HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。第五回のお相手は、提案型ウェブアナリスト育成講座第3期卒業生で、(株)ウエブル 代表取締役 増子 愛氏。
全3回でお届けする対談の1回目は、富山県と東京都で活躍する増子氏に、創業当初や創業前のフリーランス時代について話を伺いました。
(株)ウエブル 代表取締役 増子 愛(ますこ めぐみ)
富山県出身。大学で東京に行き、新卒で富山のHR系SaaSの会社にプログラマとして入社。SaaS開発、ECサイトの店長、フリーランスを経て2016年株式会社ウエブルを設立。2019年提案型ウェブアナリスト3期を修了し、分析を活かしたコンサルテーションの幅を広げて活躍中。
進行・編集は、HAPPY ANALYTICS広報 兼 エスファクトリーウェブディレクターの井水朋子がつとめます。
(1)フリーランスから制作会社へ
設立4年、営業なしで受注してきた経緯
増子さんのお仕事について教えてください。
富山県でウェブ制作会社の株式会社ウエブルという会社をさせていただいています。設立して4年です。
あれ、もっと長そうですが・・
フリーランスの時間があって、法人化してからは4年ちょっとくらいです。
お客様は富山のお客様が多い感じ?
主に富山の中小企業さんです。富山と東京でいったら、8対2か7対3くらいかなという感じです。
どういう業種が多いとかありますか?
業種に特別なかたよりはないですね。もともと地場産業の味噌屋さんやお菓子屋さんのようなメーカーや地場の個人商店さんが多くて、法人化してからは、法人企業さんが増えたり、代理店さんの下請もしたりしていろんなところをさせてもらっています。
どういうきっかけでお声がかかるんですか?
全く営業をしたことがないです。何かしらの勉強会でご一緒したり、自身が登壇したセミナーのあとにでお声がかかったりして、ご縁をいただくことが多いです。
2020年のはじまりからコロナウイルスの流れがありましたけど、その影響は?
オンラインの施策に切り替えられるという方が多く、オンライン販売などを支援することが増えています。中には、半分はお手伝いボランティアというか支援パックみたいなものを作って、店舗が運営できてなくて困っている、在庫を抱えてしまっているという方のオンライン販売を支援することも。
店舗に人が来なくなったので、今までオフラインでしていたことをオンラインにしていくお仕事が増えているという感じですね。
リモートワークへの取り組み
もともと御社はコロナ前からリモートで働かれていたんですよね?
創業以来ずっとリモートワークの会社です。私自身が学校をリモートの卒論で卒業したという経験がありまして、子育てしながらでも、家庭責任がありながらでも、両立しやすい働き方というのを追求していったところこうなりました。ここにきて・・
私が富山にきたという(笑)
(編集注:本対談は、小川が富山に行き、ウエブル社近隣で実施しました。)
一同:(笑)
もともとリモートワークを広めていくぞという気概もあったんですけど、このご時世で勝手に広まっていきました(笑)
お客様とのやりとりは?打ち合わせでお客様のところには行っていました?
そうですね、今まではお客様のところに行くことが多かったんですけど、最近ではお客様もほとんどがオンラインにも対応されました。大きな変化ですね。
お友達価格からの脱却
先ほど、お仕事が、勉強会やセミナー経由でくるとのことでしたが、お友達価格になってしまいませんか?
フリーランス時代に一度それで擦り切れて、「価値のあるものを提供していかないと」と思ったのが、法人化のきっかけの一つです。
難しいですよね~。
従業員に対する責任もあるし、正規の価格で依頼している方たちにも失礼のないようにということで、なるべくお客様同士で差がないようにしています。ちょっとおまけしているっていうのはありますけど。
富山の文化としては、Webにお金を使えということになっているんですか?
うちの場合、制作会社からスタートして、分析単体でお金を頂くのは難しいと感じています。やっぱり、コンサルや分析にというよりは、制作で形のあるもの方が多いのかなと感じます。
難しいよね。
最初、難しかったんですけど、先生のセミナーに出させていただいてからちょっと変わってきたんですよ。
お!それはよかったです。ありがとうございます(笑)
小さい事業会社さん相手ですと、サイトを作るお金は投資できても、運用は自分でということが多かったです。そうなると、サイトを作りっぱなしになってしまうのが課題です。行った施策が、本当に成果を出しているのだろうかと思います。もし成果がでていなかったら、次にどういうアクションを起こしていくかしっかり提案をしていかなきゃいけないっていう課題感や後ろめたさみたいなものは、ずっとあります。
なるほど。
制作からコンサルティングへのシフト
フリーランスの頃は、サイト制作した後、運用でのお付き合いはありましたか?
制作費用として費用をいただいていました。分析をご提案できていなくて、なんとなくお客様の成果が気になって、Googleアナリティクス見てというのはありました。
ちょっとサービスっぽくなってしまいますよね。制作でお金いただいて、その後のアクセスを聞かれたから見る、気になったから見るっていう感じだよね。一応お金は取っていないけどGoogleアナリティクスの数字は見られるから見ると。
まあそうですね(笑)これってコンサルなんじゃないとか、どこかで思って。
どこかでただ働きになっちゃうし。
もともと前職でネットショップの店長をしていたのもあって、成果や費用対効果にシビアになってしまい、ビジネス観点からアナリティクスは見るんですけど、そこにお客さんに投資をしてもらって、それこそABテストして、費用対効果が得られるほどの規模感にネットショップがまだなっていなかったりすると、そこでも提案ができずに・・・。
そうですね。そうするとまずは人集めましょうになってしまいますもんね。
提案型ウェブアナリスト育成講座を受けた今は、数値的根拠に裏付けした提案ができるようになって、サイトでもFacebookでも、「分析をしています!」とうたえるようにりました。解析の資格を持っていたよね?とお声がけいただく機会も増えました。
そろばん・手書きからEC販売まで
フリーランスになる前は新卒でHR系、採用系のSaaSのプログラミングをしている会社にはいりました。その後、実家の商社に入ったんです。そしたら業務が全部手書きなんですよ。そろばんとか!
