アマゾンジャパンが“ポイント”による仮想モール事業の出店者支援策を強化している。今年2月には、これまでアマゾン直販商品に限定していた独自ポイント「Amazonポイント」の付与権限を出店者に開放。出店者も自由に自社商品にポイントを付けられるようにした。昨夏には従来、アマゾン直販商品にしか使用を認めていなかったポイント支払いを出店者の商品購入時でも使用できるようにしている。アマゾンでは同社サイト全体の流通総額拡大のため、伸びシロのある仮想モール事業の強化・拡大を図っており、近年、特に出店者の開拓・支援に本腰を入れている。楽天やヤフーなど競合の仮想モール事業者がポイントを軸とした攻勢を強める中、アマゾンもポイント制度の変更で出店者の販促を支援し、競合と同様に流通総額拡大を目指したい考えのようだ。
同社では2月19日から、「Amazonポイント」の付与権限を同社の仮想モール機能「マーケットプレイス」で商品販売を行う出店者の中でも主に法人を対象とした大口出品サービス利用社に開放した。自社ポイントの発行は07年からスタートしているが、これまで顧客の購入額に応じ、ポイントを付与する対象商品はアマゾンが直接販売する「アマゾン直販商品」のみで、同一サイトで販売される商品でも出店者の商品は対象外となっていた。
同日からは出店者がアマゾンで販売する商品に自由に「Amazonポイント」を付与できるようした。アマゾンによると、商品ジャンルに縛りもなく、全商品が対象でまた、「(付与ポイントの)上限の設定はない」(同社)としており、任意で付与ポイントを商品ごとに1ポイント単位または販売価格に対するパーセントで設定可能だという。付与ポイントの原資は全額出店者の負担となるが、アマゾンが出店者から徴収している販売手数料は販売価格から「Amazonポイント」の負担分を差し引いた額に対し課金する。
ポイント付与権限の出店者への開放で、季節性が高く短期集中で拡販したい商品や値引きが難しい商品の販売強化などに期待できそう。さらに、付与ポイント数はアマゾン内の商品詳細画面(画像)で表示するほか、検索結果画面での絞込みや出品一覧画面での絞込みや並べ替えでも表示されるため、利用者への訴求力アップ効果も出てきそうだ。出店者へのポイント付与権限開放後の反響について「ポイントをつけることでキャンペーン感など購入者に視覚的にアピールしやすくなった、という声を(出店者から)頂いている」(同社)としており、出店者からの反応もよいようだ。
商品詳細画面の表示イメージ
今回の出店者によるポイント付与開始に先駆けて、昨年8月には従来まで様々な点で使いにくかった「Amazonポイント」の使い勝手の大幅な改善に合わせて、使用範囲の拡充を実施。従来までアマゾン直販商品の支払いだけに充当できるようにしていたが、「マーケットプレイス」出店者の商品の決済にも充当できるように改めている。これにより、出店者の商品の拡販支援に一定の効果があった模様だ。今回の出店者へのポイント付与権限の拡大は、出店者自らがポイントをフックに拡販策が展開できるようになり、ポイントによる出店者支援をさらに進めた施策と言えそう。また、ポイント付与先がアマゾン以外にも増えることで「Amazonポイント」の発行量を増やし、ポイント利用による購入促進などの効果も期待しているよう。
これまでポイントの使用・付与をアマゾンの直販商品に限定することなどで、同社の基幹である直販事業をある程度、守ってきたわけだが、直販よりも伸びシロが多く、流通総額アップに効果的だと見ている仮想モール事業の強化に向け、競合する楽天やヤフーと同様、利用者に響きやすく仮想モールの出店者支援に効果的なポイント施策の強化に踏み切ったもようだ。アマゾンではポイント施策以外にも従来まで直販商品は「無制限」だが、出店者には「1カ月先」までしか、認めていなかった“予約販売機能”を今春から「1年先」まで延長するなど、直販商品だけに制限してきたアマゾン内の様々なサービスを出店者にも適用させ始めている。仮想モール事業の強化の大きく舵を切り始めたアマゾンの行方が今後も注視されそうだ。
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アマゾンジャパンがポイントで攻勢、"ポイント付与"の権限 出店者に解放(2015/05/01)
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オリジナル記事:「Amazonポイント」の付与権限を出店者に開放したアマゾンジャパン。その反響と狙いとは? | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム
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