ホームセンターのコーナン商事は店舗とオンラインの融合をテーマにした「店舗デジタル化戦略」を進めている。ECサイトのリニューアルや、店舗の従業員が業務で利用するアプリのリリースなどを実施。ECから店舗への送客促進や店舗業務の改善など、さまざまな効果が表れ始めている。「店舗デジタル化戦略」で重視した施策の1つがECや従業員アプリの検索機能。記事前半では「店舗デジタル化戦略」を解説、後半は検索面をサポートしたZETAとコーナン商事の2社によるディスカッションから、デジタル化戦略の実例、検索が果たす役割とその効果、可能性などを紹介する。
一般消費者向けからプロ向けまで、全国に500店舗超を展開
コーナン商事は、1978年に大阪府堺市に第1号店を開店、現在は全国で525店舗(2023年2月期)を展開している。一般消費者向けの「ホームセンター コーナン」、キャンプ専門店「CAMP DEPOT」のほか、プロの建築職人向けの小売業「コーナンPRO」、建築資材の卸売業「建デポ」を展開。「ホームセンター コーナン」「コーナンPRO」の商品が購入できるECサイト「コーナンeショップ」も運営している。2023年2月期の全社売上は4231億円。
コーナンのECサイト「コーナンeショップ」
「店舗デジタル化戦略」で店舗受け取りやECでのリフォーム工事受注を強化
コーナン商事は2021年に発表した中期経営計画で、①PB商品開発戦略②店舗デジタル化戦略③店舗業務効率化戦略④フォーマット戦略⑤人材戦略――の5つを、2025年度までに推進すると掲げている。
「店舗デジタル化戦略」で取り組んだのが買い物体験の向上。まずは、店舗とオンラインの融合をめざし、店舗受け取りの強化に着手した。従前はできていなかった店舗とEC間の情報連携をリアルタイム連携できるようにし、ECサイト上で顧客が店舗の在庫情報を確認できるようにした。
店舗在庫を“見える化”したことで購入の動機が創出され、店舗受け取りの促進と来店時の買い回りにもつながるなど、売り上げの拡大に大きく寄与しているという。
店舗受け取りの選択・変更画面
店舗受け取りの強化を実現するためにECプラットフォームを刷新し、あわせて豊富な商品との出会いを創出するため検索機能を強化。ZETAが提供するEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入し、興味のあるキーワードに関連したバナー表示やサジェスト機能などの実装によりユーザビリティの向上を実現した。
このようなフロント側の刷新に加え、バックヤード側の業務効率も進めている。2022年に、店舗スタッフ業務の効率化・可視化を実現するためにスマートフォン型ハンディを導入。店舗業務で利用する従業員アプリに「ZETA SEARCH」を搭載し、店舗スタッフがスマートフォン型ハンディを使って、アプリ経由で商品が店内のどの位置にある棚に陳列されているか把握できるようにした。
コーナン商事によると、タッチパネル操作などのPOSレジシステム導入効果と合わせて、2025年度には従来比20%の業務量削減、年間約25億円の人件費抑制効果(スタッフ約800人、8時間/1日労働で換算)を見込むという。
こうした「店舗デジタル化戦略」を推進する上で、顧客向けのECサイトと従業員向けシステムの双方において、検索機能が鍵を握っているコーナン商事。これまでに実施した取り組みや、今後実現したい施策とは――。コーナン商事とZETAによるディスカッションを見てみよう。
コーナン商事がECと社内向けシステムで「検索」を重視する理由と今後の展望とは
全国に多数展開する店舗とオンラインとの融合をテーマにした、コーナン商事の店舗デジタル化戦略。顧客向けのECサイトと、店舗業務で利用する従業員アプリの両方で「ZETA SEARCH」を導入した理由や効果、さらには今後の展望について、コーナン商事とZETAの2社に語ってもらった。
ディスカッションメンバー
コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏
コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ グループマネージャー 牧元周二氏
コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ 国内ECチーム チームリーダー 仲西正敏氏
コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏
コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏
ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏
ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏
ロングテール検索が多いホームセンターは、特にチューニングが大事なポイント
――コーナン商事がECサイトの改善に着手した理由、リニューアル前に抱えていた課題について教えてください。
コーナン商事 古川氏(以下、古川):コロナ禍に入ってからECの必要性がこれまで以上に高まり受注が急増、出荷に1週間以上かかるような状況が発生してしまいました。また、ECサイトの操作性に不便な面があったこともあり、今後のことも踏まえ店舗とECの連携を進めていくには、まずECの改善に着手しなければならないと考えました。
コーナン商事 EC営業部長 古川泰生氏
コーナン商事 仲西氏(以下、仲西):スマートフォンへの最適化など操作性の改善、顧客体験アップに向けて店舗との融合を実現するECサイトにしなければなりませんでした。改善例の1つが、店舗の在庫や販売価格をECサイト上でお客さまからも見えるようにしたことです。これにより、店舗受け取りの使いやすさも向上し、店舗送客のためのサイトとしても機能するようになりました。
コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ 国内ECチーム チームリーダー 仲西正敏氏
――リニューアルで「ZETA SEARCH」を導入。検索面でどのような課題がありましたか?