二人:そろばん!?
事務の効率化・ビジネス改善をしてくれと言われたときに、私は一生事務員なんて絶対嫌だからと(笑)誰でもできるようなシステム作りを考えました。
そういう思いから仕組化していくというのは大事ですよね。
ですね。ずっと一緒に働いていくとは限らないですからね。
業務改善をして、無駄な経費を削減した後、今度は売り上げを上げようと考えたときに、ネットショップの店長をしました。薬屋さん向けの卸売業者なんですけど、ネットショップで薬を売るにはちょっと制限があるので、富山県の特産品を売っていたんですよ。自分でお米とかホタルイカとかを仕入れて(笑)
すごい!
バイヤーもしました。仕入れて売っていたんですけど、特産品というのは、利幅の関係でちょっと難しいので、元々本業で扱っている商品をということで、健康食品を楽天で販売する方向にシフトしました。
なるほど。
そこそこ売れたんですが、そんな時に調子にのって広告費を使いすぎて、赤字になってしまった、責任取らなきゃということに・・。実家の誰も責めないんですけど、「一年間お給料いらないから」といって、無償で楽天ショップを運営してその赤字を埋めるとともに、私自分で食べていくわと。翌年、赤字の額の二倍の黒字を出しました。
二人:すばらしい!
今では笑い話です(笑)
普通だと、そのままネットショップ店長を継続していこう!と、なりそうだけど、思わなかったの?
卸売業者が直売することになるので、toBのお客様の手前、あまりビジネスをスケールさせられないなというのがありました。副業でしていたWEB制作業がフリーランスとして自分一人が食べていけるよういなっていたので、独立しました。
親御さんの仕事もきちんと受け継ぎ、大事にしながら、また新しい形も作っているのは、さすがだなと思います。
うんうん。
責任を感じつつ、でも、自分がしたいこともしたいですからね。
女性ふたりで創業
最初から一人で創業でした?
フリーランスのときは、ひとりで2年間。そのあと、またいろいろありまして(笑)
<川崎さん、参加>
押しかけました、スタッフの川崎です!増子はもともと会社の後輩なんですけど、株式会社に、法人にしようと思うんだというので押しかけました(笑)
最初から雇う気は・・?
最初から2人分養うほどの売り上げが・・。
わかります、わかります。
そこで「先輩もフリーランスになったらどうですか?」と。
全員:笑
それで川崎が半年くらいフリーランスした後、私が「法人化しようかな」と言ったら、もう一回、「じゃあ一緒にやりたい!」と声をかけてくれました。「私の給料低くていいから。一緒に苦楽を共にして成長していこう。」と言ってくれたんです。
なるほど、なるほど。
川崎とは欠点がうまく補える関係なのかなと。私は結構ネガティブというか、根明に見えるんですけど、深刻に考えすぎるところがあって。そこで彼女が壁打ち相手になってくれて、ポジティブになれます。
増子さんが深刻に考えるタイプって言っていましたけど、川崎さんはどういうタイプ なんですか?
生まれつき、深刻性に欠けているタイプ?!
一同:笑
一人ひとりが働きやすい会社へ
21歳の時から子育てをして、20代は3人の幼児の育児をしながら過ごしたので、物理的時間的に拘束される働き方に課題を感じていました。学生で子どもを産んたので、普通のキャリアを積めなかったというのも大きかったですね。そこで、子育てしながらでも、自分の能力を発揮できるような雇用形態を作れないかなと考えてきました。
うんうん。
子育てに限らず、物理的に離れている、転勤族、介護がある、発達障害だけど家の中では働きやすいという人がいて、そんな人たちも働けないかなっていう課題感を持っての創業でした。子育てしているから、とかでなくて、『自分に働きやすい形』をテーマにしています。
ちなみに男性・女性の比率は?
ひとりは男性で、他は全員女性ですね。ただ、男性もイキイキと働ける職場環境だと思っています。夕方、幼稚園のお迎えに行く、イクメンパパです。
先ほどのリモートの話もありますけど、ほかに意識していることってあります?
最近、5時から22時の間なら自由に働けるという風に時間の制限を取っ払ったことと、あと、一日のうちで7時間働いても9時間働いても、3カ月単位でならして精算できるような働き方ができないか、弁護士さん等に相談しています。就業規則を整えていくところです。
昼にお子さんがいらっしゃっても、好きな時に働けるようにとかね。
習い事の送迎で中抜けしたり、定時に犬の散歩したり、色んなスタッフがいます(笑)
私も年が近いし、子どもがいるんですけど、とても働きやすそうですね。
次回では、HAPPY ANALYTICSが主催する提案型ウェブアナリスト育成講座を受講するきっかけや、受講で得たことなどを伺いました。