2019年Webのトレンド〜企業のWeb担当者はアンドロイドと電気羊の夢を見るか?
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昨年末も編集委員の独り言として2018年のトレンド予測を書いていました。今年もバズワードたちに振り回されることなく、企業のWeb担当者が注目すべき2019年のWeb業界のトレンド予測として、3つのキーワードを挙げてみたいと思います。
平成最後の年末に、少し長いスパンで振り返って独りつぶやきます。
1. 「競争から共創」〜実行レベルの時代へ
1つめのキーワードは「競争から共創」です。
「競争から共創」というキーワード自体は、遡れば10年以上前から言われていることですが、世の中の変化がやっと追いつき、ようやく実行可能なレベルになってきたかもしれません。
「BtoBの業界もデジタルマーケティング元年」と言われて2年ぐらい経過しましたが、未だに局地的にしか盛り上がっていない印象があります。
もちろん、Webがデジタルマーケティングに活用できている局面は増えてきたと感じるのですが、うまくできているところは10年前からちゃんとやっている会社ばかり。
しかもそのアプローチは、他者を出し抜いてうまくやるイメージではなく、顧客にも世間にも自社にも都合がいいコミュニケーションを展開できているところに限られているようです。
Webのトレンドが変わるというより、時代にあった事業のスタイルや経営方針がWebの使い方を変えさせているのかもしれません。
2. 「PMBOK」〜プロジェクト型のビジネス経験
2つめのキーワードは「PMBOK」(ピンボック:Project Management Body Of Knowledge)です。
変わってきたことの一つに、多くのビジネスの中で「定形型」ではない、「プロジェクト型」の業務機会が増えてきたことが挙げられます。
弊社の仕事は基本的にプロジェクト型なのであまり気になりませんが、企業のWebサイトを担当される方やリニューアルに携わる方にとって「プロジェクト型」の業務は初めてであることが多かったと思います。
企業サイトが世に生まれてから25年ほどが経ち、「リニューアルは2回目です」「3回目です」という方もすこしずつ増えてきました。そこで、「PMBOK」の出番というわけです。
プロジェクトに関する知識体系「PMBOK」
「PMBOK」は、Webに限らずプロジェクト型の業務に必要な知識体系をまとめたものです。
プロジェクトと聞くと内心「うまく行かなそう〜」とか「お祭り騒ぎに終わりそう〜」というイメージを持つ方も少なくないのではないでしょうか。
きちんと計画されていない、あるいは管理されていないプロジェクトが多い組織では、プロジェクトが成功することは稀でしょう。
体系的に学習したことはないけど、数々のプロジェクト型の取り組みで失敗を経験し、痛い目にあっている方にはWikipediaの説明を読むだけで、「あ〜」と膝を打つような感覚があるかもしれません。
2019年に脚光を浴びる(ことになるかもしれない)キーワードの一つだと思います。
Webサイトのリニューアルと相性が良い「PMBOK」
企業のWebサイトリニューアルとPMBOKは抜群に相性がよく、教科書に当てはめて進めていけるところも多いのです。
特に「プロジェクトの計画」の部分と「スコープの管理」は、関係者のみなさんに理解を深めてもらうことにより、プロジェクトの成功率が格段に上昇します。
プロジェクトマネジメントについては当ブログでもいくつか記事を書いていますので、ご覧ください。
参考記事
3. 「HCD」〜設計(デザイン)は人間中心へ
3つめのキーワードは「HCD」です。
HCD(エイチシーディー:Human Centered Design)とは、使う側の視点でさまざまなモノや仕組みを設計・改善していく取り組みです。
以前はユーザー中心設計という言い方をしていたのですが、適用範囲はプロダクトやITのシステムに限らず、さまざまな面へ応用されています。
弊社の仕事ではHCDの設計アプローチとして、ユーザーの観察であったり業務要件のヒアリングとしてデプス・インタビューを行い、通常のヒアリングでは引き出すことの出来ないニーズを引き出すことがあります。
これは、設計にあたりもっとも重要な要素が「インプット」だからです。プロフェッショナルとしての経験則によって素早く解決にたどり着くこともありますが、条件の大半が異なる局面では経験則よりも「インプット」のほうがはるかに重要です。
リニューアルのプロジェクトにおいても、社内の意見や要望だけで進めると結局「誰のためのWebサイト?」という疑問を残して終わりかねません。
BtoB企業の場合でも、せめてお客様をよく知っている可能性のある営業の方にヒアリングを重ねるべきでしょう。
4. 番外編:「昭和のWeb」は組織の問題
「昭和のWeb」というのは大げさであって、昭和の時代にWebなんてないわけですが、「昭和の感覚」を彷彿とするWebサイトというのは存在します。
例えばパンフレットやカタログなどの印刷物のデジタルデータをWebサーバーにおいて、ブラウザでアクセスさせる状態が「昭和」を彷彿とさせるのでしょう。これでは「デジタル書類棚」でしかありません。
この状態は実はWebサイト単体の問題ではなく、その状態が長い間放置されていること自体が問題なのかもしれません。
企業のWebサイトには多かれ少なかれ、組織の姿が鏡のように映し出されてしまいます。
逆にWebサイトに問題がある場合は、その原因を突き詰めていくことで、組織のパフォーマンス改善の糸口が見えるかもしれません。
平成の30年間、昭和の文化を引きずってきた組織も少なくないのではないでしょうか。
インターネットの歴史と重ね合わせると、平成後半の変化が目指したものを取り込んできたかどうかが分かれ目のような気がします。
平成元年から5年ごとにピックアップするとこんなことがありました。
- 1989:平成元年 アメリカ合衆国で商用のダイヤルアップインターネット接続開始
- 1993:平成五年 Mosaic ウェブブラウザ登場
- 1998:平成10年 Windows 98 発売、Google 創業、以降インターネットバブル
- 2003:平成15年 iTunes Music Store、Linkedin、Myspace、Skype サービス開始
- 2008:平成20年 Apple AppStore、Twitter 日本語版、NHKオンデマンド サービス開始
- 2013:平成25年 首相官邸が Facebook ページ開設
2019年はぜひともみなさんで力を合わせPMBOKとHCDに注目し、昭和のWebを駆逐すべく、企業・組織を良くするためにWebをツールとして活用して行きましょう!
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