創業期から育成期、成長期へ
ネット通販の成長において、一番重要なのは10億円の壁をどのように超えていくかである。
そこで、「創業期」から年商10億円までをもう少し細かく分け、その間の課題を整理してみよう。
「創業期」は個人商店も大企業のネット通販部門も、だいたいが手作業であり、仮想モールに出店したり自社サイトをオープンしたりして、初受注に感動するところから始まる。
スタッフはまだ少数で、社長や責任者一人ということも多い。限られた人数でマーチャンダイジングからプロモーション、受注処理、出荷、経理まですべてをこなさなければならない。
プロモーションの効果で売上が増え、年間5000万円から1億円程度になると「育成期」に入る。1日の受注は40〜80件となり、2〜3名のパートを雇い、受注処理と出荷業務に追われる。毎日、目の前の業務をこなすだけで精一杯で儲かっているのかどうか分からないが、売れていることだけは確かだ。
この段階でそろそろ、受注から出荷まで各種業務にルールが必要となる。受注システムの導入も考えるべき時期だ。
この「育成期」では経営の基礎固めが重要であり、さらに成長を続けることができるか、それとも頭打ちで衰退していくかの分かれ目となる。
年間売上が1億円から5億円くらいは「成長期」といえる。
受注対応や情報システム、物流など業務系を担当する正社員スタッフが必要となってくる。マルチドメインに取り組み始めるのもこのころだ。
また、各種業務を自社だけで処理することが難しくなり、物流のアウトソーシングを考え始めるタイミングである。
図表7 創業から年商10億円までの4段階
安定期の先には「10億円の壁」
年間売上が5億円から10億円程度になると、「安定期」といえる。月間受注数は1万件を超えるようになり、事業のスタイルやサイクルが固まってくる。
一方で、組織やプロモーションなどの見直しを検討する必要が出てくる。この段階になると、意外に売上を維持するのが難しくなり、少しでも気を抜くと売上が落ちるからだ。販促費を投入する必要が出てきて、売上の割に利益が伸びなくなる。ネット通販でよく聞く「10億円の壁」である。
個人商店から成長してきたショップの場合、仮想モールへの出店だけではプロモーションに限界があり、自社サイトの立ち上げや紙媒体・リアル店舗などクロスメディア化に取り組むようになる。また、社内では給与体系や目標設定・評価、人材教育制度、コンプライアンスなどの組織整備が必要となる。
こうしたショップの発展段階に応じた課題に適切に対応することが失敗を避け、着実に
ステップアップしていく鍵を握っている。
図表8 ショップの発展段階に応じた課題
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オリジナル記事:ネット通販年商10億円までの4つの段階と「壁の超え方」 | スクロール360の「物流本」 ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム
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