コーナン商事 古川:以前はサイト内検索の運用を内製化していたため、自社でチューニングしなければならなかったんです。正直なところ人的リソースが十分ではなく……。ECに携わるスタッフ(牧元)が1人でチューニング作業をしていた時期もありました。彼が一時期、EC業務から外れた際はチューニングが間に合わなくなり、サイト内検索した時にほしい商品が検索結果に表示されないといった事象が起きるようになってしまいました。その一例が「コンロ」の検索です。ホームセンターのECサイトでは、バーベキュー用からキッチン用、カセットコンロなど、さまざまな「コンロ」を扱っています。そのため、ほしいコンロを検索結果で正しく表示させるためのチューニングに、相当な時間と労力がかかっていたんです。検索のチューニングに悩んでいたため、ZETAさまに相談。良い提案をいただけたため「ZETA SEARCH」の導入を決めました。
ZETA 大井氏(以下、大井):他社の事例でも、サイト内検索の運用を担当者が行い、その担当者が異動したことで手が付けられなくなったという話はよくある話です。つまり、サイト内検索の属人化は各社が抱えている共通の課題だと言えます。「ZETA SEARCH」の導入に関し、ほかにどのようなことが決め手になりましたか?
ZETA営業部 ユニット長 大井果林氏
コーナン商事 古川:サイト内検索エンジンの導入には、ECサイトだけでなく、店舗スタッフが使う従業員アプリにも活用するという条件がありました。この要望に対し、ZETAさまは実現できることを前向きにたくさん提案してくれました。お客さま向けのECサイト、社内向けアプリも含めて、包括的に対応いただけたことに加え、悩みだったチューニングのアウトソーシング化が実現できることがきめてになりましたね。
ZETZ 大井:ECだけでなく、社内向けの従業員アプリなど、コーナン商事全体の業務を改善するために、「検索エンジンを120%活用したい」という要件を提案いただいたことを覚えています。ZETAの導入事例を見ても、コーナン商事さまが検索エンジンを最も幅広く活用していますね。
コーナン商事 古川:ホームセンターで取り扱う商品数は膨大で検索もロングテールになります。独特な表現や専門的な工具なども多くあるため、それらの情報をどう出し分けるのか、チューニングは非常に大事なポイントです。しかし、検索に関する高いリテラシーをコーナン商事は持ち合わせていませんでした。今は、ZETAさまと関係性を持ったことにより、定例会議で要望を伝えると、そのゴールに向けて着実に動いていける体制が整いました。
1つのアカウントで法人向けと個人向けの検索結果の出し分けも可能
――ECサイトのリニューアルにおいて、検索ではどのような改善や機能の実装を行いましたか?
