アリババグループ(阿里巴巴集団)は、流通総額で小売り世界最大手の米ウォルマート・ストアーズを抜いて世界トップに――。2016年春、多くのメディアが報じたアリババグループの躍進。「世界一のEC企業」と言われるものの、手がけている主要事業の詳細はあまり知られていない。EC事業者の注目が集まる「アリババグループ」のビジネスモデルを解説。
売上の8割を占める中国国内向けのプラットフォーム事業
アリババグループは、中国・杭州の英語教師であったジャック・マー氏(現会長)が率いる18人によって1999年に設立された。
会社設立から間もない2000年、ジャック・マー氏が熱弁を振るっている(写真はアリババグループ提供)
アリババグループの流通総額(2016年3月期)は4850億ドル(約52兆円)で、売上高は157億ドル(約1兆7000億円)。
アリババグループは自社で直販を行わず、EC事業者やメーカーなどに商品を販売するためのプラットフォーム提供に徹しているのが特徴だ。
全体の売上高に占める主要事業の割合(画像はアリババグループの2016年3月期決算資料)
売上高の約8割を占めるのが中国市場向けの事業。全体の76%を中国消費者に商品を販売するためのプラットフォーム提供、4%を中国国内のメーカー・卸事業者と小売事業者を結び付けるプラットフォームに関する売上高の多くを占めている。
ほかには、海外向けやクラウドコンピューティング……など。ECを中心に手がけるのは主に8事業(その他含む)。そして、アリペイなどの関連会社および系列会社もアリババグループの躍進を支えている。
主要事業の成長率(画像はアリババグループの2016年3月期決算資料)
アリババを支える8つの主要プラットフォーム事業
中国向けBtoCマーケットプレイス事業(China Commerce Retail)
タオバオマーケットプレイス(Taobao.com)タオバオマーケットプレイスのTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
2003年5月にオープンした中国最大級のCtoCマーケットプレイス。中国のリサーチ会社iResearchによると、タオバオマーケットプレイスは2014年の流通総額で、中国最大のオンラインショッピングサイトに成長している。
天猫(Tmall.com)天猫(Tmall.com)のTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
2008年4月に開設した中国BtoCオンラインショッピングモール。高品質のブランド商品を求める中国の消費者に商品を販売することができる。出店には中国に法人を構える必要があり、中国現地の企業、中国に法人を置く海外企業が店舗を開設している。iResearchによると2014年の流通総額は、プラットフォームのなかで中国最大という。
ちなみに「天猫」と「天猫国際」は同一のプラットフォームで運用されている。「天猫」に関しては中国に法人を置かなければ出店できないが、「天猫国際」は日本に法人を構えながら中国向けに販売することが可能。
ジュファサン(juhuasuan.com)ジュファサン(juhuasuan.com)のTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
2010年3月に開設されたオンライン共同購入のマーケップレイス。iResearchによると、2014年の月間アクティブ・ユーザー数が中国で最も高いマーケットプレイスという。高品質な商品を、期間限定で価格を割り引いて販売するフラッシュ・セールを展開している。
中国向けBtoBマーケットプレイス事業(China Commerce Wholesale)
1688.com1688.comのTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
1999年に開設された、中国の主要オンライン卸売マーケットプライス。アリババグループの小売マーケットプライスで取引を行う事業者が、中国国内のメーカー・卸事業者から商品を仕入れるための卸売りチャネルの役割を果たしている。
海外向けBtoCマーケットプライス事業(International Commerce Retail)
AliExpress(アリエクスプレス)AliExpress(アリエクスプレス)のTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
2010年4月にオープン。全世界の消費者を対象とするグローバルな小売りマーケットプレイスで、ロシアやスペイン、フランス、米国などからの購入が多い。世界中の消費者は中国のメーカー・卸売り事業者から商品を直接購入することが可能。多様な品ぞろえを実現しているため、競争力のある価格で入手することができるという。
海外向けBtoBマーケットプレイス事業(International Commerce Wholesale)
Alibaba.com(アリババドットコム)Alibaba.com(アリババドットコム)のTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
アリババグループが最初に開始した事業。全世界で数百万人ものバイヤーとサプライヤーが参加するグローバルな卸売取引のプラットフォーム。小規模企業でもアリババドットコムを通じて、他の国の企業に商品を販売することができる。アリババドットコムに参加する売り手は、中国、インド、マレーシア、タイ、米国などに拠点を置くメーカーや、販売事業者が多い。
クラウドなどに関するプラットフォーム開発事業(Cloud Computing and Internet Infrastructure)
aliyun.com(アリババクラウド)aliyun.com(アリババクラウド)のTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
2009年に設立。総合的なグローバル・クラウド・コンピューティング・サービスを提供。。eコマース取引における大量のデータの高速処理、データマイニングなど顧客のニーズに応じた包括的なネット・サービスの提供で、ECのエコシステムとアリババグループ全体をサポートしている。
その他(other)
Alimama.com(アリママ)Alimama.com(アリママ)のTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
2007年にサービスをスタート。アリババグループのマーケットプレイスの売り手を対象に、広告サービスなどを提供するオンライン・マーケティング・テクノロジー・プラットフォーム。アリママは、タオバオ系列のネットワークを通じて、売り手側にサードパーティーのウェブサイトのマーケティング・サービスも提供している。
関連会社および系列会社
Ant Financial Services GroupAnt Financial Services GroupのTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
支付宝(アリペイ)の親会社であった小微金融服務集団(アリババグループのジャック・マー会長などが出資して立ち上げた会社)が設立。小規模零細企業や消費者へのサービス提供に重点を置く金融サービス・プロバイダー。決済事業のアリペイのほか、アリペイユーザー向け投資信託事業などのYu'e Bao(余額宝)、商品購入のための融資事業などのZhao Cai Bao(招財宝)といった、さまざまな金融サービスを提供している。
Cainiao NetworkCainiao NetworkのTOP画面(画像は編集部がキャプチャ)
物流に関する情報プラットフォームの運営会社。買い手と売り手の双方に対して、配送情報の配信に関するサービス・プロバイダーとして、サービスの効率と効果の向上に有益な情報を提供する物流情報プラットフォームを運営している。Cainiaoが提供している「データシェアネットワーク」(配送業社による情報入力や情報交換の時間を短縮するためのデジタル配送伝票サービスなど)は、中国国内の荷物の70%を処理しているという。
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オリジナル記事:アリババグループを支える主要8サービスと2つの関連会社まとめ
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