Instagramには、ユーザーが投稿した画像を自社アカウントで再投稿(リポスト)し、運用しているアカウントがあります。リポスト型の運用は、自社で投稿用のコンテンツを作成する必要がないだけでなく、投稿を通じてユーザーとのコミュニケーションを深めやすいのが特徴です。古着コーデをリポストする「古着女子」や、美人インスタグラマーの投稿をリポストする「美女美容事情【ビジョビ】」などが知られています。
この記事では、リポストを活用したInstagramの運用方法のメリットや事例、始めるときのポイントをお伝えします。
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リポストメディアとは?
「リポストメディア」という呼び方はあまり一般的ではないかもしれませんが、今回の記事では、リポストを活用して運用されているアカウントのことを「リポストメディア」とご紹介します。まずは、リポストの概要やメリットについて見ていきましょう。
リポストとは
リポストとは、Instagramでほかの人が投稿した画像を、自身のアカウントで再度投稿(シェア)することです。リグラムとも言います。
近年では、ユーザー投稿(UGC)のリポストを中心としたInstagramのアカウント運用を行う企業も多く見られています。中にはユーザーからの高い支持を集め、リアルなコミュニティが形成されているアカウントもあり、注目を集めています。
リポストメディアにファンが集まる理由
リポストメディアは「ボーイッシュな古着コーデ」「特定地域の観光」など、テーマを設定した上で投稿を厳選し、発信しています。そのため、該当するテーマが好きなユーザーにとっては、自分好みの投稿をまとめて見ることができるという利点があります。
また、アカウントがある程度有名になってくると、メディアにリポストされること自体がユーザーにとって一種のステータスになります。
特に影響力の大きいユーザーをアンバサダーに認定する制度を設け、アカウントの認知拡大につなげているメディアもあります。
企業がリポスト型のアカウント運用を行うメリット
コンバージョンにつなげられる
自社製品やサービスに関連したテーマでリポストをすることにより、投稿内容に興味を持ったユーザーをアカウントに集められます。その上で、プロフィール欄に自社サイトへのリンクを設置しておくと、流入やコンバージョンにつなげられる可能性があります。
ユーザーにとって親しみやすいアカウントになる
企業が発信する情報は、宣伝色が強いと、ユーザーから敬遠されやすい傾向にあります。ユーザー投稿を活用すれば、企業アカウントからの投稿でも、ユーザーが身近に感じられる内容の発信が可能です。
ユーザーの拡散力を活用できる
Instagramユーザーの中にも、フォロワー数が多く、インフルエンサーとして大きな発信力を持っている人がいます。そうした影響力の大きいインスタグラマーの投稿をリポストし、投稿についてリポスト元のユーザーに言及してもらえれば、インスタグラマーのフォロワーからも流入が得られるでしょう。
低コストでも高いクオリティの投稿ができる
自社でインスタ映えする写真を撮ろうとすると、費用や工数がかかります。一方、リポストメディアは関連するタグから写真を選び、使用許可を取れば投稿できるため、比較的低コストで運用可能です。
また、アカウントが一定の支持を得た後は、自社専用のタグを作ることによって、リポストしてほしいユーザーが自主的に専用タグをつけて投稿するようになります。投稿数が多くなるほど、自社アカウントの認知拡大につながるでしょう。
注目のリポストメディア
数あるリポストメディアの中から、今回は6つの事例を見ていきましょう。それぞれテーマは異なりますが、いずれのアカウントも多くのファンを獲得しています。
古着女子(@furuzyo)
画像出典:古着女子
自らを“ミレニアルコンテンツカンパニー“と名乗る株式会社yutoriが運営し、古着コーデをリポストしているアカウントです。下北沢感あふれるシックな古着コーデが多数紹介されており、23万8000人ものフォロワー数を誇ります(2019年3月5日時点)。
ほかのアカウントと大きく異なる点として、企業の宣伝のためにInstagram運用を始めたのではなく、yutori自体がInstagramのアカウントから起業されたことが挙げられます。当初は趣味の延長で作成されたアカウントでしたが、起業後に古着ブランドやD2C(Direct to Consumer)ブランドを立ち上げ、下北沢にはリアルのコミュニティスペース「pool」もオープンしています。
