Google Analyticsの解析データを他社サイトと比較するベンチマークサービス開始

グーグルは、同社のアクセス解析サービス「Google Analytics」において、自サイトの解析データを、同業他社のサイト群と比較できる「ベンチマークサービス」の機能をベータ版として追加したことを3月5日に発表した。

このベンチマークサービスを利用するには、自サイトのアクセス解析結果のデータを共有する必要があるため、自動的に利用できるようにはなっていない。ベンチマークを利用したい場合、Google Analyticsの管理画面から「データ共有」のオプトインを行う必要がある。

Google Analyticsの[Anakytics設定]画面にアクセスすると、このような「Google Analytics のデータ共有設定」のお知らせが出ているはずだ。ここからデータ共有にオプトインできる。
お知らせの画面で[他のデータ共有オプション]をクリックするか、お知らせを消してしまっている場合でもAnalytics設定画面にある[アカウントとデータ共有設定の編集]リンクをクリックすると、いつでもデータ共有設定を変更できる。

ベンチマークサービスは、データの共有にオプトインしているサイトのなかで「同様のカテゴリ」の「同様のサイズ」のサイト群と、自サイトのデータを比較する機能。

グーグルのヘルプに以下のように示されているように、

Google では、お客様のサイトを特定できるすべての情報を削除した上で、同業の幾百もの匿名サイトのデータとお客様のデータを統合し

特定のサイトと比較できるわけではなく、カテゴリとサイズで分けられ統計処理された「サイト群」との比較になる。

現在のベータ版では、以下のデータについて、ベンチマークデータと比較できる。

  • 訪問数
  • ページビュー数
  • セッションあたりのページビュー数
  • 直帰率
  • 平均サイト滞在時間
  • 新規セッション数
ベンチマークの例

前述のように、ベンチマークデータを利用するには、自サイトのデータを「共有」する必要がある。他のサイト群の情報と比べたいけれども自サイトのデータは他社が参照できるサイト群に含めたくないというのはNGだ。

もちろん、他社が「これがWeb担の解析結果」とわかる形でデータを参照できるわけではないが、データ共有に一度オプトインすると、あとからオプトアウトしても、その間に共有されたデータは削除されないとのこと。

また、共有されたデータは、ベンチマークデータに含まれる以外にも、今後グーグルがサービスを向上したり、新たな機能を開発したりするために利用することも明示されている。

こういった機能の例としては、近々リリースされる予定の「業界ベンチマーク」やアドワーズ広告のコンバージョン最適化ツールの強化バージョンなどがあるが、新しい機能は、データ共有にオプトインしたユーザーにのみ提供される予定。

そのため、データ共有に関しては、ベンチマークデータには自サイトのデータは含めないが、グーグルにのみデータを共有する(この場合もサイトが特定される情報を削除して統計処理された形での共有となる)オプションも用意されている。

当然のことだが、データ共有へのオプトインしても、検索結果ページでの順位やキーワード広告の掲載順位などに一切影響はないとされている。

検索エンジンマーケティング業界では、グーグルやヤフーがアクセス解析などのサービスの情報を利用していないはずがないという意見が多かった。今回のデータ共有ポリシーにより、グーグルがGoogle Analyticsのデータを参照する許諾をユーザーから得るということは、今後、Google Analyticsのデータがさまざまな形で利用することを明らかにしたのだとも言える。実際、グーグルは、共有されたデータを「Google Analyticsの改善に役立てるため」ではなく「グーグルのサービスを改善するため」に利用すると明示している。

オンラインマーケティングの巨頭であるグーグルにこういった形でデータを利用する許諾を与えてしまうことに関して危惧する人もいるかもしれないが、そういったことを考慮しても、今後リリースされるとしている「業界ベンチマーク」などの魅力には勝てないWeb担当者は多いのではないだろうか。

ちなみに、ネットレイティングスは同様に、同社の提供するアクセス解析サービス「SiteCensus(サイトセンサス)」のデータを他のユーザーと共有するという、同様のサービスを2004年より提供している。グーグルのベンチマークサービスでは、比較対象がどのサイトのものなのかはわからないのに対して、ネットレイティングスのサービスではどの企業のサイトのデータが共有されているか明らかになっているなどの違いはある。

多くの企業にとって、自社サイトのアクセス状況に関するデータを公開したり他社と共有したりすることに対する抵抗感は、まだまだ強いことだろう。しかし、ブログ界では、自分のブログのアクセス解析情報や、アフィリエイトでよく売れた本などの情報を公開することは多い。今回のグーグルのベンチマークサービスによって、「みんなどうなんだろう」がより明確にわかるようになるのは、業界全体にとっても良いことではないかと思われる。

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