休眠顧客リストから見込み顧客の掘り起こしに成功!ソニーネットワークコミュニケーションズのMA活用法とは
従来はICTの受託開発を中心に行っていたソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の法人サービス事業部では、2020年にソニーグループ内のAIやスポーツなどの新サービスが統合されたタイミングでマーケティング課を新設。リードジェネレーションやナーチャリング・クロスセルなどの新たな取り組みにより、ホットリード化や商談件数増加、サイト内回遊率の向上という成果に結びつけている。
その立役者となったMAツール「SATORI」の活用法を、同社の運用担当者に詳しく聞いてみた。
- ハウスリストを有効活用
- デジタルタッチポイントからのリードジェネレーション
- 無料体験ユーザーをステップメールで活性化
相対営業中心からマーケティングによる新規獲得を狙う
――まずは、MAツール導入の背景について教えてください。
小林 佳生氏(以下、小林) 私と宮野が所属している、ソニーネットワークコミュニケーションズの法人サービス事業部は、もともと、インターネットサービスプロバイダーとして培った技術力やノウハウを活かし、企業の経営課題解決を支援する受託開発のソリューションサービスを展開していた部署でした。ここに、2020年4月から新たにAIサービスとスポーツサービスが加わりました。
AIサービスは、ソニーグループ内での活用実績を元に開発した予測分析ツール「Prediction One」や、ディープラーニングの統合開発環境「Neural Network Console」を法人向けに提供するもので、いわゆるソフトウェアプロダクトです。
スポーツサービスはソニーのセンシング技術とAIを活用し、ゴルフやテニス、スイミングの従来のレッスンの仕組みをデジタル化し、新しい価値をスポーツ関連の事業者さんなどに導入するサービスです。
受託開発系のソリューションサービスと、新たに加わったサービスは、親和性が高いため、それぞれのチームがすでに持っているリードをうまく活用してスケールさせたいというのが、マーケティングチームができた理由であり、MA導入の背景のひとつです。
また、ソリューションサービスは、丁寧にお客様のご要望を聞いて開発する必要があるため、相対営業が基本です。ただ、新規案件の売り上げを伸ばすには、相対だけでなくマーケティング活動が必要だという声もかなり以前から上がっていました。その他、ソフトウェアプロダクトはデジタルマーケティングが適しているという理由もありました。
これらの理由で、MAツールの導入が決まったというわけです。
使い勝手の良さが導入の決め手に
――MAツールの選定要件を教えてください。
小林 まず、ソニーグループとしての利用要件を満たしていることがひとつ。
次に、受託開発、AI、スポーツと、サービスごとにマーケティングのやり方が異なっているのですが、それぞれのサービスに合っているかということ。
最後に、実際に使用するマーケティング担当者や、データを用いて活動する営業担当者でも使いやすいかどうかです。MAツールを入れても、使いこなせず、日々の運用が難しいことから浸透しなかったという話はよく聞きますので、継続して使い続けられるサービスであるかを重視しました。
これらの条件をクリアしているサービスとして選ばれたのが「SATORI」です。セキュリティなどの条件だけであれば、すでにソニーグループの他部署で導入しているものを入れても良かったのですが、操作性やUIなど使い勝手の良さが大きなポイントとなり、「SATORI」の導入が決まりました。
MAツールのメリットを何度も営業にプレゼンし意識統一
――「SATORI」を導入したのはいつ頃ですか。
小林 2020年4月のマーケティング課立ち上げ時に契約し、8月に宮野が我々の部署にジョインしてから本格的な活用を開始しました。
――「SATORI」を運用しているのが主に宮野さんということですね。MAツールにお詳しいのですか。
宮野 隼氏(以下、宮野) はい。実は前職で、とある海外製MAツールの活用支援のコンサルティングを2年ほど行っていました。
――すでにMAへの知識を持っていたわけですね。「SATORI」の印象はいかがでしたか。
宮野 まず、UIがすごくいいですね。画面を見るだけで、「メールを打ちたければここだな」「カスタマー情報を見たいならここだな」など直感的にわかる。コーディングの知識がなくてもExcelやWordのような感覚で使えますし、フォームの項目の追加や入れ替えなども簡単です。