リポスト収集には「#フルジョ」「@furuzyo」という2つのタグを活用しています。プロフィール欄で自社通販サイトへの誘導を行っており、1カ月半ごとに出される新作は常に初日で完売してしまうほど人気です。また、2019年1月には古着女子監修による書籍『古着女子』が発売されたほか、2019年3月開催のフリマイベント「古着フェス」は、チケット700枚が約3数時間で完売しており、Instagramのアカウントを超えてファンによる熱狂的なコミュニティが形成されている好例です。
美女美容事情【ビジョビ】(@b_b_j.j)
画像出典:美女美容事情【ビジョビ】
美人インスタグラマーの画像をリポストしているアカウントです。インスタグラマーのキャスティングやInstagram運用などを手掛ける株式会社レゾラムが運営しています。
海外ユーザーを含む32万3000人ものフォロワーを抱えており(2019年3月5日時点)、リポスト投稿には国内外から多数の反応が集まります。そのPV数は1カ月で4000万PV以上という点からも影響力の大きさがうかがえるでしょう(2018年11月時点)。
基本的には「@b_b_j.j」と「 #ビジョビ」のタグ両方を付けた投稿から収集していますが、それ以外の投稿からもリポストしています。投稿内容は、リポスト画像の紹介+会社の運営するイベントの紹介+姉妹アカウント(セレクトショップ)の紹介で構成されています。
ビジョビは、アカウントによって生まれたインスタグラマーとのつながりやフォロワーを、そのまま事業に転換している好例です。事業への転換は、企業にとってマネタイズできること以外にも利点があります。インスタグラマーに対し、特別なイベントへの参加機会や企業案件の紹介ができるようになることから、企業とインスタグラマーのつながりが強固になり、より発信力が高まると言えるでしょう。
canon_eosm(@canon_eosm)
画像出典:canon_eosm
Canonのミラーレスカメラ「EOS M100」「EOS M10」のInstagramアカウントです。「EOS M100」「EOS M10」で撮影した写真を「 #my_eosm100 」や「 #my_eosm10 」のタグで収集し、リポストしています。
コンパクトでかわいい外観の「EOS M100」「EOS M10」は持ち運びやすく、撮影した写真をすぐにスマートフォンに共有できる機能を持つことから、Instagramとの親和性が高いカメラです。そのため、LIFE with CAMERAは製品にフォーカスしたアカウントでありながら、12万を超えるフォロワーを集めています。
Canon以外のカメラ製品のリポストメディアはあるものの、会社単位やシリーズ単位でアカウントが運営されているものが多く、LIFE with CAMERAのように製品単体のアカウントは珍しいです。
スマートフォンで撮るものとはひと味違う写真に惹かれたユーザーが「EOS M100」の詳細を知れるよう、プロフィール欄には商品ページへのリンクが設置されています。
タビジョ(@tabi_jyo)
画像出典:タビジョ
H.I.S.が運営している女子旅コミュニティです。「旅先の新たな魅力を発見し、共有し合う」ことを目的に「#タビジョ」で集めた画像をリポストしています。
タビジョのアカウントには、投稿を見た人が旅行をしたくなるような、ユーザーの生き生きとした写真が並びます。投稿されている写真は旅行者目線で撮られているため、ユーザーが旅先で楽しんだ「体験」が伝わってきます。
写真に写っている場所または国に行けるツアーが投稿内やタビジョのサイトで紹介されており、「行ってみたい!」と感じたユーザーは情報を調べたり、検討したりできるようになっています。コミュニティメンバーの中から選抜し、世界各地に派遣しているタビジョレポーターの体験を取り込んだタビジョツアーも販売され、好調のようです。
また、ユーザーにとってのタビジョアカウントの大きな魅力は、少しニッチなスポットを知れるところ。気になる旅行先を見つけたときは、リポスト元のアカウントをチェックすると同じ旅の別の投稿を見られるというのも、リポストメディアならではの魅力です。
アカウントは「ファンコミュニティを作る」ことを意識して運営されており、Instagramを飛び出したリアルイベントも頻繁に開催されています。
Gero City【下呂市公式アカウント】(@gerostagram)
下呂市が主催する「下呂スタイル魅力発信プロジェクト POKAPOKA」の公式アカウントです。
下呂市内の有名温泉のみならず、食や風景、学校行事の様子に至るまで、下呂市に住む人々の温かなライフスタイルをリポストによって広く深く紹介しています。
