故意の不当表示には措置命令などを経ずに100万円以下の罰金を科す規定、繰り返し違反に対する課徴金の割増しなどを規定した景品表示法の改正案を、政府は2月28日に閣議決定した。
景品表示法の改正案は、①事業者の自主的な取り組みの促進②違反行為に対する抑止力の強化③円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等――が主な改正事項。
景品表示法の改正案の主な改正事項
①事業者の自主的な取り組みの促進
違反行為に対する抑止力強化、端緒件数の増加・事件処理期間の長期化へ対応するために、事業者の自主的な取り組みを通じて早期の是正を図る確約手続きを導入する。
優良誤認表示などの疑いのある表示を行った事業者が是正措置計画を申請し、内閣総理大臣から認定を受けた時は、措置命令や課徴金納付命令の適用を受けないようにする手続き。迅速に問題を改善する制度を創設することで、「事業者の自主的な取り組みを促進して迅速に問題を是正してもらう」(河野太郎消費者担当相)
現行の行政措置は、指導と措置命令・課徴金命令しかない。課徴金制度の導入で事件処理も長期化していることから、確約による表示の早期是正を図る。
現行の景品表示法では、法令違反の疑いがあった場合、調査を通じて違反行為が認められれば措置命令または課徴金納付を命令する。違反行為が認められないものの違反の恐れががあれば、行政指導を行うという方法がある。
課徴金制度における返金措置の促進を狙い、返金措置の弾力化を進める。特定の消費者へ一定の返金を行った場合に課徴金額から当該金額が減額される返金措置に関し、返金方法として金銭による返金に加えて、電子マネーなど第三者型前払式支払手段も許容する。
返金措置の利用件数はこれまで、4件にとどまっている。現行制度では金銭以外による返金は認めていないが、金銭以外の手段も可能にすることで返金措置の利用を促進する。
②違反行為に対する抑止力の強化
繰り返し違反行為を行う事業者に対する規制を強化する。その1つが課徴金制度の見直し。
景品表示法に違反し、措置命令または課徴金納付命令を受けたものの、繰り返し違反行為を行う事業者が存在する。こうした事業者に対しては現行の制度では十分な抑止力が働いているとは言い難いため、抑止力を強化する。
課徴金の計算の基礎となる事実を把握することができない期間における売上額を推計することができる規定を整備。違反行為からさかのぼって10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対し、課徴金の額を1.5倍に加算する規定を新設する。
また、優良誤認表示・有利誤認表示を故意に行った事業者に対し、行政処分を経ずに100万円以下の罰金を科す直罰規定も新設する。
③円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等
BtoC-ECの国際化への対応として、措置命令などにおける送達制度の整備・拡充、外国執行当局に対する情報提供制度を創設する。外国に本社を置く事業者による問題のある表示が確認されていることへの対策。
また、適格消費者団体による開示要請規定を導入する。適格消費者団体が事業者に対し、「相当な理由」がある際に事業者へ表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請できるようにする。そして、事業者は当該要請に応ずる努力義務を負う旨の規定を新設する。
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景品表示法の改正案は今後、今国会に提出。河野太郎消費者担当相は記者会見で、「速やかに国会で審議をして成立したい」とコメントした。
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オリジナル記事:【景品表示法の改正案まとめ】故意の不当表示に100万円以下の直罰規定、違反状態を早期是正する「確約手続き」など導入 | 【通販・EC関連の法改正】景品表示法・消費者契約法・特定商取引法の見直し動向
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