
国交省は宅配便の再配達率が12%程度と高止まりしている状況を受け、物流負荷の低い選択を消費者に促す仕組みを社会実装することを目的に、補助金事業を開始する。荷物の受取方法や日時を消費者が自ら「選択」「確認」できるシステムを構築。再配達率削減に協力的な消費者にインセンティブを付与することで、宅配便の再配達率を削減し物流事業の負荷軽減につなげる。
システム改修やポイント付与の原資を補助する(画像は編集部が説明動画からキャプチャ)
「再配達率削減システム改修」「再配達率削減ポイント付与」「物流負荷軽減アプリ実証事業」を補助する。
対象事業者はEC事業者、物流事業者。複数の事業者で組むコンソーシアムも対象となる。補助率や最大金額は以下の通り。
- 再配達率削減システム改修事業:最大1/2(最大 1億5000万円まで)
- 再配達率削減ポイント付与実証事業:最大1/2(1配送あたり最大5円まで)
- 物流負荷軽減アプリ実証事業:最大1/2(最大4000万円まで)
①再配達率削減システム改修について
EC事業者側のシステム改修における補助対象
ECサイトや物流事業者のシステム改修とシステム連携を実施する事業を補助する。たとえば、ECサイトの「配送手段の選択肢」の追加などの改修が対象となる。詳細は次の通り。
- 配送手段の選択肢(置き配・コンビニ配送・宅配ボックスなど)の追加
- 時間帯等の条件(配送時間の通知機能)追加
- 配送完了情報(配達回数)の受取機能の追加
- 物流事業者のシステムとの API 連携機能追加など
物流事業者側のシステム改修における補助対象
- EC事業者とのシステムとの API(EDI)連携機能追加
- 物流事業者間のシステムとの API(EDI)連携機能追加
- 消費者とのコミュニケーション機能追加
- 配送ルートの適正化のための機能追加 など
また、システム改修に必要なハードウェアや事務局が認める再配達率削減に必要なハードウェアの購入も補助対象範囲内としている。
補助を受ける要件として、「受取方法指定の情報」「配達完了情報」「再配達回数」などを、EC事業者と物流事業者間で互いに共有することが可能となるように改修を行う必要がある。
(キャプション)国交省が示すシステム連携のイメージ(画像は編集部が公表資料をキャプチャ)
② 再配達率削減ポイント付与実証事業
上記のシステム改修を実施した事業者が実施する再配達削減インセンティブの取り組みを支援する。システムの改修が要件となり、ポイント原資のみの補助は受けられない。
補助対象となるのは2024年10月から最大2か月の範囲内に生じるポイント原資。最大1/2・最大5円を補助する。なおポストイン配送型の配送サービスやフリマアプリといった個人売買サービスは対象外。ポイントシステムの導入経費も補助の対象外。
要件として、配送が1回で完了、または消費者がゆとりのある配送日時を選択した事実を確認することができるデータ(配達完了報告など)の提出が必要となる。
配達方法が宅配ボックス・置き配・配達場所指定などのケースは、事務局からの求めに応じて写真などの配達完了のエビデンスを提出する。加えて、注文後のキャンセルや受け取り拒否、受け取り後の返品が発生した場合はポイント付与を行わないことが条件となる。
③ 物流負荷軽減アプリ実証事業
アプリケーションの導入経費を補助する。ドライバーが配送効率を向上させるためのルート支援アプリ、受け取りのミスマッチを解消するための消費者とドライバーの双方向コミュニケーションアプリの導入経費が対象となる。
あくまで既存のアプリ導入を補助するもので、新規のアプリ開発や改修にかかる費用は対象外。
補助対象事業のイメージ
補助対象対象事業の範囲イメージの例(画像は編集部が説明動画からキャプチャ)
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公募はすでにスタートしており、申請期間は5月31日(金)から6月28日(金)16時まで。交付決定は7月中旬の予定とし、補助対象期間は交付決定日から~2025年年1月14日(火)まで。すでにオンラインによる説明会も実施済みで、動画も公式サイト上で公開している。
申請は6月28日まで、交付決定は7月中旬としている(画像は編集部が説明動画からキャプチャ)
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オリジナル記事:置き配などでポイント付与の原資、システム改修などの費用を補助する「再配達率削減緊急対策事業」とは | ビジネスに役立つ補助金・助成金制度
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