ヤマト運輸社長が語る、「クロネコメール便」廃止の真相と「宅急便」新サービスの中身 | 通販新聞ダイジェスト | ネットショップ担当者フォーラム | ネットショップ担当者フォーラム

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新サービスは「BtoCの通販事業者様が発送される商品のプレゼンスを上げるサービスになる」

今年3月末で「クロネコメール便」の廃止を決定したヤマト運輸。信書の定義が曖昧な中、誤って信書を送った顧客に郵便法違反容疑が掛けられる信書リスクを回避するのが難しいと判断したものだが、「クロネコメール便」で小型の商品やカタログなどを発送する通販事業者への影響も大きい。同サービス廃止の経緯や通販事業者の反応、4月から投入する新サービスのメリットなどについて、山内雅喜社長に話を聞いた。

小型荷物向けの新サービス、付加機能が充実されるため料金は割高に

――改めて「クロネコメール便」廃止の経緯をお聞きしたい。

個人お客様も利用しているため何とか継続したいと考え、当社でも2011年から荷受けの厳格化など対策を講じてきたが、限界があった。一方で、安倍政権が掲げた規制改革のテーマに信書問題が取り上げられ、状況が変わるのではないかという期待から、総務省の情報通信審議会郵政政策部会で外形基準の導入と輸送事業者だけに罰則を課すことを提案した。だが、14年3月に出された中間答申に当社の主張が反映されず、今の状況が解決される見通しが立たなかった。メール便廃止の選択の比重が高まったのはこの時期だ」

――メール便の廃止について社内でも賛否があったのではないか。

「メール便を廃止しない形で何かできないのか、もう一度外形基準導入の意見をぶつけてみてはどうかという議論もあったが、日本郵便の株式上場も控えていた。一般信書の独占領域を持ったまま上場するのはおかしく、メール便廃止で信書の問題点が明らかになればとも考えたが、お客様を信書リスクから守り切れていない現状のままサービスを提供し続けることは、“お客様第一”を貫いてきたヤマトの企業姿勢としてあるべきではないと判断し、メール便の廃止を決めた

ヤマト運輸の山内雅喜社長
ヤマト運輸の山内雅喜社長

――メール便の廃止発表後、ネットでも信書問題に関する書き込みが多く見られた。

「信書の定義や罰則規定を知らない方が多いということだろう。当社が法人のお客様に行ったアンケート調査でも、罰則規定があることを知っているという回答は3.8%に過ぎなかった。かなりの方が信書リスクに晒されていることを考えれば、何が問題なのかを知ってもらうことは非常に重要だと思う」

――通販事業者にも信書リスクはあるのか。

信書問題は通販事業者様にとっても他人事ではないと思う。例えば、送った荷物に関係した内容の文書は添え状と見なされるが、荷物と無関係な商品案内のような文書は信書ということになる。ビジネスチャンスを広げようとした場合に足かせとなる部分がある」

――メール便廃止の発後、法人顧客への説明に回っているが進捗状況は。

「1回目の説明は2月中旬で一巡した。早い段階で4月に投入する新サービスの詳細を公表し、取引条件など細かな説明・打ち合わせを始める予定だ」

――メール便廃止に対する反応は。

「当初は『メール便が廃止されると大変になる』という反応だったが、新サービスがどのようなものなのか早く知りたいという声が多くなり、新サービスに対する期待感を感じている。お客様を信書リスクから守るということにはご理解を頂いており、『おかしいことを分かりやすく世の中に訴えるのはヤマトらしい』という声も頂いている」

――カタログやパンフレットを送っている法人顧客が他のメール便に切り替える動きは。

「すでに代替えサービスとして『クロネコDM便』を提供することを発表しており、不安を感じられている方は少ない。事前に内容物を申請・確認する仕組みで、『クロネコメール便』と同様、他のメール便にはないトレース情報を付加し、一定期間、従来と同じ料金体系で利用できるようにすることを考えている。そのため、他のメール便に切り替えようという話にはなりにくい」

――小型荷物に対応した「宅急便」新サービスについてお聞きしたい。

「『宅急便』の新サービスは専用ボックスを使ったサービス①と、郵便受け投函型のサービス②がある。『クロネコメール便』で翌々日の配達スピードが『宅急便』レベルの翌日が基本になり、サービス①では、事前の配達告知メール送信や受取時間の指定変更などにも対応する予定だ。サービス②では、受け手と送り手双方のお客様に投函完了の告知メールを送る。送り手の通販事業者様は商品が届けられたことが分かるため次のセールスがしやすくなり、受け手のお客様も商品を待つストレスが軽減される。何れもBtoCの通販事業者様が発送される商品のプレゼンスを上げるサービスになると思う」

――メール便で小型商品を送る通販事業者としては料金が気になる。

付加される機能が充実されるため料金は割高になると思うが、小型商品を送る際の選択肢が増え、『宅急便』60サイズ(3辺合計60センチメートル以内)で小型商品を発送していた通販事業者様にはリーズナブルなサービスになる。割引オプションを拡充し、より使いやすい形にしたいと考えている」

――メール便で小型の商品が送られるケースは増えているのか。

「3年ほど前から増えている。ネット販売が定着し、日用品や小物など、より日常的な商品が買われるようになっているようだ。今後、小型軽量商品の取り扱いが増えると思う。当社としても、その需要に応えていく」

――今後も信書規制の緩和を訴えていくのか。

何かのきっかけがあれば、当然主張していく。また、お客様からお問い合わせがあった場合、ご説明をするということも続けていくつもりだ」

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