中小アパレルECサイトは、「特集ページの強化」で効果的にCVR改善できる【WACUL調べ】

サイト分析・改善提案サービス「AIアナリスト」を使い、アパレル業界のECサイト20サイトを調査。

WACUL(ワカル)は、研究レポート「ECの競争激化とSEO依存の限界への提言」を発表した。AIによりサイト分析・改善提案を行う同社サービス「AIアナリスト」を使い、アパレル業界のECサイト20サイトを分析した内容だ。

競争激化するEC、集客SEOへの注力が必然に

ECの市場規模は近年も拡大が続いているが、参入障壁の低下による競争激化、Googleのコアアルゴリズムアップデートへの対応といった観点から、とくに「集客」に関する懸念が増加している。SEOは、各種広告施策やコンテンツマーケティング等に比べて安価な集客手段であり、中小規模ECでは集客のためSEOに注力すべき必然性が高まっていると考えられる。物販最大分野であるアパレルのECにおいても、SEOは集客の柱となっている。

こうした考えのもと、本調査ではアパレルECサイトを、商品ラインアップ・販売形態によって6種に分類。総合通販型・流通系通販型を除く4種において、EC利用経験率が高い20代・30代をターゲットにしているサイトを中心に、20サイトを選出して調査対象とした。

 

中小規模ECは、「商品一覧」へのトラフィックを増やすSEOが重要

まず実際に「AIアナリスト」に登録されたアパレルECの20サイトの流入元比率を調査したところ、「自然検索」が30%を占めていたという。これは大きな比率であり、広告やコンテンツマーケティングより、安価に実行可能なSEOが重要という考えのベースだと言える。

 

入り口ページの流入比率を見ると、「トップページ」30.6%と「商品一覧」31.6%が大きく、あわせて6割を超える。大手ECサイトなら「トップページ」でブランド認知施策なども行えるが、中小規模ECでは“SEO強化によって非指名検索から「商品一覧」へのトラフィックを増やすことに注力すべき”とWACULは指摘している。

「アパレル専門通販型サイト」が苦戦、訪問数が大きく減少

次に、アパレルEC20サイトについて、入り口ページの訪問数・CVRの年次変化を計測したところ、半数の10サイトで商品一覧への訪問数が前年より減少していた。「自然検索に占める割合」で比較した場合、2017年:31.56%から2018年:30.59%と、0.97ポイントの減少だ。

 

種類別で訪問数を見ると、自社企画・生産のアパレル製品をオンラインでのみ取り扱う「アパレル専門通販型サイト」の減少幅が大きく、流入比率が1年間で7.7ポイント減少していた。とくに「スカート」や「シューズ」といったアパレルの一般的なカテゴリの一覧ページにおいて、トラフィックが減少していたという。

 

この原因についてWACULでは、「店舗販売主体型と異なり、非指名検索による流入において不利である」「Googleが“消費者の選択肢の多さ”を重視していた場合、大型モールサイトと比較して商品数が相対的に少ない専門通販型サイトは不利になる」という2点が原因ではないかと考察している。

一方で、ファッションモール型ECサイトに大きな減少がないのは、商品点数が多いため、一覧ページと詳細ページが増え、自然検索からの流入が安定発生していると考えられる。店舗販売型ECサイトは、自ブランドの認知を高めるのが簡単で、「ブランド名 商品ジャンル名」といった組み合わせでの検索成果があるためと考えられる。

「SEOを考慮したサイト構造の最適化」と「特集ページの強化」でCVRを改善

こうした状況への対策としてWACULでは、ページを増やす施策は中小では難しいため、「SEOを考慮したサイト構造の最適化」を推奨している。さらにサイト構造への着手も難しい場合であれば、「特集ページの強化」でCVRを改善すべきだとしている。

「商品一覧ページ」の平均CVRは0.61%であり、入り口ページの3つのなかでもっとも低い。そのため、集客を改善して商品一覧ページへのトラフィックを増やしても、なかなか商品購入に結び付けられない、という事態に陥る。

 

逆に、「特集ページ」は経由ページのなかでもCVRが高い。専門通販型サイトとセレクトショップ型サイトにおいて、個別の特集ページを経由した場合とそうでない場合のCVRを計測したところ、特集ページを経由した場合のCVRが3.15%に対し、経由なしの場合は1.19%に留まっていた(流入元は自然検索で入り口ページは限定せず)。このことから、特集ページに注力し積極的に経由させることで、CVRを効果的に改善できると考えられる。

 

特集ページを経由させるには、特集ページ数そのものの追加、内容の改善のほか、トップページ・商品一覧ページを訪問したユーザーを特集ページへ誘導するのが効果的だと、WACULは考察。「特集にリンクするバナーを商品一覧ページに増設し、流行に沿った商品提案を行う」といった施策を提案している。

なお、詳細な調査レポートはWACULのページで確認できる。

調査概要

  • 【調査対象】「AIアナリスト」に登録されたアパレル業界のECサイト(総合通販型・流通系通販型を除く)
  • 【調査期間】2017年9月~2018年10月
  • 【調査方法】調査ツールとしてAIアナリスト「WACUL」を使い、対象サイト群を分析。CVは「商品購入完了」に設定。
  • 【対象数】20サイト(全登録数約28,000サイト)
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