今回はSEOの順位計測について解説します。前々回はGoogleアナリティクス、前回はウェブマスター ツールについて説明しました。「SEOの効果はアクセスログで確認しましょう」と言っても、やっぱり検索結果の順位は気になります。必要なデータを正確に取って効果分析に役立てましょう。
ビッグワードとミディアムワードは順位のチェックを
「SEOの効果」というと、今でも大半の方が「xxというキーワードでの上位表示」と思っているのではないでしょうか。私はアユダンテで営業を担当しており、まず最初にSEOのゴールについてお聞きしますが、「検索流入をx倍にしたい」などとご回答いただいたことは今まで数えるほどしかありません(笑)。そのくらい「SEO=上位表示」という概念は根強いものだと感じています。
ところで、皆さんも順位調査をされていますか? 何ワードくらい調べていますか? 10でしょうか、100でしょうか、1,000でしょうか? 特に規模の大きなサイトの場合、どんなにがんばってもすべての流入キーワードの順位をチェックするのは難しいと思います。
検索キーワードは3つのタイプに分類できる
キーワードを検索される回数の多い順(人気順)に並べると上の図のようになります。人気の高いものから「ビックキーワード」「ミディアムキーワード」「スモールキーワード」の3タイプに分類できます。一番種類が多いのは「スモールワード」と呼ばれる3語〜4語からなる細かい複合語です。その集積が「ロングテール」(長い尻尾)となります。何百、何千、サイトによっては数百万種類のワードになるので、とてもじゃないですが順位は調べきれません。そのため、SEOの効果は順位だけでなく、アクセス解析を使って流入数でしっかり分析していくことが重要となるのです!
一方、「ビッグワード」「ミディアムワード」はしっかり選定して、やはり定期的に順位調査を行ったほうがいいでしょう。毎日チェックする必要はありません。新規サイトをリリースしたときでない限り、週一回程度で十分です。
そして、順位の変動にはあまり一喜一憂しないでください。何もしなくても多少の変動はあります。また突然順位が下がったとしても、リンクを買うなど怪しげなことをしていない限りは、少し時間がたてば元に戻ることが多いです。
ただし順位は後からチェックできるものではないので、特定の施策を行う際は必ず事前に対象ページの順位をチェックしておきましょう。
人によって順位が違う?! ブラウザーと位置情報によるパーソナライズドに注意
さて、順位を見るときに気を付けなくてはいけない点があります。それは「パーソナライズド」です。検索エンジンはよく見るサイトを自動的に上位に表示させるという傾向があります。
例えば私がAmazonを毎日のように見ていると、何か検索したときにAmazonが優先的にヒットするようになります。
サイト運営者であればうれしいことですが、順位のチェックをするときには気を付けなくてはいけません。「こんなワードで1位に来た!」と喜んでも、実は自分だけにパーソナライズされた順位で、自分以外の人が検索したときの順位は10位かもしれないからです。
パーソナライズドを回避する方法をいくつか紹介します。
- Google Chromeの場合
「ファイル」メニューから「新規シークレット ウィンドウ」を選択する。 - Internet Explorerの場合
新しいタブを開いて「InPrivate ブラウズ」をクリック。または、Ctrl+Shift+Pキーを押す。 - Safariの場合
「Safari」メニューから「プライベートブラウズ」を選択する。 - Firefoxの場合
「ファイル」メニューから「新規プライベートウィンドウ」を選択する。
Firefoxの例
ブラウザーによって呼び方は異なりますが、上記の状態で検索すれば、パーソナライズされることなく確認できます。
ところでもう1つ、最近「人によって順位が違う」という現象が起こっています。これは「ベニスアップデート」と呼ばれるGoogleのアルゴリズムです。主に地域キーワードに関係があります。
例えば私が東京で「カフェ」と検索した結果と、京都に行って「カフェ」と検索した結果は、場合によっては違うのです。京都で検索したときには京都近辺のカフェのページが自動的に優先表示されるのです。Googleは検索者の位置情報から検索結果をパーソナライズするのですね。
このアップデートは昨年12月から日本でも適用され始めたようです。地域キーワードは順位での効果検証がより難しくなるかもしれません。実店舗がある方は関係するかもしれませんね。詳しくはこちらをご覧ください。
順位チェックのためのツールとは?
今は高機能な順位計測ツールがいろいろあります。私がSEOを始めた2001年頃はそのようなツールもなく、何時間もかけて手で調べたこともあります(泣)。今のアユダンテでは自社開発ツールを使っていますが、ここではとりあえず有名な2つのツールを紹介します。
- GRC http://seopro.jp/grc/
無料でかなりの高機能(ただし無料版は3URL、20項目が上限)。多くのサイト運営者が使っている。時系列で順位を計測することができ、詳細でヒットURLやタイトルなども表示可能。何があったかメモを残せる機能や、検索結果上位100サイトの順位追跡機能も便利そう。 - Ginzametrics http://www.ginzametrics.jp/
大規模サイト向けの有料ツール。順位だけでなく、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールと連携して、購入状況などを見ることも可能。PLP(Preferred Landing Page)管理機能も興味深い。規模の大きなサイトの場合、意図しないページが上位に来ることがあるので、そういうページを簡単に発見することができる。
ただし、Googleのヘルプには「自動化されたクエリを Google から明示的な許可を事前に得ずに Google のシステムに送信することは禁止されています」という一文があります。
みんなが大量のキーワードの順位を調べようとするとGoogleのサーバーに負荷をかけてしまうのですね。あまりにも大量のクエリをGoogleに送信すると、そのIPアドレスから一時的にGoogleで検索できなくなる現象も起こりますので、必要なワードだけ、ある程度の間隔をあけて使うようにしましょう。
また、前回紹介したウェブマスター ツールでも順位を確認できます。検索クエリレポートで、期間内での平均掲載順位がわかります。時系列では見られませんが、ワード数が少なく、あまり変動のないサイトであればこのレポートで十分かもしれません。
キーワードとヒットするURLにミスマッチがないか確認しよう
前述したGinzametricsのPLP機能にもあるように、「どのURLがヒットしているか」を確認することはとても重要です。
例えば「バレンタイン 和菓子 通販」で検索すると、下記のようにバレンタインと和菓子に関連したページがヒットします。
しかし、10位にヒットしているこちらのサイトは和菓子のページではないようです。
実はこのサイトにも和菓子のページがあるのですが、そちらのページには「バレンタイン」というテキストが入っていないので、結果としてチョコレートのページがヒットしているようです。
この画面の右下に「和菓子がお好みの方にはこちら」というリンクがきちんと用意されていますが、私のブラウザではファーストビューには入ってきませんでした。
せっかく流入してきても「和菓子がないのか」と思って離脱してしまう人がいるかもしれません。もしくは検索結果の段階で「和菓子じゃないじゃないか」とクリックされないかもしれません。
このように、ユーザーの検索クエリとヒットするページがマッチしていないと、販売機会の損失につながりかねません。
順位をチェックするときは必ずヒットURLを見て、「そのページが適切か」という点を分析するとよいでしょう。また、「Not Found(404ページ)がヒットしていないか」もいち早く確認できます。
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Googleアナリティクス、ウエブマスターツール、そして順位。どれも手間のかかるものですが、しっかり準備してSEOのPDCAを回せるようにしておきましょう!
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:SEOの効果は順位だけじゃないけれど……やっぱり気になる検索順位チェックの注意点 | ネットショップのためのSEO施策ゼミナール | ネットショップ担当者フォーラム
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