突然ですが、自社でECサイトを運営されているご担当者様に質問です。自社サイトのSEOについてどれだけ取り組みができておりますでしょうか?
SEOとは、Googleなどの検索エンジンで、あるキーワードを検索した際に特定のウェブサイトを「検索結果の上位や、検索結果の目立つ場所に表示させるための施策」を意味します。
コンサルティング業を営む森澤佑輔さんはSEO歴なんと10年のプロ! そんな森澤さんに、「ECサイトにおけるSEO」についてお聞きしました。SEO対策について最初に取り組むべきことや、SEOは長期目線で見ると「ストック型の投資」という考え方など、森澤さんが提唱するSEOのやり方を詳しく紹介します。
SEO初心者が初めにやるべきこととは?
⸺ 本日はどうぞよろしくお願いいたします! まず初めに、森澤さんのこれまでのご経歴を簡単にお聞かせください。
森澤:はい。僕はSEOを中心にコンサルティングを行っており、EC事業者も含め累計2000社ほどのご支援に携わってきました。SEO歴で言うと10年ほどになります。
森澤佑輔氏
⸺ ありがとうございます。ここからはSEO歴10年であり豊富な経験をお持ちの森澤さんに、詳しくお話をお伺いしていきます。
EC事業者の方から我々に「SEOについてネット上に情報があふれてるけど、そもそも何から始めればいいの?」とよくご相談いただきます。森澤さんとして、「まずはこれをやりましょう」というご提案はありますか?
森澤:まずは業界理解と、その中で自分たちが置かれたポジションを確認することから始めるといいですね。ポジションというのは競合他社との差分だったり、現在流入してきているキーワードなどを指します。
今自分たちが置かれている状況を理解せずに対策を行っても、あまり効果が期待できないと思うんですよね。
また、サービスの提供形態にもよりますが、優先順位を決める必要があります。これは施策の優先順位というよりは製品の優先順位を指します。
どの商品を売ったら利益率が高くて、会社に対するインパクトが大きいのかをベースに、対策するページの優先順位をつけていくところがまず最初のフェーズだと思います。あとはKGIやKPIなどの目標を明確にすることも大事ですね。
⸺ なるほど。施策の効果を出すには現状分析と目標設定が大切なのですね。
森澤:特にEC事業を立ち上げたばかりの事業者によくあるのが、商品ページに十分な情報や説明文、魅力的な訴求が入っていないということですね。実は誰でもできるSEOの第一歩が、商品ページのコンテンツの改善なんですよね。
⸺ 確かに。これはすぐにでも取り組めそうですね!
森澤氏はまず最初に現状分析や優先順位づけをするべきだと指摘している
SEOのポイントを整理
ECサイトのSEOは“いかにGoogleに認識させられるか”
⸺ ここからは、ECサイトでのSEOについて伺っていきます。一般のホームページとECサイトとでは、SEOにおいて何か違う点などはあるのでしょうか?
森澤:インデックス、つまりGoogleにページを認識させられるかというところの重要性が大きく異なります。
検索エンジンから見たときに同じようなページだとインデックスされないことがあります。その場合、Google上には存在していない扱いとなり検索結果にも絶対出てきません。
なぜインデックスが重要かというと、ECサイトは似たページが生まれがちだからです。たとえばアパレルのサイトを見てもらうとわかりやすいです。
通常のサイトではそこまでインデックスを気にすることはないので、ECサイトならではのSEOになると思います。
ECのSEOではGoogleに細かく認識させるための工夫が必要となる
インデックスさせるための2つのポイントとは?
⸺ では、インデックスされやすくするには具体的にどういったことをすれば良いのでしょうか?
森澤:1つ目のポイントはページの価値が高いか否かです。そもそも検索エンジンに認識されるコンテンツかどうかを見られているので。
たとえばTシャツでUネックのページとVネックのページがあった場合、明確に違いを見分けにくく、インデックスされない可能性があります。
そこでたとえばUネックのページにはUネックについてのコンテンツがあるといったように、カテゴリーページを少し違う状態に改変することでインデックスさせるということが一つです。
2つ目に、どれだけサイト上からそのページにリンクを貼れるかというところも重要なんですよね。いわゆる内部リンクをきちんと認識できる形で設定し、コンテンツを充実させるということも対策になります。
SEOは「ストック型の投資」
⸺ そもそもECでは施策の効果が出て売り上げが上がるまである程度の期間を見なければいけませんよね。SEOで成果が上がるまでの期間の目安はありますか?
森澤:セッション数や売り上げなど数値的結果が現れてくるというレベルで言えば、6か月〜1年をベースに見ていただきたいと思います。
個人的にSEOは「投資」だと思っています。実装してその場で結果が出るものではなく、どちらかというとストック型の施策なので、1年かけて投資したものを来年で回収するというイメージです。
逆に言えば1回実装した施策ってずっとストックとして残り続けるので、去年分を今年回収して今年はまた改善して、その来年分を再来年に回収する、そういった投資だと思っています。
外部サービス検討のポイントとは
⸺ SEOは難しいイメージがあることから、外部サービスを検討される企業さまも多いです。そこで、選定の際のポイントがあれば教えていただきたいです。
森澤:ポイントになるのはフロントの方との相性ですね。外部であっても1パートナーという立ち位置になるので、コミュニケーションの相性は大切にした方が良いかと思います。
併せてその裏でどのようなキャリアを持った人が手を動かして実際に分析するのかというのも見ておくべきです。
でもまずはやっぱり、自分たちでできることを試してみることが大事なんじゃないかなと思います。
運用は「できることを試しながら」
森澤:難しいことも多いと思いますが、本当にどんな小さいことでもいいので自分で試してみると、現状の確認にもなるかと思います。特に知識面は自分ではどうにもできない部分もあると思うので、そこはタイパ(タイムパフォーマンス)やコスパを考えて外注という選択肢も大いにアリですよね。
トライアンドエラーを繰り返しながらやっぱり無理だとなった場合には、相談していただいたら解決しに行きます。
⸺ 自分で手を動かして現状を把握しつつ、上手く外部サービスを使っていくのが理想的なんですね。SEOという少し難しいテーマではありましたが、森澤さんの落ち着いた語り口のおかげでスムーズに理解することができました。森澤さんがコンサルとして入られる時に、コミュニケーションで意識されていることはありますか?
森澤:僕は相手に今後のサービスをイメージをしていただいた上で、「この人に相談すれば何とかなる」という安心感を持ってもらえるように心掛けています。
また、どのような領域の質問にも答えられるように、知識のインプットは常におこたらないですね。お客さまが不安に思う要素をできるだけ減らすようにしています。
⸺素晴らしい心掛けですね。初心者の私にもわかりやすく説明していただきありがとうございました!
◇◇◇
みなさん、いかがでしたか? 「ECサイトにおけるSEO」についてわかりやすく解説いただき、理解が深まったのではないでしょうか。
まず第一ステップは業界理解と自社の立ち位置確認! そして優先順位を付けて商品ページのコンテンツ改善!
そして肝となるのは「いかにしてページをインデックスさせるか」。「SEO施策は『投資』」というお話も印象的でした。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:ECならではのSEO対策とは?押さえておきたい基礎知識+外部サービスを検討するときのポイントを解説 | 「ECタイムズ」ダイジェスト
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