わずか1年で100社以上とオンライン相談を実施! インバウンドマーケに初挑戦したジェイアール東日本企画のMAツール活用術
※ 本事例の内容は、取材日(2022年3月)時点の情報となります。
創業30数年で広告業界TOP5(※1)に位置する、総合広告会社・ジェイアール東日本企画(jeki)。会社名から、JR東日本グループのハウスエージェンシー、あるいは交通広告のイメージが強いが、広告戦略設計・イベント/プロモーション・映画/アニメキャラクターを活用したコンテンツビジネス・デジタルマーケティングなどに取り組んでおり、会社発足以来広告主企業の課題解決のために様々なソリューションを提供し、時代とともに変化する広告主企業のニーズに迅速に対応してきた。
(※1)出典:株式会社チャネル「企業と広告」大手広告会社2019年度売上一覧。ADKは2018年より非掲載。Web専業広告会社はランキングに含まない。
しかし、コロナ禍において顧客と直接会う機会が激減し、広告会社として従来のスタイル(対面形式)で顧客の抱える課題に寄り添うのが難しくなってきたことで、新たな顧客チャネルを強化する必要に迫られた。そこで開設されたのが、広告・マーケティング課題を無料オンライン相談で解決できるサービス「ジェイアール東日本企画オンライン相談室キクコト」だ。
同社では、キクコトのほか、同社のコーポレートサイトおよびコンテンツメディアサイト「恵比寿発、」にもMAツール「SATORI」を導入。開始から1年で約250件以上のリード、100社以上のオンライン相談の実施に成功するなど順調な成果を上げている。
キクコト編集部の渡部ひとみ氏は、「リアルでの新規案件の開拓が大変厳しい状況にも関わらず、オンラインで多数のお客様から反応をいただきとても驚いた」と語る。「SATORI」導入の経緯や具体的な施策、MA運用の秘訣を聞いてみた。
コロナ禍で顧客との対面機会が激減、オンライン接点の強化が必要に
――まずはオンライン相談室「キクコト」の設立経緯と、MAツールの導入目的についてお聞かせください。
渡部ひとみ氏(以下、渡部) 当社のような総合広告会社は、手元に明確な”商品やサービス”が存在するわけではありません。顧客企業の広告課題をうかがって初めて、それを解決するための企画提案が叶い、ビジネスにつなげることができます。そのため、かつては対面営業を基本としており、営業がお客様と密に会話をすることを通して最適なソリューションを提供してまいりました。
しかし、そうした営業手法ですと、営業担当は常に複数の顧客案件で忙しく、新規顧客の獲得が難しいという問題がそもそもありました。それに加えて、2020年からは新型コロナウイルスの影響で顧客との対面機会が激減し、従来の手法では顧客に寄り添うことが難しくなってしまいました。
そこで、オンラインでの接点を強化するべく、2021年5月に、「ジェイアール東日本企画オンライン相談室 キクコト」を開設したのです。
「キクコト」は、オンラインでお客様の広告・マーケティングに関するお悩みごとをなんでもお伺いし、サイト専属の相談パートナーが解決策を提案させていただきます。解決策の提案まではすべて無料です。
「キクコト」の強みは、私を含めた部署のメンバー全員が営業部門の出身で、オンラインでご相談をいただいてから、実際の解決策のご提案まで同じ人間が一気通貫で担当するため、スピード感をもって伴走できることです。ずっとアウトバウンドの営業活動を行ってきた経験から、幅広い知見があり、交通広告はもちろん、デジタル領域に関するご相談にも広く対応しております。
当社としても、こうしたインバウンドマーケティングの取り組みは初めてだったため、オンライン上でどのようなプラットフォームを作り、顧客にどのような情報やサービスを提供していけばよいか、試行錯誤をしながら進める必要がありました。その中でも、プラットフォームを通してどのように「新規顧客の獲得」をしていくべきかという点は大きな課題であり、有効な手法を模索している中でMAツール「SATORI」と出会い、導入に至ったわけです。
匿名顧客へのアプローチ手法の豊富さが導入の決め手
――MAツールの導入において、「SATORI」を選定された理由をお聞かせください。
渡部 選定にあたって、MAツールは4社ほど比較・検討しました。その中で「SATORI」を選んだのは、匿名の来訪者にアプローチできる“アンノウンマーケティング”に優れていたからです。
今回「ジェイアール東日本企画オンライン相談室 キクコト」は新規で作ったプラットフォームということもあり、新しく立ち上げたキクコトにアプローチいただくほとんどの方が匿名状態になる可能性がありました。そこで「SATORI」なら、匿名の来訪者にもアプローチし、その後のリード獲得につなげていくことができると考えました。「SATORI」は、プッシュ通知やポップアップなど、匿名顧客に対するコミュニケーション機能が豊富で、そこが一番の決め手になりましたね。
他にも、使いやすい国産ツールであることもプラス要素になりました。オンライン営業局のメンバーは全員営業出身メンバーということもあり、使いやすさと手厚いサポートは欠かせないと思ったんです。導入も非常にスムーズで、3月末に契約して、キクコトがオープンする5月中旬には問題なく運用することができました。