「#gerostagram」が付けられた写真は1万5000件にものぼり(2019年3月5日時点)、市内に住む人だけでなく、観光で訪れたユーザーもハッシュタグを活用して投稿していることがうかがえます。
クッキングラム(@cookingram.jp)
画像出典:クッキングラム
「レシピブログ」などで知られるアイランド株式会社が運営する、料理インスタグラマーコミュニティ「クッキングラム」のアカウントです。推奨するハッシュタグ「#クッキングラム」には、368万件(2019年3月5日時点)もの色鮮やかな食卓の画像が集まっています。
「クッキングラム」では、1日に4000~7000件もある同ハッシュタグつき投稿の中から担当者が直接選び、コメントをつけてリポスト投稿を行っています。こうした運用スタイルから、「クッキングラム」のアカウントでリポストされることが料理インスタグラマーにとって一つのステータスとなるため、アカウントには投稿者本人からのお礼やフォロワーからのお祝いコメントが多数寄せられています。
ハッシュタグによる投稿企画を月ごとに開催し、同じハッシュタグを投稿する機会を設けることで、ユーザーとの相互フォローを増やしているほか、企業とコラボしたInstagram投稿企画も定期的に行っています。
リポストメディアの始め方と注意点
Instagramのリポストには、ほかのSNSに比べ、いくつか注意点があります。実際にリポストメディアを運用する際は、以下の点を考慮しておきましょう。
リポスト型のアカウント運用を始めるときのポイント
明確なテーマを設定し、アカウントに統一感を出す
リポストメディアを運用する際は、ターゲットユーザーが魅力を感じられる、そのアカウントならではのテーマを明確に作り上げる必要があります。このテーマ設定が、リポストメディアを始めるにあたり大切な工程です。
明確なテーマが設定されていれば、リポストする投稿を選ぶ際にブレるおそれがなく、アカウント全体で統一感を出すことができます。
リポスト用の捻ったハッシュタグを作る
リポスト用の専用タグを作ることで投稿が収集しやすくなり、許可取りの工数を削減できるだけでなく、ユーザーの自発的な投稿を促すことも可能です。
ただし、一般的に使われる可能性があるタグを使ってしまうと、リポスト投稿の収集をあまり効率化できません。自社アカウントとは関係のない、一般の投稿が混じってしまうためです。一般に使われることがないようなハッシュタグを付けると良いでしょう。
リポストの方法
ユーザー投稿を自社のアカウントでリポストするには、「Repost for Instagram」や「リポストforインスタグラムとツイッター」などのような専用アプリが必要です。アプリのタイプは、リポストしたい投稿のURLをコピーペーストすることでリポストできるものと、「いいね」をした投稿の一覧からリポストできるアプリに大きく分けられます。
URLを逐一コピーペーストしてリポストするのが煩わしい場合は、後者のアプリのほうが使いやすいでしょう。
リポストを行う際の注意点
無断転載をしない
リポスト専用のアプリを使った投稿では、基本的にリポスト元のユーザー名が画像に表示されます。これによって、リポストであることが明示されますが、アカウントに対する信用を保つためにも、リポスト元のユーザーに転載許可は取ったほうが良いでしょう。
リポスト元のユーザーを尊重した投稿を行う
投稿のキャプションに、リポスト元のユーザーに対する感謝のコメントや、アカウントへのリンクなどを記載すると良いでしょう。リポストメディアでは、リポスト元のユーザーにも注目が集まります。リポストさせてもらったユーザーに対してきちんとお礼をすることにより、ユーザーとのコミュニケーションが生まれます。
なお、リポストであることを示すハッシュタグを入れると、投稿がリポストであることをよりわかりやすく明示できますが、必須ではありません。
リポストメディアはユーザーとともに作るもの
リポストメディアではユーザー投稿を活用することにより、「投稿できる魅力的なコンテンツがない」「広告色が強くてフォロワーが増えない」といった課題を解決できます。アカウントのフォロワーが増え、ファンによるコミュニティが大きくなって、リアルイベントの開催に至った例もあります。
リポストメディアはユーザーの協力があってこそ盛り上がるものです。ユーザーとのコミュニケーションを大切にしながら、「リポストされたい!」と思われるような魅力あるアカウントを作り上げていきましょう。
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