キャッシュレス化への“予測と期待”に、男女で落差。かなり辛口な雰囲気も【博報堂調べ】
博報堂は、消費税増税にともない「キャッシュレス決済」に関する調査結果を発表した。Fintechサービスに関する意識・行動の調査研究を行うプロジェクト「博報堂フィンテックスベース」(HFB:HAKUHODO Fintex Base)と博報堂金融マーケティングプロジェクトによる共同調査となる。
「モバイル決済サービス(携帯電話を接触させたり、コードを表示したりして決済を行うサービス)」を含む「キャッシュレス決済」全般について、全国20~69歳の男女2万人を対象に、意識や利用実態、今後の期待・展望を聴取している。
10月の消費税率引き上げで、モバイル決済の利用が上昇
1か月以内に何らかの支払い・決済を利用した人に、「最もよく利用した決済手段」を聞くと、「モバイル決済」が6.5ポイント増加し9.7%、「現金」は6.4ポイント低下し45.6%だった。
「モバイル決済サービスを利用したことがある」と答えた生活者は35.9%。前回調査(2019年3月)の20.0%から15.9ポイントの増加となった。決済手段の内訳で見ると、やはりPay系に代表される「QRコード決済」が9.0→27.6%と大幅増を見せている。
10月の消費税率引き上げに伴う「キャッシュレス・ポイント還元」について認知を聞くと、「知っていた」と回答した人は、9割超。一方、還元事業が始まったことを受け、「キャッシュレス決済を利用し始めた/増やした人」26.6%、「今後利用を始めたい/増やしたい」43.0%で、行動意向に変化は見られるものの、認知ほどは高くはない。
キャッシュレス化への“予測と期待”に男女で落差
日本におけるキャッシュレス化について、「今後進んでいくと思う 」(とてもあてはまる+ややあてはまるの合計)は全体の68.1%。性年代別の最多は女性20代で78.6%だった。一方、「進むことを期待している」は全体の47.5%。男性では過半数の53.5%が期待していたが、女性は41.8%と半数を下回った。“予測と期待”について男女で落差があるのが興味深い。
最後に、「キャッシュレス化の進展により、具体的に期待する生活の変化/社会の様子」について聞くと、「生活の変化」では、「1つの決済ツールで国内外あらゆる支払いが完結する」45.7%が最多。「社会の様子」では、「お金を扱う人間の手間や時間が削減された社会」43.9%が最多だった。一方で「期待することはない」が、ともに2割を超えている。
鳴り物入りで始まったキャッシュレス・ポイント還元事業。キャッシュレス決済の普及が期待されていたが、ユーザーはかなりシビアに現状を見ている雰囲気が伝わってくる。キャッシュレス決済が今後広がっていくのは間違いないが、期待をどこまで実現できるか、期待していない人たちをどこまで取り込めるかがカギだろう。
調査概要
【調査対象】20~69歳の男女
【調査期間】スクリーニング調査:2019年10月15日~18日、本調査:2019年10月17日~18日
【調査手法】インターネットパネル(マクロミル) を利用した定量調査
【サンプル数】スクリーニング調査:20,000サンプル、本調査:1,860サンプル
※エリア別のモバイル決済サービス利用者の性年代構成比でウエイトバック して集計・ 分析
※今年度は生活者のみを対象に実施。
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