具体的な活用シーン3つ
――実際に「SATORI」をどのように活用していますか。利用シーンを具体的にお聞かせください。
① フォーム作成と獲得データのセグメント分け
渡部 まずはリード獲得のためのフォーム作成です。「キクコト」のサイト内にある「オンライン相談予約の申込フォーム」および「広告ロードマップサービスの申込フォーム」、「資料請求フォーム」、さらにオンラインセミナーの「申込フォーム」はすべて「SATORI」を活用して自社で作成しました。フォーム作成後は自社サイトを管理しているWordpressに貼り付けるだけなので、HTML・CSSなどの専門知識がなくても十分に必要要素を盛り込むことができました。
フォームで取得した個人情報は、それまでの閲覧情報などを紐付け、セグメントで分類するようにしました。資料請求フォームについては、情報入力後に自動的に資料ダウンロード用のURLがメールにて送付されるようにしており、開封などのデータまで一元管理しています。
資料はテーマ別に「交通広告」「デジタル広告」「調査関係」などのタグを付与しており、今後はタグで振り分けたグループごとに、メルマガなどで興味関心があるであろう情報の提供を行っていきたいと考えています。
② セミナー申込者にメールでアプローチ
渡部 次に、メール機能の活用です。夏頃にオンラインセミナーを開催したのですが、事前予約してくださった方をセグメント分けして、事前メールや直前の開催メールを送信しました。多い時には1回あたり150人ほどに参加いただき、リード獲得に大いに役立てることができました。また、リードの中でも特に確度の高いユーザーに対しては、セミナー終了後にオンライン相談への案内をお送りしました。
③ ポップアップバナーの出し分け
渡部 ここからが匿名ナーチャリングの範囲になりますが、コンテンツページにおいて、記事の内容に応じて、その分野に関連するポップアップバナーを出し分けて表示し、問合せや資料ダウンロードへとつなげています。
特に「交通広告」に関しては、コンテンツ閲覧からポップアップを踏んでオンライン相談の申込みに遷移する方がとても多く、“勝ちルート”といえるかもしれませんね。いわゆる「Web接客」を匿名のお客様に行えることで、オンライン相談のお申込みやメール問合せが増えたという実感があります。
ポップアップバナーで離脱を防止
――匿名顧客へのアプローチについて、閲覧履歴などのデータは活用されていますか。
渡部 はい。Webの閲覧データからカスタマージャーニーの分岐ポイントを抽出し、そこにポップアップバナーを入れたことで離脱防止に役立てています。
たとえば、訪問者がなにか記事コンテンツをご覧になってから、「サービスのポイント」「ご利用方法」ページを閲覧し、その後に「①:FAQに遷移して離脱する」、または「②:オンライン相談の実際の様子を伝える記事ページを見て、その後に申込フォームに遷移する」という2つの動線があることがわかったんです。
そこで、とにかく「オンライン相談の様子を伝える記事ページを見せたほうが申込み獲得につながるのではないか」という仮説のもと、ご利用方法などをご覧の方に、「オンライン相談の流れ」の記事へ誘導するポップアップを表示するようにしたところ効果があり、申込者が増えました。
もう一つ、オンライン相談予約の申込フォームに至ったあとに離脱してしまうケースが見られたので、「FAQを閲覧した人は離脱が少ない」という分析から、“最後の不安解消”ができていなかったのだろうという仮説を立てました。そこで、オンライン相談予約の申込フォームに、「よくある質問はこちら」というポップアップを表示するようにしたところ、こちらも微増ですが効果がありましたね。
資料ダウンロード後に架電アプローチも
渡部 また、サイトを隅々までご覧になって、資料もダウンロードをしたけれど、いざオンライン相談のフォームまで来て離脱してしまうケースがあります。その場合は少し時間をおいてから、「資料はどうでしたか?」と架電し、オンライン相談に誘導することもあります。
必ずしも誘導成功というわけにはいきませんが、リアルでのテレアポの打率の低さと比べれば、顧客候補が何に興味があり、どんな資料をダウンロードしたかという情報から、ニーズがわかっているのは心強いものがあります。
特に資料をダウンロードした後に何度も来訪されている方は、架電で商談につながる率が高いと思いますので、ゆくゆくはそうした方を「ホットセグメント」と定義し、営業担当にアラートが上がるなどの自動化を行っていければと思っています。
アクセス企業の動向分析をコンテンツ制作に役立てる
――他にも、データを分析して施策に活用することはありますか。
渡部 そうですね。「アクセス企業動向分析」はコンテンツ制作の参考になっています。
たとえば、自治体向けコンテンツを掲載したときにはちゃんとターゲットである自治体関係者が閲覧しているのか、などをチェックしコンテンツ作成の参考にしています。もし同じ企業から複数名のアクセスがある場合は、なにか施策を検討されている可能性があるとして、直接リアル営業をかけることを考えるのもありかなと考えております。
1年で約250件以上のリードを獲得、100以上のオンライン相談を実施は想像以上の成果
――「SATORI」を導入されての評価はどうですか?
