家具・家電のサブスクサービスなどを手がけるソーシャルインテリアは、法人のサブスク利用がけん引して業績を伸ばしている。8月23日には家具業界の受発注業務をDX化するサービスを開始。家具のプラットフォーマーとして循環型の社会作りに一層貢献していく。
家具・家電サブスクはtoBもtoCも好評
同社はこれまで、個人向けの新品家具・家電のサブスクサービス「サブスクライフ」(画像)と、アウトレット家具・中古家具の通販サイト「サブスクライフ オフプライス」のほか、家具のサブスクに加えてオフィス移転から空間デザイン、家具選定までワンストップでサポートする法人向けの「ソーシャルインテリア オフィス構築支援」を展開してきた。
ソーシャルインテリアが運営する「サブスクライフ」
特にサブスクサービスは、個人・法人向けともに支払い総額が定価を超えない月額制のサブスクサービスとして利用者から支持されている。
たとえば、個人向けの「サブスクライフ」で扱う商品はすべて新品で、利用期間は3か月~24か月の間で自由に選択可能だ。初期コストを大幅に抑えられるほか、商品破損時の補償もある。利用期間終了後は返却するか、定価との差額を支払うことで、そのまま使い続けることもできる。
ほとんどが買い取られ、サブスクは実質「販売」状態
ただ、過去2年間の実績では、利用期間終了後に返却するケースは全体の8%程度と低く、「サブスクサービスといっても販売に近いビジネス」(町野健社長)とし、個人・法人向け合わせて約3兆円と言われる家具・インテリアの販売市場をターゲットにシェア拡大を図る。
また、家具・インテリアは大型商品が多いため、自社で倉庫は構えずに注文が入った分だけメーカーに発注し、メーカーから直送する事業モデルとなる。
家具の品ぞろえは低価格帯のブランドは取り扱わず、中高価格帯のブランドをそろえており、平均商品単価は10万円を超える。
人気商品はブランド物の家具・家電で、家具であれば椅子とテーブル、ソファーのニーズが高い。ソファーや家電などは単価が高いため、初期投資を抑えられるサブスクに向いているという。
法人利用が業績をけん引
個人の利用については男女比で大きな差はなく、年代も20~50代くらいまで幅広く、セグメントの片寄りが少ない。利用者の多くは月額費用が一番安くなる24か月間で契約し、最終的に購入するケースがほとんどだ。
法人・個人どちらも毎年、売り上げは倍増しているが、現状は法人向けの割合が高く、業績をけん引している。個人向けは広告投資が不可欠なため、まずは法人向けで市場を押さえ、信用力を高めた上で個人向けを強化する考えだ。
家具業界の課題をDXで解決
足元では新たな取り組みとして、家具業界の受発注業務をDX化する新サービスを始動した。
家具特化の受発注システムを独自開発
同社によると、家具業界ではメーカーが紙の商品カタログを発行し、発注側はカタログを見ながらメールや電話で注文するといったアナログの業務が常態化しており、受発注に手間がかかるという。
そこで、家具業界向けに特化した受発注プラットフォーム「業務管理クラウド」を開発し、設計会社や販売店、メーカーへの提供を開始。ソーシャルインテリアは代理店の役割を担う。
ソーシャルインテリアが独自開発した「業務管理クラウド」(画像は「業務管理クラウド」のサービスサイトから編集部がキャプチャ)
国内外のオフィス什器から業務用家具、海外ハイエンド家具まで国内最大級の商品情報データベースをもとに、スペックイン業務に必要な素材情報の取得や、複数ブランドをまたいだ見積もりまでの工程を効率化し、デザイン業務に集中できる環境を整える。
同社自身がメーカーへの発注作業に手間を感じていたため、発注者・受注者の双方にニーズがあると判断し、DX化するサービスを開発した。メーカーにはデータ提供の形で協力を仰ぎ、約1年半前から数百万SKUの商品データ登録を進めてきたという。
「業務管理クラウド」では商品の横断的な検索や在庫確認、張り地の選択、発注までできる。横断的な検索機能によって、発注者はこれまで取り引きのなかったメーカーの商品も比較・検討しやすくなる。
システム提供で新たな収益源確立をめざす
契約者数は非公開ながら、サービスの出だしとしては受注率が約9割と高いようだ。利用料無料でスタートしているが、10月から有料化する予定で、新たな収益源にしていく。まずは、早期に国内で流通している家具の大半をデータベース化する方針で、家具のサブスクサービスとのシナジー効果も追求していく。
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オリジナル記事:家具・家電サブスクのソーシャルインテリアが好調な理由。カギは「9割超の買取」「受注業務のDX化」 | 通販新聞ダイジェスト
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