広告主にクリエイティブ力の差が出るのはなぜか | 業界人間ベム

業界人間ベム - 2015年6月1日(月) 08:39
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一流企業なので、いずれも大手代理店の一流クリエーターがクリエイティブ提案に来るはずなのに、出来上がってくるCMクリエイティブにどうしてこんなに差が出てくるのか。

 これはやはり選ぶ側の力が反映するのである。もちろんプレゼンしてくる方にも多少の問題があるだろうが、選ばれないと意味がないので、代理店側も長くやっていると選ばれる案しか持っていかくなるわけで、原因は「選ぶ側」にある。

 企画は「提案する」より、「選ぶ」方が100倍難しいと言われる。

「選ぶ」能力、リテラシーを鍛えることも広告主には必要だ。なぜならクリエイティブが最も大きな変数であって、コミュニケーションの最適化には表現力開発に「強く」ならないと競合に勝てないからだ。
 ただこうした広告主側の「選ぶ」力は一朝一夕には獲得できるものではない。ある意味企業文化とも言えるくらいの伝統芸だったりする。

 例えば、長く広告宣伝に力を注ぎ込んできて蓄積された企業文化がある会社は、担当者がつい最近営業から異動してきた人であっても文化のある宣伝部に所属するとリテラシーが鍛えられるものだ。典型は代理店が持ってくるCM案の絵コンテを読み解くリテラシーだ。絵コンテから出来上がるCMの完成度、トーン&マナーが想像できるリテラシーである。なぜか分からないが、こうしたリテラシーが伝統的に受け継がれている企業がある。これは素晴らしい企業文化であり、貴重な財産である。こうした資産を上手にデジタルマーケティング時代にも対応させたいものだ。

 一流企業でも、広告表現を開発する際の「思考プロセス」を大事にするところと、アウトプットを直感的に評価するところがある。
 
 どちらがいいという訳ではないが、選ぶ能力のひとつは、コミュニケーションの考え方とアウトプットの間のジャンプをどう評価できるかだ。クリエイティブにはいいジャンプと悪いジャンプがある。いいジャンプなのか、悪いジャンプなのかを見抜く力が「選ぶ」リテラシーの重要な要素だろう。

 さて、CMを選ぶということは何十年もやってきたのでそれなりに経験値があるものだが、デジタルコンテンツとかなるとどうだろうか。オウンドメディアのコンテンツを企画開発するとなるとCMを選ぶのとはかなり違うかもしれない。フォーマットが確立している中のものを選ぶのとは違い、フォーマットや仕掛けから選択していかないといけない。そうなるとアイディアだけで選んではいけない。素材をつくって終わりではないので、運用体制がどうなっているか、しっかりPDCAを回せるのかなどチェックポイントは多い。そもそもオウンドなので、自ら仕組みやコンテンツを企画して表現のHowの領域をアウトソースするくらいでないといけない。ここでもアウトソース先は「どこに頼むか」より「誰に頼むか」で、まだまだデジタルのスキルは属人的だ。

 今の時代の優秀なクリエーターとは、CMプランだけでなく、その企業やブランドのマーケティングコミュニケーションにおける課題やポテンシャルをしっかり把握して、コミュニケーションコンテンツ開発のコアアイディアを創出できる人である。広告クリエイティブだけなく、サービス開発やビジネス開発までクリエーター的センスでデザインする能力と再定義されると思う。

 広告主のリテラシーとはこういう優秀なクリエーターと自らが「ストプラ」として渡り合うことが出来ることではないかと思う。そもそも考え方やコンセプト設計から代理店にお願いしないといけないようではダメだ。マーケティングメディアがほとんどペイドメディアであった時代はまだ良かったが、オウンドやアーンドも統合的に設計しなければいけない時代は完全に広告主たるマーケター側にストプラとしての高いスキルがないといけない。

 クリエイティブを選ぶ力を発揮させるのも、まずはそのあたりから構築していく必要があるだろう。

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