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「将来はMITやスタンフォードに行きたい」小6でアプリ開発、IT企業でインターン生として働く中学3年の大きな原動力

本特集では最年少となる14歳。Webシステム開発のサイバーウェーブでインターン生として働く現役中学生、岡村有紗さんに話を聞いた。

(写真は母の多喜子さんによる提供)

「デジタル後進国」「AI後進国」と言われて久しい日本。しかし、これから社会で活躍するZ世代には10代や20代でAIやスマホアプリを生み出した若者たちがいる。特集『それ私が作りました!〜AIやスマホアプリを開発したZ世代に聞いた』の4回目では、Webシステム開発会社でインターン生として働く、本特集で最年少である14歳の現役中学生 岡村有紗さんに話を聞いた。

小学6年で位置情報を利用したリマインダーアプリ「RemindMe(リマインドミー)」を開発し、中学1年で米Adobeにサンフランシスコ本社への招待を受け、幹部や社員に英語でプレゼンテーション。現在は東京にあるWebシステム開発会社のサイバーウェーブ株式会社でインターン生として働く中学3年生がいる。大阪府在住の岡村有紗さんだ。

サイバーウェーブは企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するシステム「VALUE KIT(バリューキット)」を提供している。有紗さんは本システムにおける「お客様へのカスタマイズ対応」を担当しているという。

「将来はマサチューセッツ工科大学(MIT)やスタンフォード大学に行きたい」──。14歳の現役中学生 岡村有紗さん、母の多喜子さんに話を聞いた。

(※)サイバーウェーブの公式ブログによると、中学生向けの長期実践インターンシップ制度では、中学生へ給与を支払い就労することになる。本人が就労を希望している文書、および保護者・所属学校長・サイバーウェーブの同意文書を労働基準監督署に提出し、就労許可の手続きをする流れを整えたという。有紗さんの件は労働基準監督署から児童就労許可を得ている。

「小3のときに算数のテストで27点を取った」

(写真は母の多喜子さんによる提供)

──どうしてプログラミングを始められたのですか?

有紗さん:小3のときに学習塾の算数のテストで27点を取ったことがきっかけです。お母さんはすぐに学習塾を辞めさせてくれて、その代わりに理数系をやっておかないといけないということになり、ロボット塾に通い始めました。

──ロボット塾ではどのようなことをやるのですか?

有紗さん:ロボットをプログラミングして線の上を走らせる「ライントレース」であったり、ロボットに赤外線を出すボールを使ってサッカーをさせたり、プログラミングよりロボットがメインの内容でした。

──自分自身でも通いたいと思って始めたのか、お母さんに言われて嫌々始めたものの次第に好きになったのか気になります。

有紗さん:最初、連れて行かれたときはわけもわかりませんでした(笑)。でも、通っていて楽しいなと思ったし、友達もできたので、行くのが楽しみになりました。

──その後、もっと発展的な内容に進んでいったと思うのですが、どんなプログラミングスクールなどに通ったのですか?

有紗さん:小5の夏にインターナショナル・スクールに転校して、放課後にプログラミングのクラブに参加しました。プログラミングスクール(小中学生向けプログラミングスクール「8×9(ハック)」)が学校に来てくれる出張授業なのですが、半年から1年で終わっちゃって。お母さんに頼んだか頼んでないか覚えてへんけど、それ以来は(兵庫県神戸市内にある8×9)六甲道本校に通っています。

──記憶が曖昧とのことですが、お母さんいかがですか?

多喜子さん:先生に「娘はどんな感じですか?」と聞いたとき、「有紗ちゃん、才能ありますよ。スピードも早いです。クラブでやるのはもう限界なので、もしこのまま続けるのだったら、六甲のプログラミングスクールに来てください」と言ってくれました。クラブは終わりましたが、有紗本人も楽しんでいるようだったので、通わせることにしました。

──そこから本格的なプログラミングを始めたんですね。

有紗さん:プログラミングのクラブは「Minecraft」がメインで、「Scratch」や「JavaScript」も使っていました。プログラミングスクールに通い出してからスマホアプリの開発など、どんどん本格的な道に進んでいきました。

小6でアプリを開発 登下校時の連絡を忘れがちだった

リマインダーアプリ「RemindMe(リマインドミー)」

──小6の頃に開発したスマホアプリの「Remind Me」はなぜ生まれたのですか?

