大企業・中小企業別! デジタルマーケティング組織のよくある課題を解決

デジタルマーケティング組織のよくある課題を「大企業/中小企業」で分け、その解決策となるヒントを提示していきます。
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 2023/7/7 7:00 |

デジタルマーケティング組織の役割は、点在している顧客情報の整理、顧客の行動履歴を活用した施策の実施、デジタルコンテンツを利用した新たな顧客接点の構築、BIツールを活用した社内レポート共有など多岐にわたります。

しかしながら、「デジタルマーケティング専門組織」は、限られた企業にしか存在せず、多くの企業はこれからデジタルマーケティング組織を作っていこうという段階です。

一方、デジタルマーケティング専門組織がある企業においてもさまざまな課題を抱えているケースが散見されます。今回は、デジタルマーケティング組織のよくある課題を「大企業/中小企業」で分け、その解決策となるヒントを提示していきます。

企業規模別デジタルマーケティングの実態

大企業、中小企業別で見るデジタルマーケティング組織の課題を下図にまとめました。

企業別よくある課題を整理した図

企業規模の大小にかかわらずスキルの属人化と異動・退職リスクは常につきまとう課題です。さらに中小企業では、人材の質と育成、組織の地盤固めも課題となる傾向があります。

各課題の根本的な解決は組織改革を伴うため、本記事では、部門単体で完結できる解決案を提案していきます。

大企業・中小企業 共通の課題

課題① 属人化問題と退職・異動リスク

属人化した組織の場合、キーマンの離職または異動がトリガーとなり組織崩壊につながる話をよく聞きます。また抜けたメンバーと同レベルの人材確保もすぐには難しく、育成にも時間がかかるのが実情です。属人化問題と離職・異動問題は連動しているため、属人化を解消することで異動によるリスクを減らすことが可能です。

課題傾向 担当者しか業務内容がわからない
解決策案 スキルチェックシートの作成

属人化解消の解決策の一例として、次のような方法が考えられます: 

  1. スキルチェックシートで必須スキルを把握
  2. スキルの穴を埋める、2名(以上)体制を作る(ことを目標とする)

現状把握用にまず、自社のデジタルマーケティング組織に必要なスキルを棚卸し、それをチェックシートとしてまとめます。次にメンバー個人のスキル習得状況を確認し、組織全体として、スキルチェックシートで穴ができないようにメンバーのスキルを標準化していきます。

さらに、チェックシートに記載されている項目には、できるだけ2人以上がそのスキルを有することを目標とします。この場合、メインとサポートの2名体制をイメージしてください。ちなみに、サポートメンバーの「対応できる」レベル感は、マニュアルを見て一人で対応可能であるレベル感を目標にすると良いでしょう。

属人化問題の解消は、一朝一夕で対応できる話ではありませんが、どんな職場でも発生しうるリスクです。まずは現状把握から始めてみましょう。

大企業(1,001人以上の会社)が抱えやすい課題

課題② 縦割りで自社部門以外の業務にかかわることが少ない

大企業の場合、広告配信、サイト分析、コンテンツ制作など業務別や、運営サイト別に細分化されており、縦割りで自業務以外の部分に関わることが少ないケースがあります。この課題は、デジタルマーケティング組織の重要性を経営層も理解している大企業でよく見られるパターンです。

縦割り組織の弊害として、部署を横断する施策が発生した場合、部署間の社内調整に時間がかかることが多く、さらに組織の組み直しの影響でドキュメント管理方法が都度変わり、ナレッジ共有が困難になりやすい傾向が強いです。

課題傾向 社内調整に時間がかかる
解決策案 ファシリテーターの育成

デジタルマーケティング組織限定の課題ではないですが、縦割り組織の改善策を提案するならば、ファシリテーターの育成が挙げられます。

司会進行と混同されやすいですが、本来ファシリテーターとは会議のゴール設定、中立的立場からの異なる意見のすり合わせなど、多岐にわたるスキルが必要となる高度なビジネスポジションです。特に部署横断プロジェクトの場合、異なる組織体のメンバーの業務の隙間を縫ってようやく集まったのに「結局あの会議はなんだったのか?」と、意味のない時間になってしまっては元も子もありません。

異なる組織間の意識を同じ向きに整える役割を担うファシリテーターの存在は、社内調整を進める上で非常に重要です。まずは、会議始まりに「本会議の目的」を宣言することから試してみましょう。

課題傾向 ナレッジ共有が困難
解決策案 ノウハウを共通のフォーマットにする

ナレッジを共有するための共通フォーマットを使うことで、各組織の情報共有のスピードが上がり、組織改編が起こったとしても、フォーマットが統一されていることでノウハウの共有は問題なく展開できるようになります。

実は、筆者が所属する組織でも業務ごとに組織が分かれている縦割組織、かつ組織横断の案件が多数発生していました。特に、部ごとにフォーマットが異なるため各部のノウハウ内容のレベルに差が出ていることが課題となっていました。本課題解消を目的として、2年前から各部署の業務内容とナレッジを統一フォーマットに落とし込み、誰でもすぐに確認できる環境構築を推進しています。