また、海外製品では日本では一般的に使われているものと異なる用語が使われていることがあって、それに慣れる必要がありますが、「SATORI」は日本製のためそういった違和感がまったくありません。設定を進めていて、ひっかかることもありませんでした。
――営業チームの方も「SATORI」を触るというお話でしたが。
宮野 はい。ナーチャリングの結果、確度が高いと判断されたホットリードを営業に渡す方法として、「SATORI」の通知メールを営業課長に送っています。営業メンバーは「SATORI」からの情報を得て、次のアクションを起こすフローとなっています。
――営業とマーケティングの組織間には壁があって、営業の方は新しいマーケティングツールに抵抗感があるという話をよく聞きます。
小林 マネージャー層は事業部全体の成果を上げるための取り組みだと認識していますが、現場の方にはそれが伝わりにくいこともやはりあります。
そこで、MAのメリットについて数十ページにわたる資料を作って、営業の定例会議に何回も出席させてもらい、丁寧に説明を繰り返しました。営業の定例会には今でも参加して、定期的に状況をヒアリングし、マーケティング課の活動も適宜共有しています。
MAの活用シーン3つ
――では、MAツールを具体的にどのように活用しているか教えてください。
活用シーン ① ハウスリストを有効活用
小林 マーケティング課ができる前のソリューションサービス部では、営業担当が集めた名刺は名刺管理サービスに登録し、営業が個人で管理している状況でした。リストへのアプローチも個々人の営業が行うため、営業担当が忙しいと塩漬けになっているリストもありました。
宮野 そこで、名刺管理サービスの名刺データを「SATORI」のデータベースに投入し、Webサイトのお問い合わせフォームや資料ダウンロードフォームで取得した情報と合わせて「SATORI」に取り込むようにしました。
それらをマーケティングリードとし、まずはメールを送ってクリックしてもらい、Cookieを集めるところから始めました。
――どのようなメールを配信しているのでしょうか。
宮野 展示会・イベントの案内や来場のお礼、サービス案内などがメインですが、最近では、「CMS導入の前にやるべき5つのこと」などのノウハウメールや、遊び心のあるメールも定期的に送るようにしています。2021年の年始に送った新年のご挨拶メールに「ARおみくじ」という遊び心のあるコンテンツをつけたところ、開封率が30%を超え、クリック率も6%を超えました。
あとは、製品やサービスとは直接関連しない、トレンド系の記事も読まれる傾向にありますね。スポーツ関連のお取引先からカレンダーを提供していただき、それをプレゼントするキャンペーンもやりました。まずはトラフィックを増やしたいので、今後もコンテンツは強化していきます。
――メールを送る対象はどのように切り分けていますか。
宮野 セグメント機能のトリガーはほとんどタグ(※)です。例えばホワイトペーパーをダウンロードしたリードであれば「WEB_COLD」タグ、総合お問い合わせフォームから登録があったリードであれば「WEB_HOT」タグ、一定期間メール配信を停止したほうがよいと思われるリードは「リサイクル」タグといった具合です。
(※)タグ:資料ダウンロードやセミナー参加など、行動の目印のようなもの
――そうしてナーチャリングして確度の高まったホットリードを営業に渡すわけですね。
宮野 そうですね、例えばイベント出展時にはマーケティングリードをABCDの4つにランク付けしていき、A判定になったら営業に渡します。
一方で、全体のリストに対しては、月に数本メールを送ってナーチャリングを続けます。
――SATORI導入以前と比べて、成果は上がりましたか。
小林 もちろんです。まず、これまでアプローチしきれなかったリードに、「SATORI」を通じたメール配信によって接点を維持できるようになったというのが大きいです。「SATORI」を入れていなかったら、リストは手付かずのままだったでしょう。
また、引き合いは明らかに増えています。コロナ禍で対面営業が難しいなかでも継続的に営業活動が行えており、営業からは「引き合いが多くなって忙しくなってきた」という嬉しい悲鳴も聞こえてきています。
活用シーン ② デジタル接点からのリードジェネレーション
――「SATORI」の大きな特長である匿名ナーチャリングには取り組んでいますか?