ZETA 木又氏(以下、木又):コーナン商事さまは総括的にいろんな実装をしました。ECサイトで特筆すべき点は関連特集の検索結果への表示です。通常、サイト内検索は商品そのものをヒットさせるという発想ですが、関連特集の検索結果への表示は複数のカテゴリ情報を組み合わせて、特定キーワードにヒットする特集ページを検索結果ページに表示する仕組みを搭載しました。カテゴリの階層などを見ながらいろんな組み合わせで検索結果を表示できるよう、提案しました。
また、コーナン商事さまのECサイトは、同じ商品でも法人向けと個人向けに価格などを出し分ける仕様になっています。そのため、検索結果についても、法人顧客と個人顧客でそれぞれに最適な表示をしなければなりません。たとえば「机」と検索した時に、法人顧客であればオフィス用のデスクが上位に表示するよう、チューニングできるように対応しました。
画像左の赤枠内が「ガーデニング」で検索した際に表示される特集ページのバナー
コーナン商事 牧元氏(以下、牧元):コーナン商事のECは、同一ドメイン上で法人向けと個人向け双方の売り場を設置しようというコンセプトがありました。そこに検索エンジンを導入したわけです。ベンダーによっては2つのアカウントを取得しなければ検索結果の出し分けが難しいといったケースがありましたが、ZETAさまは1つのアカウントで出し分けが可能でした。その点も導入メリットとして大きかったですね。
コーナン商事 EC営業部 EC営業グループ グループマネージャー 牧元周二氏
ZETA 木又:アパレルECサイトでの「ZETA SEARCH」の導入で、通常販売用とアウトレット用で出し分けるといった対応を経験してきました。コーナン商事さまの要件も問題なく対応できました。大事なことは、法人向けと個人向けに出し分けた後、それぞれどのように検索結果を表示するか、です。そこを重視し、定例会議でヒヤリングするようにしています。
ZETA技術部 ユニット長 木又陽平氏
コーナン商事 仲西氏:今の時代、AI(人工知能)を前面に押し出した製品をよく見かけます。しかし、私たちが求めていたのはAIに頼りきった製品ではなく、ZETAさまのように人が携わりながら細かくチューニングする製品・サービスでした。AIを否定しているわけではありません。私たちの思いをECサイトに実装していくためには、やはり人が考えて作っていくことが大事であり、それが最終的にはコーナン商事の財産になっていくと考えています。
ZETA 大井:「自動化」「AI」という言葉に引っ張られて、「そっちの方が楽そう」と検討する事業者は少なくありません。大部分は自動化できたとしても、人によるチューニングがなければ、お客さまが商品を探すときに適したモノが表示されないという事態はどうしても起きてしまいます。そうなると、使いやすいECサイトにはなりません。
ZETA 木又:AIは業務のいろいろなところで役立つことは確かです。しかし、サイト内検索の場合、「この言葉は、当社ではこういう意味」とAIが学習することはできても、学習させる人がどうしても必要になります。また、無いモノをAIが最初に創り出すことはできません。なので、AIは最初から導入するものではなく、徐々に入れていくべきものではないでしょうか。
「ZETA SEARCH」の3つの特徴
省人化が進むなかで店舗の従業員アプリの検索機能は業務改善に役立つと期待
――「ZETA SEARCH」をECだけでなく、店舗向けの従業員アプリにも活用しています。従業員アプリについて教えてください。
コーナン商事 柴田氏(以下、柴田):発注、検品、ポップ作成など、店舗業務を支える機能を従来はハンディターミナルに搭載していましたが、それをスマートフォンのアプリにしたものです。その機能の1つが商品検索です。「ZETA SERCH」を使って検索し、商品の在庫情報や、フロアマップ上で商品が店内のどの位置にある棚に陳列されているかも把握できるようにしています。
コーナン商事 亀井氏(以下、亀井):従業員アプリはまだ開発途中で、順次、機能をリリースしている状況です。ただ、従業員アプリでの商品検索機能は、ニーズの高い機能であったため、スマートフォン型ハンディの導入が始まった2022年後半から提供をスタートしています。
――従業員アプリにも「ZETA SEARCH」を導入した理由をお聞かせください。
コーナン商事 柴田:ECサイトのリニューアル時に検索エンジンも刷新することが決まっていました。今までならEC側だけで判断していたところ、横の連携も重視して従業員アプリも含めたコーナン商事全体の業務改善に目を向け、システム部など複数の部署が関与。その上で、最終的にZETAさまを選定しました。
従業員アプリの開発プロジェクトでは、店舗従業員が、各商品の専任者に聞かなくてもお客さまからの問い合わせへスムーズに対応するというコンセプトを掲げていました。ECサイトの商品検索のような機能や使いやすさは、1つの目標でしたね。
コーナン商事 システム企画部 システム企画開発グループ 主任 柴田享氏
コーナン商事 古川:ホームセンターのアイテム数は膨大なので、たとえばアルバイト従業員が商品を探すにも、これまではまず社員を探し、その社員が棚の場所を共有するという流れでした。しかし、今はどんどんと省人化が進んでいますよね。そんな環境下で、従業員アプリへのサイト内検索の実装は業務改善の根幹になると期待しました。
――お客さま向けのECサイトと社内向けシステムの検索機能では、開発や実装にどういった違いがありますか?
ZETA 木又:検索としてやらなければいけないことは、BtoCのECサイトと社内向けの従業員アプリとで大きな違いはありません。ただ、BtoC-ECサイトは消費者の声を導入企業がくみ上げて開発側に伝わってきます。そのため、タイムラグや本当の消費者ニーズが伝わってこないことが、ままあります。一方、従業員アプリのような社内向けシステムは、ダイレクトに「これだと使いにくい」「こうしないと難しい」といった声が届きます。ZETAはどうすればその課題をクリアできるようになるのか説明・ヒヤリングすることができる分、進めやすさはあったと感じています。
従業員アプリの検索機能を、今後はコールセンターでも役立てる計画
――従業員アプリに「ZETA SEARCH」を導入したことにより、従業員の負荷や店舗業務などにどのような効果が表れていますか?