課題③ べンダーコントロールやプロジェクト管理が主な業務になっている

大企業の場合、大きなプロジェクトから簡易な運用まで、外注やベンダーに依頼することが多く、デジタルマーケティング施策を考えるより管理業務が主となることがあります。そのため担当者が豊富なデジタルマーケティング知識や華々しい経歴を持っている一方で、実際に手を動かした経験が少なく、社内に現場経験値(※)が貯まりにくくなり外注、ベンダー依存が強くなりやすいです。

(※)現場経験値=データ構築や、広告しきい値の設定など、経験値から判断を必要とする業務全般を指す

課題傾向 現場経験値が貯まりにくい
解決策案 納品物を現場経験値の代替として整備する

代理店、外注先はその道のプロなので、わからないことを遠慮なく聞き担当者自身のスキルアップに活用している方も多いそうですが、企業側からすると、企業としてPJT管理以外の経験値が貯まりづらいことがリスクとなっています。

常に同じ制作会社や代理店に依頼できるとは限らないため、「納品物=現場経験値の代替」である事を管理側が理解しましょう。たとえば、代理店の手法や運用から学ぶことは多いため、どのような判断で広告を選定しているのか、出稿のしきい値の判断方法などを納品物に記載してもらい、納品物内でも知見を把握できるように内容の整備を始めてみましょう。

また、納品物として入手した情報を正しく社内ナレッジに昇華できるかがキーとなるため、放置せず都度整理しておくフローを確立させましょう。

中小企業(1,000人以下の会社)が抱えやすい課題

課題④ マーケティング組織内でデジタルマーケティング業務ができる人員が少ない

従業員数300名規模の企業でも、マーケティング組織の人員は部長と担当者1~2名といった規模感が多いです。そのため担当自身の業務範囲が広く繁忙で後進の育成に手が回らず、メンバー育成環境の構築ができず人も増えない、最終的に業務過多のため社員の不満が高くなり、休職・退職が発生しやすい環境となり、負のスパイラルに陥りがちです。

課題傾向 休職・退職が発生しやすい状態
解決策案 外注を利用する

共通課題で提案した属人化対策と同じ考え方ですが、プラスして外注の活用を視野にいれてみてはいかがでしょうか。外注を利用する事で業務負荷が軽減され、マニュアル作成などリスク対応にまで着手できる余力を作ることができます。また外注のサービスによっては、内製化支援までフォローしてくれるサービスもあります。

人員が少ないからこそリスク回避を念頭に動く必要があり、各自がフォローし合える体制になる事で、組織として余裕が出てきて健全な状態となることが期待できます。

課題⑤マーケティング専門部署がなく、他部署が兼務している

デジタルマーケティングの基本的スキルはなく、手探りで(Web系はセキュリティが絡むため情報システム部署が)兼任するケースが多くみられます。

恐らく、デジタルマーケティングの必要性を感じ、お試しで組織を作ったと思います。しかし、組織を作ったことに満足してしまい、運用も兼任で回せているから問題ないと作りっぱなしにし、デジタルマーケティングの施策から得られる効果(集客、コンバージョンなど)が正しく発揮できているか確認しないまま放置してしまっているケースもあります。その場合、いつまでも組織の社内価値が上がらず、予算や人員も満足に確保できない状態となり、せっかく作ったデジタルマーケティングチームが先細りしてしまいます。

課題傾向 本来のデジタルマーケティングパフォーマンスが発揮できない
解決策案 デジタルマーケティングの成功事例を知る

根本的問題は「デジタルマーケティングチームを作った」という満足感で終わり、次のアクションに繋がる目標を立て忘れてしまいがちになることです。まずは、正しく社内に価値貢献できているかを図る『指針』を設定しましょう。そのためには「なぜデジタルマーケティング組織を社内に作るか」、「社内にデジタルマーケティング組織があることで期待できる効果」を明確にします。

施策効果を正しく評価できない状態が続くと、デジタルマーケティング自体に価値を見出せなくなり、結果的に社内での重要性が低下してしまいますが、逆に期待値が大きすぎるのも正しい効果判定を難しくする要因となります。無理な目標設定をする必要はなく、「標準的な成果」を知ることから始めましょう。たとえば、デジタルマーケティングの支援会社やコンサルタントを活用することも良いです。また、利用ツールのユーザー会やイベントに参加し、似たような規模の施策の情報交換をすることも有効な手段の一つです。

まとめ

「組織改編しないと無理」「予算がないから実施できない」とあきらめず、まずは手をつけやすいところから課題解決に踏み出してみてください。今回ご紹介させていただいた課題解消ポイントはあくまで一例です。何が課題なのかを改めて考えることから始めてみましょう。

皆さんの企業のデジタルマーケティングの内製化が良い形で実現することを願ってやみません。最後までお読みいただきありがとうございます。

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