【全5回配信】デジタル戦略によって実現される、顧客経験価値の創造【3】事例(無印良品・IBM)から見るソーシャルメディアを活用したエクスペリエンスデザインの潮流
ソーシャルメディアを活用したエクスペリエンスデザインの潮流について説明します。
2011年8月1日 14:34
価値共創とは
C.K.PrahaladとVenkat Ramaswamyは、2004年に発刊された『The Future of Competition』(日本語訳版『価値共創の未来へ-顧客と企業のCo-Creation』)において、「価値共創」の概念を提起しています。(以下参照) “ここでの価値共創とは、個々の消費者と有意義な(その消費者にとって有意義な)交流をし、その交流をとおして価値を生み出していく営みなのだ。製品やサービスでなく、共創経験を基盤として、各人にユニークな価値をもたらす。” “企業が何百万人もの消費者とのあいだで多彩な共創経験を生み出すための、枠組みが求められているのだ。この枠組みを経験環境と呼ぶことにする。” “経験環境は、少なくとも以下の条件を満たさなくてはならない。- 消費者の必要に応じて、特定の状況のもとで特定の時間に、経験を共創する機会を提供できる。
- 洗練度の高い積極的な人々から洗練度が低く受け身の人々まで、多種多様な消費者に対応する。
- 積極的で賢明な人々を含めて、すべての消費者が常に共創を望んでいるわけではない、という点をこころがけておく。受け身で消費だけしているのが心地よい人々もいるのだ。
- 新技術によって可能となる新しい機会に目を留め、その実現を目指す。
- 消費者コミュニティの参加を歓迎する。
- 消費者を理屈で動かすだけでなく、感情にも訴えかける。
- 共創経験の技術面だけでなく、組織や人間関係も理解する。”
価値共創のプラットフォームとしてのソーシャルメディア
ソーシャルメディアは、C.K.PrahaladとVenkat Ramaswamyが提起した「価値共創」実現にあたって必要とされる「経験環境」提供のためのプラットフォームと言うことができます。『The Future of Competition』が発刊された2004年当時、ソーシャルメディアは、ブログや顧客コミュニティ等に限定されていましたが、ソーシャルメディア全盛の現時点において実現しているデジタルな「経験環境」の本質を見事に予見していたと言うことができます。 前回までのコラムで解説したスターバックスコーヒー、ユニクロ、ルイヴィトン等のエクスペリエンスデザインの先進企業は、同時にソーシャルメディア活用の先進企業でもあります。ソーシャルメディアの活用方法とその目的は各社各様ですが、これらの企業に共通しているのは、顧客とのインタラクティブなコミュニケーションを通じての「共創経験」の創出を最大の目的にして、ソーシャルメディアを顧客とのコミュニケーション深化のための手段にとどまらず、顧客とともに新らしい価値を生み出していくための重要なツールとして位置づけていることです。そして、それが各社におけるエクスペリエンスデザインの大きな特徴となっています。無印良品のソーシャルメディア活用とエクスペリエンスデザイン
無印良品は、国内358(直営店238、商品供給店舗121)、海外134のリアル店舗を展開しています(2011年2月末現在)。無印良品は、ユニクロ等とともに日本におけるソーシャルメディア活用のトップ企業の一つです。Facebookの公式ファンページのファン数は4.1万人、TwitterのMUJI.Netアカウントのフォロワーは10.5万人となっています(2011年5月5日現在)。無印良品は、Facebook公式ファンページのオープンにあたり、あらためて「双方向コミュニケーション」の必要性をアピールしています。(以下参照)- “現在、国内コミュニティサイトの会員(無印良品メンバー)は延べ300万人を超え、様々なご意見をいただいていますが、双方向コミュニケーションとして開示される情報はごく一部に限られております。この度、世界に5億人強のユーザーを誇るソーシャルサイト・Facebookに公式ファンページをオープンすることで、世界中の人々と地球大での双方向コミュニケーションの拡大を図ります”
(2010年10月1日付良品計画ニュースリリースより)
IBMのソーシャルメディア活用とエクスペリエンスデザイン
IBMは、Smarter Planetキャンペーンの推進に多様なソーシャルメディアを活用しています。Smarter Planetキャンペーンは、リアルとデジタルを融合したコミュニケーションプログラムで、様々な分野でSmarter Planetを構築するにあたってIBMが提供できるテクノロジーやノウハウをアピールするものです。 Smarter Planetのポータルサイトでは、カラフルでユニークなデザインの20数個のアイコンによってSmarter Planet構築対象の分野別のサブサイトにリンクが張られています。そして、このポータルサイトを起点として様々なソーシャルメディアを活用したコンテンツが展開されています。 これらの印象的なアイコンを中心とするキャンペーンのビジュアルデザインを担当したデザイン会社Officeによると、一連のデザインワークにあたって、以下のようなチャレンジが行われました。- まず、Officeのチームは、以下のような問いかけを行っています。 ・どうやって人々の注意を引きつけ、そのことについてもっと知りたいと思わせるために何かを創造できるのか? ・どうやって明解なビジュアルコンセプトの本質を抽出すればいいのか? ・Smarter Planetという大きく複雑な課題をどうやってアプローチ可能なものとして表現すればいいのか。
- そして、Officeのチームは、大胆さと明解さ、それに加えて人々との感情的結びつきを創造するきらめきを持っていたIBMの過去のデザインのクリエイティブビジョンに触発され、それらをチームの推進原理としたということです。
- “ソーシャルメディアによって、数えきれない顧客や一般市民から彼らが何を考え、何が好きで、何を経験したのかをリアルタイムで教えてくれる。こうして得たデータから実用的なインサイトを引き出し、Smarter Planetの構築に活かしていく。”
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