コーナン商事 柴田:たとえば、フロアマップと商品検索を掛け合わせた機能によって、閉店後に商品を棚に戻す作業や、開店前の品出しの作業時間が短縮したといった声が店舗から寄せられています。1人あたり1日数分の短縮でも、1か月換算すると大幅な作業時間の削減になります。コーナン商事が常日頃意識している「すべてはお客さまのために」を実現するには、店舗スタッフの声を大事にしなければなりません。まずは従業員にアプリを使ってもらい、要望や指摘を受けながらより良い仕組みを実現していきたいですね。
コーナン商事 亀井:従来のハンディターミナルにも検索機能はありました。一定の業務改善につながっていましたが、当時はJANコードを指定して単純に商品を検索する機能しかありませんでした。今回の従業員アプリは、普段の生活でネット検索しているような使い勝手で商品を探すことができます。新しい仕組みを導入すると慣れるまでが大変ですが、初めて使う際でも操作に迷わず利用できるのは、ZETAさまが検索機能を専門に開発しているからこそと感じています。
コーナン商事 システム企画部 副部長 亀井学氏
ZETA 木又:コーナン商事さまの従業員アプリのデータは1日に1億レコードもあるので、開発初期はそれら全てを取り込む仕組みを考えるところから始まりました。また、「棚情報」「在庫情報」「チラシ情報」の3データを組み合わせて検索したいという要望もあり、試行錯誤しながら、現在の形式にたどり着きました。各店舗が持っている商品情報のなかのさらに詳しい情報、「このチラシにこの商品の情報が入っている」といった情報など、取り扱うデータがECよりもかなり複雑でしたね。
コーナン商事 柴田:データ量が多く、組み合わせが必要という複雑な要望にもZETAさまは対応してくださいました。営業部署からは、店舗で業務に待ち時間が発生しないよう、検索の機能だけでなく反応や速度も高めてほしいという要件も寄せられていましたが、それらも1つひとつ実現いただきました。
コーナン商事 亀井:確かに、従業員アプリで最大のネックになったのは検索のレスポンスでしたね。1~2秒でレスポンスが返ってくるかどうかが一番のハードルだったと思いますが、要望通りに実現いただきましたね。
――消費者向けのECと従業員アプリでは、検索するキーワードやチューニングに違いがあるのでしょうか?
ZETA 木又:キーワードの設定自体に大きな違いはなく、ECサイトと従業員アプリも「●●というキーワードで検索したときに0件ヒットになっていた」といったレポートを定期的に提出しながら改善を続けています。たとえば、店舗の従業員の皆さまが「この商品をこういう名称で呼んでいる」といったキーワード情報を都度ご共有いただき、ECサイトやアプリごとにチューニングを行っています。
コーナン商事 柴田:ZETAさまから0件ヒットなどのレポートを毎月いただいていて、それをもとに当社から「これはこういう単語です」といった情報をフィードバックして、同義語の単語登録をお願いしています。
ZETA 木又:従業員アプリの場合、お勧め順よりも他のソートを使うことが多く、キーワードで「これを上位に表示したい」といった要望はまだ出てきていません。まずは使っていただきながら現場からの要望を集めていきたいと考えています。また、コーナン商事さまは従業員アプリのデータやインターフェースを、コールセンター向けのアプリの検索でも使うよう動き始めています。コールセンターでの活用が進むと、たとえば商品に関する問い合わせがあった時に、その商品の詳細情報や店舗の在庫状況などを、電話を受け取ったオペレーターが瞬時に調べるといったことができるようになります。さまざまな業務の改善に検索が役立っていくと感じています。
「ZETA SEARCH」導入後、CVR、直帰率、セッション時間が改善。社内の意識に変化も
――「ZETA SEARCH」の導入後、ECサイトではどのような効果が表れているのでしょうか?
コーナン商事 牧元:ECサイトのリニューアルでは、サイト検索エンジン以外にもさまざまな施策を行ったので全体的な効果となりますが、コンバージョン率は0.2ポイント向上。また、直帰率は以前の45%から42%まで改善し、目標の40%まで大幅に近づいています。また、セッション時間も3割ほどアップしました。サイト内検索はチューニングが肝要ですから、今後さらに検索の精度を高めながら効果を高めていきたいですね。
ZETA 木又:回遊性を広げるためには、来訪者が商品詳細画面にたどり着いて終わりにするのではなく、そこからカテゴリやハッシュタグなどを用いていろんな画面に移動したり、元の検索結果に移動できる仕組みも有効だと感じています。
――コンバージョン率、直帰率、セッション時間などの定量的な効果のほか、定性的な効果はいかがでしょうか?