渡部 導入してよかったですね。以前はWeb上の顧客の情報と、リアル顧客の動向がまったく紐付けられていなかったので、それができるようになったのが大きな収穫でした。現在の関心や検討レベルがWeb上で識別できるようになったことで、より効率的・効果的な営業活動が可能になったと思います。
オンラインを起点とした営業活動は社内初の取り組みだったので、目標値が見えずにいたのですが、1年で約250件以上のリードを獲得、100社以上のオンライン相談実施という成果が得られたのは想像以上でした。
「キクコト」を活用してインバウンドで顧客と接点をもち、その後スピーディに受注にまでつなげられたのは、オンラインならではですし、「SATORI」の機能があってのことと思っています。もっと大きな成果としてコンバージョンを得ていくためには、サイトで提供するサービスそのものの価値を再度検討し、魅力的なものにしていくことが大切だと考えています。そこでも、コンテンツへの評価など、「SATORI」から見えてくるものは多々あると感じているので、それらを活用しながらチャレンジしていきたいと考えています。
――「SATORI」の使い勝手はいかがですか?
渡部 部署全員がストレスなく使えています。未経験者でも手軽に設定ができるので、気負わずに施策に挑戦できるのが嬉しいですね。設定やクリエイティブの変更も簡単だから細かく調整できて、ちょっとしたバナーの出し分けだけでもクリック率が変わるんです。そうした小さな工夫の蓄積で成果が出るという実感は、大きな自信になりました。
サポートが手厚いのも、「SATORI」を選んで良かったと思いました。実施を検討している施策ベースで「サポートサイト」を通して相談に乗ってもらえて、数営業日以内に回答があるので本当にありがたかったです。
顧客のニーズ”に基づく新サービス・プロダクトの開発も視野に
――今後「SATORI」で取り組んでみたいこと、挑戦してみたいことはありますか。
渡部 繰り返しになりますが、当社は、そもそも顧客のニーズをきちんと伺ってから、それに対して提案を返しているという営業手法を取っていたため、これまではメールの自動配信などの「マーケティングの自動化」は考えていませんでした。ですが、今後、どういった顧客にどのような情報提供すれば成果があがるのかという“勝ちパターン”が見えてくれば、そうした自動配信も可能になると思います。先ほどお話したような「ホットセグメント」を見出してアラートをあげる仕組みにも挑戦してみたいですね。
また「SATORI」の機能を活用し、顧客ごとに応じたマーケティング活動を行っていくことはもちろんですが、これまで可視化できていなかった顧客ニーズを明らかにできるようになったため、今後は”顧客のニーズ”に基づく当社ならではの新サービス・プロダクトの開発に取り組んでいきたいと思います。
――ありがとうございました!
「SATORI」は、実名顧客はもちろん、サイトを訪れただけの匿名顧客に対してもアプローチが可能なMAツールだ。国産のためUIや操作感もわかりやすく、導入しやすい価格や手厚いサポートも強みである。
- Webサイトからの獲得リードを増やしたい
- 匿名顧客へさまざまな方法でアプローチしたい
- リードとコミュニケーションをして商談を創出したい
- 顧客データベースを効率的に管理したい
こんな方は、MAツール「SATORI」を検討してみてはいかがだろうか。
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