有紗さん:前の学校では登校時や下校時に学校の正門を通ったら、保護者にメールが届く「ミマモルメ」というシステムがありました。でも、インターナショナル・スクールはそのようなシステムが導入されてなかったので、自分で連絡しなくちゃいけなくて。

いきなりやってなかったことをやれって言われても忘れるじゃないですか(笑)。それで、お母さんにすごく怒られてて、現地に着いたタイミングで通知してくれるアプリを思いつきました。

──「お母さんに連絡する約束を忘れて、警察に捜索願いを出されかけた」という話を聞きました。

多喜子さん:転校してから何カ月も毎日、登下校のときに連絡するように言ったのですが、有紗は連絡を忘れてばかりでした。「学校に着いた?」とメールを送っても、学校のなかで携帯は使えません。それで、何時間経っても返信がなかったので、私がとても心配して「お母さん、警察に捜索願いを出しに行こうと思うねん」とメールを送ったんです。

──ちょっとした脅しみたいな感じだったんですね(笑)。

多喜子さん:そうですね(笑)。有紗は電車で1時間10分かけて1人で学校に通っていました。そのまま寝過ごして名古屋まで行った子どももいるし、気がついたら海が見えたという子どももいるので、とても心配で……。

「インターンは好奇心やワクワクのほうが強かった」

(写真は母の多喜子さんによる提供)

──中学2年からサイバーウェーブの代表取締役 梨木繁幸さんに打診され、インターンという形で働かれています。今まで働いたことがないなかで働くのには不安はなかったですか?

有紗さん:不安はあるにはありましたけど、「どんなのなんやろう?」という好奇心とかワクワクとかのほうが強かったです。リモートワークなので、働くという実感もそんなになかったのかなと思います。

──言える範囲で大丈夫ですが、どのような仕事をしていますか?

有紗さん:サイバーウェーブは(企業のDXを支援するシステム)「VALUE KIT」というサービスを提供しています。サービスの特徴はすでに部品を7割用意しているから、ほかの会社と比べてすごく速いスピードで納品できることです。会社の皆さんはその部品を作ってはるのですが、私は部品を使ってお客様へのカスタマイズ対応をしています。

──中学生から「カスタマイズ対応」という言葉を耳にする日が思いませんでした(笑)。今は働いていてどうですか?

有紗さん:自分だけで開発しているときは責任をしょっているわけでもないから、自由気ままに「動いたら良いか」という感じでした。でも、お仕事の場合はほかの人が私の担当したコードを引き継ぐなど、ある程度は責任もあります。これまでとは少し違うプログラミングができるのが楽しいです。

──インターンの契約期限は決まっているのですか?

多喜子さん:契約的には1年の自動更新で、ずっと続けるつもりです。来年アメリカに行っても、リモートワークで引き続き働きます。

「有紗もMITに行く」アメリカの高校進学も視野

(写真は母の多喜子さんによる提供)

──え。来年、アメリカに行くんですか?

多喜子さん:今、有紗は中学3年生なので高校を選んでいるところです。もともと本人はN校(N学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校)で1日プログラミング制作をして、高校の卒業単位が取れるので「N高に行く」と言っていました。

ただ、本人が目指している大学はMITやスタンフォード大学などです。このままでは英語量が落ち、推薦状が難しいのではないかなどいろいろ考えた結果、アメリカの高校への進学も考えています。

──どうして有紗さんはMITに行きたいんですか?

有紗さん:MITに行きたいと思ったのはロボット塾に通っていた、アメリカ人と日本人のいわゆる「ハーフ」の友達が「俺はMITに行くんや」と言っていたから、楽しそうだなと思ったのがきっかけです。その影響で楽しそうだなと思って「有紗もMITに行く」と言っていました(笑)。

もっと小さい頃はハーバードの図書館の写真を見たことがきっかけで、ハーバードに行きたいと思っていました。でも、大学について調べているときにハーバードの図書館はハーバードの学生以外も入れるし、プログラミングはMITのほうが有名と知り、MITやスタンフォードのほうが行きたいかもしれんなと思い始めました。

──意外とかわいらしいきっかけですね(笑)。卒業後はエンジニアを目指されているんですか?

有紗さん:エンジニアとか、アプリを自分で開発してリリースすることとかを仕事としてできたら良いなと思っています。「これがあったらもっと便利やのに」みたいな、世の中を便利にするようなアプリを作りたいです。

──子どものプログラミング学習だと「Scratch」を経験して終わる人も多いと思います。プログラミングを仕事として続けたいと思った理由が気になります。

有紗さん:小学5年の春に参加したプログラミングのキャンプがまさにScratchを使うものでした。それがすっごく面白くなくて……。というのも、横に「このブロックをここに置きましょう」と書いたマニュアルが置いてあるんですよ。そのとおりにやったら、ブロック探して引っ張ってくるだけだから、誰でも10分で終わるじゃないですか。

MinecraftのMODで「雪玉を投げたら爆発する」という内容だったので、開発すること自体はすごく楽しかったけど、なにせ手段が面白く思えませんでした。一方で、プログラミングスクールで開発するのはすごく楽して……。

仕事としてプログラミングを続けたいと思った理由。うーん、何でしょう? プログラミングが楽しいからです。

上代 瑠偉
1997年生まれ。ASCII.jp編集部に所属し、編集者・ライターとして2年半活動。2020年8月からLedge.ai編集部に。人気記事は『源氏物語が好きすぎてAIくずし字認識に挑戦でグーグル入社 タイ出身女性が語る「前人未到の人生」』など。

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