宮野 ポップアップを活用して以下のようなことを行っています。
- ウェビナーやセミナーの申し込みへ誘導
- ホワイトペーパーなどのデジタルコンテンツのダウンロードへ誘導
- 画面遷移で回遊性を高める
例えば、事例ページを見ている人に、その事例で扱っているサービス詳細ページへの誘導ポップアップを出します。サービス詳細ページの下の方に資料ダウンロード用のフォームがあり、そこで個人情報を取得することができます。
UXデザインのページを訪問した人に、UI/UXのセミナー案内のポップアップを出して、申し込みフォームのページに飛ばしたりもしましたね。
――成果はいかがですか?
小林 まだ始めたばかりなので何とも言えませんが、直近ではメールからの流入トラフィックは4.5倍に増加しました。新たな取り組みなので、今後も成果は見込まれると考えています。
活用シーン ③ 無料体験ユーザーをステップメールで活性化
宮野 AIサービス「Prediction One」ではステップメールにも取り組みました。同サービスは30日間の無料体験が可能ですが、無料体験を申し込んだユーザーに下記のようなメールを送っています。
- [申込当日]ツールのダウンロードリンクと使い方のご案内(自動応答)
- [1週間後]チュートリアルのご案内
- [2週間後]セミナーの案内や限定動画のご案内
- [3週間後]有料プランのご案内
無料登録した方には、無料期間が終わったら有料登録してもらいたい。そこで、ツールを使いこなしてもらうためのコンテンツを順に送って、具体的な活用イメージを持ってもらい、サービスの有用さに気づいてもらうというアプローチです。
小林 これまで、人的リソースに課題があり、無料登録をしてくれた人へのアプローチが不十分でした。ですが今はステップメールを活用し、既存顧客の掘り起しに成功しています。
宮野 「Prediction One」では、従来、アップデートがあったというメールを全配信していたくらいで、こちらから「こういう使い方をしてみてください」といったプッシュ型の施策ができていませんでした。ステップメールの取り組みは、顧客接点を保つだけでなく、最終的には顧客満足度にも繋がると思います。
今後はクロスセルにも取り組みたい
――サポートや費用面での「SATORI」の満足度はいかがでしょうか。
宮野 サポート体制がとても良いです。オンラインで問い合わせをすると、海外ツールだと返事が2週間後になったりすることもしばしばありますが、SATORIさんは即日や翌営業日には返してくれます。ドキュメントも充実していて、まったく困りませんでしたね。
費用面でもスモールスタートしやすい価格帯なのに、基本的な機能は網羅されていて、費用対効果は高いと思います。
小林 スモールスタートできるこの価格帯ならば導入判断しやすいというメリットもありますね。
――今後「SATORI」で取り組みたいことはありますか。
宮野 今回、同じマーケティング環境に受託開発、AIサービスが統合されましたが、今後もスポーツサービスをはじめとする別のサービスがこの環境に統合されていく予定となっています。
それぞれ個性のあるサービスがそろっていますが、サービス間の親和性は高いと思われるので、サービスごとの顧客情報を活用し、クロスセルなどの取り組みを進めていきたいですね。シナジーを生んで、よりよい価値を提供していきたい。それを「SATORI」を使ってアピールしていきたいと思っています。
――ありがとうございました。
「SATORI」は、実名顧客はもちろん、サイトを訪れただけの匿名顧客に対してもナーチャリングを行えるMAツールだ。国産のためUIや操作感もわかりやすく、導入しやすい価格やサポートも強みである。
- リードとコミュニケーションして成約につなげたい
- フォローメールやステップメールを自動化したい
- Webサイトから獲得リードを増やしたい
こんな方は一度、「SATORI」を検討してみてはいかがだろうか。
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