LINEヤフーが掲げる「Connect One構想」、LINE公式アカウントの役割と今後のアップデートについて

LINEヤフーは企業のマーケティング担当者などを対象としたイベントを5月28日・29日に開催。Connect One構想の実現に向けた取り組みについて語った。

LINEヤフー株式会社は、企業のマーケティング担当者などを対象としたイベント「Hello Friends! W!th LINEヤフー」を5月28日・29日に開催した。初日のキーノートでは、LINEヤフーの池端由基氏(マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCEO)および二木祥平氏(マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCPO)が登壇。同社の「Connect One構想」の実現に向けた取り組みと今後のアップデートについて説明した。

5月28日・29日に開催された「Hello Friends! W!th LINEヤフー」

Connect One構想の実現、LINE公式アカウントを中心とした連携の重要性

池端氏によると同社は「企業と生活者(顧客)の接点に存在し、そのつながりを良くするためのサポートを行っている。日本全国で利用されているサービスを提供しているからこそ、私たちにしかできないことがあるのではないか、という意志で取り組んでいる」と説明する。

LINEヤフーの池端由基氏(マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCEO)

そして、そのつながりの中心を担っているのが「LINE公式アカウント」であり、企業・店舗と顧客との関係性をより深めるために、顧客データを収集・分析し、顧客体験につなげることが重要だという。

また、ブランドへの信頼・愛着を持ってもらう「Loyalty:ロイヤルティ」、顧客生涯価値に結びつく「LTV(Life Time Value):ライフタイムバリュー」、ブランドを啓もうしてもらう「Ambassador:アンバサダー」、この3つのキーワードが関係性の強化に必要なもので、これを実現するのが、2023年10月に同社が発表したConnect One構想になる。

具体的には、LINEヤフーの持つさまざまなアセットをLINE公式アカウントを中心に連携することで、顧客とのつながりから、広告、CX・DX、コマース・予約、CRM、販促、データ分析や活用、顧客体験まで全てのコミュニケーションを1つのプラットフォームで提供するという構想になる。

LINEヤフーが掲げるConnect One構想の概要

私たちのプラットフォーム上で顧客と良い関係を築いていくためには、LINEヤフーという場所が信頼に値するものであり続けなければいけない。ユーザーを守るために、広告審査の強化、LINE公式アカウントの認証化の推進強化について、今後も取り組んでいく(池端氏)

強化するのは「顧客接点の強化」「顧客体験の向上」「データ活用基盤の充実」

続いて、二木氏がConnect One構想の実現に必要な「顧客接点の強化」「顧客体験の向上」「データ活用基盤の充実」の3つの領域からの取り組みとプロダクトのアップデートについて説明した。

二木祥平氏(マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCPO)
「顧客接点の強化」「顧客体験の向上」「データ活用基盤の充実」の3つの領域から行う取り組み

顧客接点の強化

顧客接点の強化に欠かせないというLINE公式アカウントは2012年にリリースされた。最近ではCookieレスの代替ツールとしての認知も進み、アカウント数は増加しているという。LINEヤフーになったことで、Yahoo! JAPANの各種サービスとの連携で多くのユーザーとつながることができるようになった。たとえば、Yahoo!検索の検索結果やYahoo!マップ、Yahoo!プレイスでは友だち追加ボタンの表示が可能になった。

また、2024年内にLINE公式アカウントの情報を検索結果などさまざまなサービス面に表示する予定だ。LINEウォレットタブでは、地図情報やお知らせ情報、Yahoo!プレイスではLINE公式アカウントのクーポン情報が表示されるようになる。

2024年内にLINE公式アカウントの情報を検索結果などさまざまなサービス面に表示する予定

LINEスタンプについては企業向けプロダクトとして、無料もしくは友だち追加を条件にユーザーに配布できるスポンサードスタンプがあるが、低予算で試したいという声もあったことから、最低出稿金額12,500円からスタンプを配布できる「LINE PRスタンプ」の提供を開始した。また新たに、企業が絵文字をユーザーへ配布できる「LINEプロモーション絵文字」の提供も予定している。

LINE公式アカウントで最も使われているという「友だち紹介クーポン」については、8月に新機能を提供する予定だ。具体的には、すでにLINE公式アカウントと友だちのユーザーが別のユーザーに紹介クーポンをシェアし、紹介されたユーザーが友だち追加でクーポンを獲得すると、紹介したユーザーもクーポンを獲得できるというものになる。

顧客体験の向上

顧客体験の向上に関係するという「LINEミニアプリ」は、LIFF(LINE Front-end Framework)上で実行されるウェブアプリで、ユーザーはアプリをインストールしなくてもサービスを利用できる特徴がある。サービスリリース以降、登録アプリは14,000件超で月間アクティブユーザー(MAU)は970万人超になる。パートナーの増加とともにアプリ機能も増えており、デジタル会員証、モバイルオーダー、順番待ち、サブスクリプション、シェアリング、サービス予約・商品の受け取り、販促キャンペーンなどの機能を備えるようになった。

2024年内を予定として、LINEミニアプリは審査なしで利用できるようになるほか、LINEアプリ内からのアクセス導線、ユーザー情報の自動入力、アプリ内課金機能、LINEミニアプリストアへの掲載など、さらに使いやすくするためのアップデートを行う予定だという。

2024年内に実施予定のLINEミニアプリのサービス内容

続いて、二木氏はLINE上で会員登録不要で店舗の予約ができるサービス「LINEで予約」について説明した。予約されたデータはLINE IDと紐付くため、再来店のキャンペーンを通して月間予約数は昨年比144%に伸びているという。

導入企業である串カツ田中では、予約数は昨年比で133%、人件費率2.8%の改善が見られた。また、カラオケ館の事例では、予約数は昨年比4.5倍に伸びたほか、LINE経由での予約数が増加し、電話予約の問い合わせが減少することで工数削減にもつながった。

LINE公式アカウントのメッセージ機能についてもアップデートを行うという。2024年9月以降に誕生日など、自動配信のトリガーとなるユーザーの情報や行動でメッセージを配信する「きっかけメッセージ」の機能を提供する予定だ。

さらに、LINE公式アカウント上で月額課金制の会員サービスを提供できる「メンバーシップ」機能について、メンバーシップ加入者会員限定で参加できるオープンチャットを8月以降に提供する予定だ。

データ活用基盤の充実

続いて、データ活用基盤に関する取り組みについて、二木氏は「人間同士のコミュニケーションは相手をよく知る上で大切だが、同じ文脈でデータの質も大切になる」と説明。「ChromeのサードパーティCookieのサポート終了など、このようなことが起こるなかでさらに重要になるのではないか」という。

これまで、LINEでは属性データ、広告データ、予約データなどのサービスデータの活用が可能だった。また、ID連携を行うことでLINEのユーザーIDと各企業の持つファーストパーティデータの活用もできる。

LINEとヤフーが合併してからは、Yahoo! JAPANの検索データなども活用可能になった。このような取り組みを進めるのが、Yahoo! JAPANとLINEのアカウント連携で、現時点の連携数は2500万件になるという。プラットフォームを横断したデータ活用はすでに行われており、Yahoo! JAPANのデータを活用したLINE公式アカウント、LINE広告への配信を2024年から開始している。

LINEヤフーになってから可能になった各サービスとのデータ連携

最後に二木氏は、Connect One構想の実現に向け、これら3つの取り組みを続けながら「ユーザーファーストのマーケティングソリューションを作っていきたい」と意気込みを語った。

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