そごう・西武はAIカメラを活用し、来店顧客のフロアをまたいだ行動を分析する実証実験を開始した。来店した顧客の行動を分析した結果を基に品ぞろえ・店舗レイアウトを改善、顧客体験価値の向上を図る。
そごう大宮店に設置されたAIカメラ
対象店舗はそごう大宮店で、2階正面入口、食品売場のある地下1階、7階催事場に合計19台のAIカメラを設置する。顧客の来店目的が食品フロアへの目的購買なのか、非目的購買(ついで買い)なのかなどを可視化する。
そごう・西武では2022年4月にAIカメラによる実証実験を開始。顧客の数の把握と属性(性別・年代)を推定する取り組みを行ってきた。今回は、こうした従来の実証実験に加えて、来店当日のフロアをまたいだ移動履歴(店舗内の位置、買い回りの順序、滞在時間)を分析する。
これまでの実証実験で取得できるデータは、店舗全体の入店客数と、商品を購入した顧客の情報のみだったため、フロアに来場している顧客の情報は取得できていなかった。
今後は、そごう・西武の全館にAIカメラの設置を計画する。ECチャネルなら把握できる顧客の動きを、リアル店舗でも可視化する。ECでは、顧客の流入経路、ECサイトの巡回の仕方、購買履歴、離脱のポイントなどが全て可視化されることから、その状態をリアル店舗でも実現していく。
将来的には、AIカメラで取得したデータと購買データを組み合わせて、そごう・西武に出店しているテナントにサービスの一環として提供するなど、百貨店としての新たな価値提供もめざす。
これまでの行動分析の成果は?
食品フロア、20代は「ついで買い」の傾向
これまでに実施した、そごう大宮店でのフロア間行動分析の結果、20代の顧客の約7割が上層階の他の売場を経由して食品売場に訪れていたことがわかった。30~60代の顧客は上層階を経由して食品売場に来たのが3~5割となっている。
このことから、20代の顧客は食品売場以外のフロアを目的に来店し、ついでに食品フロアに立ち寄る「非目的買い」の傾向が強いことが推測される。
このほか、西武池袋本店7階の催事場で2022年10月から実施した、顧客の数と属性を推定する実証実験では、毎年開催している京都の老舗の物産展「京都名匠会」に訪れた顧客の3割近くが30代以下であることがわかった。そごう・西武はこれまで、年配の顧客が多いと感覚的に想定していたという。
この結果を踏まえて、若年層がより「京都名匠会」を楽しめるよう、抹茶のスイーツの用意や、映えやすいものを取り入れようといったアイデアが出ている。
催事場に設置されたAIカメラ
西武池袋本店の「京都名匠会」
実証実験の概要
- 期間:5月30日(火)~9月30日(土)
- 実証実験対象フロア:そごう大宮店 地下1階、2階、7階
- AIカメラ設置台数:19台
今回の実証実験にはIdeinが提供するAIサービス「Actcast」を活用。取得した情報はAIカメラ内で処理でき、解析結果はテキストデータのみとなるため、個人を特定せず、顧客のプライバシーに配慮したデータ収集ができる。
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オリジナル記事:そごう・西武がAIカメラ活用し来店顧客のフロアをまたいだ行動を分析、顧客体験価値の向上が目的
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