コーナン商事 牧元:一番感じている効果は、私たちの意識が変わったことです。チューニングを内製化していた頃は、どうしてもほかの業務の片手間にならざるを得ないことがしばしばありました。しかし、今はZETAさまとの定例会議も重ねながら確実に検索性が向上しているので、手を加えなければ改善しないことを実感できましたし、なによりスタッフ全員で話し合う機会が増えたのは喜ばしい成果でした。商品担当者の間で「サイト内検索のキーワードに何を入れたいか」といった会話が飛び交うようになり、商品登録をする時も効果を考えたキーワード設定をする意識が高まっています。
今までは検索の知見が少なかったからこそ、よくわからないままキーワードを設定していた状態でしたが、ZETAさまとの定例会議は勉強会のような役割にもなっています。「ZETA SEARCH」の検索機能をリリースしてからまだ半年ですが、継続していけばもっと良くなっていくのだろうと確信しています。
ZETA 大井:検索精度を高めるためには、地道に日々チューニングを積み重ねていかなければなりません。忙しいとどうしても定例会議が後回しになってしまうものですが、コーナン商事さまはZETAとの会議にいつも前向きに取り組み、それが最終的に効果という結果につながっています。定例会議はお互いに知識を深め合い、より良いサイトに導くための場になっていると実感しています。
「全ての経営活動を 『お客さま視点』 へ転換させる」の方針のもと、全社で連携しながら進展を続ける
――今後、ECサイトにおいては、ZETAとどのような取り組みを行いたいと考えていますか?
コーナン商事 古川:まず、レコメンドの改善があげられます。今もレコメンドは用意しているのですが、以前の検索エンジンと同様、使いこなせていないのが実状です。レコメンドと検索をZETAさまで統一することにより相乗効果が得られるのであれば、「ZETA RECOMMEND」の導入を検討したいと考えています。
コーナン商事のECサイトは2022年10月にリニューアルしていますが、実のところまだ最終的な完成状態ではありません。今は第2フェーズに取り組んでいる段階。そのため、この一連を終えた後にレコメンドの改善にも着手していく計画です。
「ZETA RECOMMEND」の特徴
ZETA 木又:コーナン商事さまの場合、「ECにはなくても店舗にはある商品」が検索されるケースがあるでしょう。今後、検索エンジンで店舗情報を連携すると、「その商品はこの店舗にあります」といった情報も検索できるようになります。その情報がレコメンドに持たせることができれば、来店の促進にもつながるのではないかと考えているところです。
コーナン商事 古川:いかに店舗と連携できるかがとても重要な要素になるので、その構想を実現していきたいですね。
――従業員アプリは、今後どのように展開していきたいと考えているでしょうか?
コーナン商事 亀井:検索で在庫の場所や数、商品の詳細情報が把握できるだけでなく、発注業務の入力画面や、ECサイトに移動するといった仕組みの搭載も可能だと考えています。店舗業務での全ての入り口、つまり従業員アプリを全ての起点にするということを今構想しています。
ZETA 木又:今後、ECと従業員アプリ側で持っている情報が基幹システムとつながるようになれば、EC側からどの店舗に在庫があるのかが見られるようになりますし、店舗側も来店したお客さまに「この商品はECで注文すれば店舗の入荷を待つよりも早く届きます」といった案内ができるようになります。つまり、新しい接客の形を作り上げられるのではないでしょうか。
コーナン商事 古川:私たちは「全ての経営活動を 『お客さま視点』 へ転換させる」という方針の下、現在の中期経営計画を遂行しています。この一環の店舗デジタル化戦略は、売上貢献、業務改善、デジタル組織・人材育成――の3つを大命題としており、売上貢献の面でECを、業務改善の面で従業員アプリを進展させようとしているところです。
これまでは組織ごとに動いていましたが、今は横のつながりも重視するようになり、さらにはZETAさまも含めた皆で課題や実現したいことを共有しながら進められるようになりました。ECと従業員アプリが改善した先にはコールセンターの進展も待っています。今後も全てを連携させながら、全社的に改善と発展を続けていくことをめざします。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:ECサイトの顧客体験向上・店舗スタッフの業務効率を同時実現したコーナン商事の店舗DX推進のカギは「検索」にあり
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